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Googleがコックス判決を根拠に係争中の著作権侵害訴訟の棄却を請求


アメリカの最高裁判所は2026年3月に、海賊版を配信する場を与えたISPにレコード会社が責任を求めた訴訟について「著作権侵害の疑いのある加入者にサービスを提供し続けたという理由だけで、ISPに著作権侵害の幇助(ほうじょ)責任を負うことはできない」という判決を下しました。この最高裁判決は審理中のさまざまな裁判に影響を与えていますが、Googleも2026年4月17日に裁判所に申し立てを提出し、「出版社がGoogleを訴えた著作権責任の主張は事実上無効になった」と主張しています。

Google Uses Cox Ruling to Kill Last Copyright Claim in Textbook Piracy Lawsuit * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/google-uses-cox-ruling-to-kill-last-copyright-claim-in-textbook-piracy-lawsuit/

Record Labels Drop Piracy Lawsuits Against Altice and Verizon in Wake of Cox Ruling * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/record-labels-drop-piracy-lawsuits-against-altice-and-verizon-in-wake-of-cox-ruling/

電話通信会社のコックス・コミュニケーションズは2018年に「著作権侵害を繰り返すユーザーを完全に排除できず、海賊行為から利益を得ている」として大手レコード会社グループに提訴されました。一度は「加入しているユーザーによる著作権侵害行為に関して、コックス・コミュニケーションズは共犯的および間接的に責任がある」と認定され総額10億ドル(約1500億円)の損害賠償が命じられましたが、コックス・コミュニケーションズが上訴した結果、2026年3月26日に最高裁判所は「ISPに責任を問うにはサービス提供者が著作権侵害を意図していたことを証明する必要があり、積極的に侵害行為を誘発した要件に当てはまらないコックス・コミュニケーションズは、海賊版利用者の著作権侵害行為について共同責任を負わない」と結論付けられました。

著作権侵害の責任をISPにも求めた裁判で最高裁判所が「サービス提供だけでは幇助にならない」と判断 - GIGAZINE


最高裁判決では、ISPに著作権侵害の責任を問うにはサービス提供者が侵害を意図していたことを証明する必要があり、証明するためには「サービス提供者が積極的に侵害行為を誘発した」または「当該サービスに実質的な非侵害用途がない」のどちらかに該当する必要があると判断されました。そこで、「著作権侵害ユーザーを意図的に見て見ぬふりをしていた」ということに責任を求めるXに対する裁判でもこの「コックス判決」は引用されています。

Googleも2026年4月17日にニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に提出した申立書の中でコックス判決を引用し、「著作権侵害幇助の主張は、現在では廃止された理論に完全に依拠している」と主張しました。この裁判では世界最大級の出版社数社が「Googleが教科書の海賊版を組織的かつ広範囲にわたって宣伝している」と非難していましたが、2025年6月には「著作権侵害はGoogleが監視または管理できる範囲の外で行われている」と判断され訴えの多くは棄却されました。一方で、商標権侵害など一部の訴えは維持されており、当初提起された時よりも大幅に範囲が縮小されて裁判が継続していました。

Googleはコックス判決における「サービス提供者が積極的に侵害行為を誘発した」または「当該サービスに実質的な非侵害用途がない」の要件をどちらも満たしておらず、出版社による著作権侵害の申し立ては却下されるべきであると指摘しました。申立書の中でGoogleは「原告らが訴状で主張する理論は、『Googleは侵害コンテンツを宣伝している業者の広告掲載を継続していたため、侵害を引き起こす意図があったとみなされる』というものですが、これはまさにコックス判決で却下された理論です」と述べ、「原告の主張はコックス判決によって法的に成立し得ないものとなった」と主張しています。


また、訴訟を起こした側がコックス判決を受けて訴えを取り下げるケースも報じられています。ワーナーやソニーなど数十のレコードレーベルはニューヨークに本社を置く大手電気通信事業者のベライゾン・コミュニケーションズに対し「著作権侵害行為を警告する何十万件もの通知に対し、何ら対策を講じるどころか見て見ぬふりをして海賊版ユーザーにサービスを提供し続けた」として2024年に訴訟を提起しました。また、西ヨーロッパでサービスを提供する電気通信事業者のアルティスも2023年に同様の訴訟を起こされています。

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ベライゾンとアルティスの訴訟は最高裁判所の判決を待つため一時停止されていましたが、共にコックス判決を受けて訴訟を取り下げることで合意したことが明らかになりました。提出書類には「全ての当事者は、本件におけるすべての請求を却下することに共同で合意し、各当事者は自身の費用、経費、弁護士費用を負担するものとする」と記載されています。

従来は一部の下級裁判所は「サービス提供者が侵害行為を認識し、侵害行為への実質的な関与があれば、共犯的著作権侵害の責任を問うのに十分である」と判断していました。しかし最高裁判所によるコックス判決は、サービス提供者に責任を問う基準を狭める形になるため、今後も係争中の著作権侵害訴訟について影響が広がる可能性があります。

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in ネットサービス, Posted by log1e_dh

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