ダウンロードゲームのデータ容量は、ブロードバンドの回線速度を上回って増えているのか?
いよいよ年内にPS4とXbox Oneが北米から発売を開始し、家庭用据え置きゲーム機が次世代モデルへ移行します。両機共によりハイスペックになり、ゲームはさらにリアルになることが期待されていますが、それに伴いゲームのデータサイズはより大きくなります。今後多くのゲームタイトルがダウンロードで供給されるにあたってゲームサイズの増大は、インターネット回線の速度アップとの兼ね合い次第では、使い勝手に大きな影響を与えかねないようです。
Is downloadable game size increasing faster than broadband speeds? | Ars Technica
http://arstechnica.com/gaming/2013/09/is-downloadable-game-size-increasing-faster-than-broadband-speeds/
ソニーの英国常務取締役Fergal Gara氏は先日、PS4で人気ゲーム「KILLZONE」をダウンロードでも発売すると発表し、ちょっとした話題となりました。なぜなら、PS4の大作ゲームは2層式ブルーレイの容量ぎりぎりの約50GBもあることから、ダウンロードで配信するにはファイルサイズが大きすぎると考えられるからです。PS4にはダウンロードが完了する前にゲームをプレイできる機能が備わっているものの、やはりこの巨大なファイルサイズは、アメリカのブロードバンドの帯域を大きく圧迫し得るものです。
近年のゲームのファイルサイズの巨大化は、ネット回線速度の向上以上にそのスピードが速いのではないか?それは必然的にゲームのダウンロードにより多くの時間を必要としているのではないか?このような疑問について、Ars Thechnicaが考察しています。
ゲーム愛好家(ゲーマー)に意見を求めたところ、数年前に比べてメジャータイトルのダウンロードにはより長い時間がかかるようになったという人がいる一方で、ネットの回線環境が向上したおかげでダウンロードはより快適になったという人がおり、感想は様々であったとのこと。
このため、Ars Thechnicaは、まず、アカマイの統計資料「State of the Internet」からアメリカ国内のインターネットの回線速度の年ごとの平均値から増加率を算出しました。
続いて、各ゲーム機ごとに、ダウンロード可能なゲームのデータサイズがどのように変化したかを調べました。毎年数百のゲームタイトルが発売されることから、メジャーなダウンロードプラットフォームである、Xbox Liveマーケットプレース、プレイステーションネットワーク(PSN)、Steam(スチーム)から、5つずつの主要ゲームを恣意性を排除するため外部のソースから提供された統計を使って選出しています。以上の回線速度とゲームデータサイズから、ダウンロードにかかる時間を算出したところ、ゲーム機のプラットフォームごとに違った傾向が浮かび上がりました。
◆スチーム
スチームのゲームのダウンロードサイズは年を追うごとに増加しており、2007年の平均値が7GBだったのに対していまでは平均値は15GBに増加しています。これは、この間のアメリカのネット回線速度の上昇率よりも早い増加率です。しかし、スチームのゲームダウンロードの時間は、ゲームサイズ自体が最近減少傾向にあることと回線速度が増加しているおかげで、2010年のピークから比べて最近は25%も減っています。
◆Xbox
マイクロソフトは比較的遅い2009年にゲームのダウンロード配信に本格的に参入しました。ダウンロードタイトルのファイルサイズも、Xbox 360のディスク容量である約7GB(2011年にはディスク容量が増加)でしたが、驚くことにそのサイズはほとんど増加することがありませんでした。その間のアメリカのネット回線速度は80%増加したおかげで、Xbox 360のゲームはダウンロード時間が著しく減少しています。
◆PS3
2011年に、PS3のすべてのゲームタイトルがPSNでダウンロード提供されて以来、ゲームのデータサイズはネットの回線速度の増加率をはるかに上回る速度で増大しました。2013年の主要タイトルを見ると、「二ノ国」(21.7GB)、「MLB13」(21.7GB)、そして「The Last of Us」(27GB)という途方もないサイズに増大しており PSNのダウンロードゲームの平均ファイルサイズは爆発的に増えています。この傾向は、PS3の独占タイトルだけに限ったことではなく、例えば「CALL OF DUTY Black Ops II」のPS3版が14.6GBもあるのに対して、Xbox 360版はたった7.41GBしかありませんでした。
このことを念頭におけば、PS4でリリースされる「KILLZONE」が2層式ブルーレイディスクのフルサイズである50GBに限りなく近いサイズでありダウンロード版も同様であることは驚くべきことではないかもしれません。そして、同じくブルーレイを採用するXbox OneのゲームもXbox 360に比べれば、はるかに大きなデータサイズでリリースされるとしても、それほど大きな衝撃を受けることはないとArs Thechnicaは断言しています。
また、このようなゲームサイズの急激な増大は、次世代ゲーム機のリリースに伴う一時的なものであり、ほとんどのゲームタイトルは数年間は50GBの壁を破ることはないと予想でき、今後もネット回線速度はより増加していくことから、巨大なゲームのダウンロードにおけるイライラは徐々に改善されるだろうとしています。
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