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違法薬物サイト「Silk Road」が仮想通貨「Bitcoin」に与えた影響とは?

By Zach Copley

ネット上で違法ドラッグを取引する闇サイト「Silk Road(シルクロード)」が先日、米連邦捜査局(FBI)により摘発され、サイト運営者とされる人物が逮捕・起訴されました。このシルクロードで薬物取引に用いられていたのが仮想通貨「Bitcoin(ビットコイン)」であり、その市場取引価格はシルクロードに大きな影響を受けていたことが判明しました。

【PDF】UlbrichtCriminalComplaint.pdf
http://thegenesisblock.com/wp-content/uploads/2013/10/UlbrichtCriminalComplaint.pdf

Analysis of Silk Road’s Historical Impact on Bitcoin - The Genesis Block
http://thegenesisblock.com/analysis-silk-roads-historical-impact-bitcoin/

2013年10月初旬、悪名高い違法ドラッグサイト「シルクロード」がFBIの強制捜査を受けて閉鎖され、サイト運営者だと疑われているロス・ウルブリヒト容疑者が逮捕・起訴されました。シルクロードは、Tor(トーア)という匿名性の高いソフトを利用することでのみアクセスできる闇サイトで、違法ドラッグの売買情報や殺人依頼などの取引や情報交換がなされており、同サイトの取引には仮想通貨「ビットコイン」が使われていました。

ウルブリヒト容疑者の告発状に添付された数々のデータ資料からは、シルクロードがビットコインに与えた影響力の大きさが明らかになっています。

◆ビットコイン市場とシルクロードの密接な関係
2010年12月30日、ビットコインの市場価格(現実通貨との交換レート)は1BTC(ビットコイン1枚)あたり0.3ドル(約29円)でしたが、2011年2月8日にはその3倍まで高騰します。告発状の資料によると、ウルブリヒト容疑者がシルクロードのフォーラムやサイトに投稿を始めたのが2011年1月27日であるとみられており、これはビットコイン価格が急騰する時期とぴったり重なっています。


その後、ビットコインの市場価格は、1BTCあたり0.65ドル(約63円)から0.8ドル(約78円)の間を行ったり来たりしていましたが、2ヶ月後にTIME誌やニューヨークタイムズ紙などの主要な出版物で報道されることでビットコインの人気が一気に高まり、取引価格と取引量は爆発的に増大、一躍メディアの注目を集めます。さらに、Gawkerが、シルクロードの存在を暴露した結果、ビットコイン価格はバブル的に高騰します。ビットコインの市場価格は、2011年6月7日に、年初来100倍の1BTC=30ドル(約2900円)にまで急騰、シルクロードとビットコインの密接な関係が明るみに出ます。

2011年6月8日に、米上院議員のセネターズ・チャールズ・シューマー氏とジョー・マンチン氏は、エリック・ホルダー司法長官へ書簡を送付し、「即ちにシルクロードネットワークをシャットダウンすべき」と要請すると同時に、オンライン麻薬購入に密接に関連するビットコインを調査するよう要望を出しました。その結果、ビットコイン価格は3日後には66%も値を下げ、1BTC=10ドル(約970円)に急落、2011年11月には2ドル(約194円)にまで暴落します。


翌年の2012年、TIME誌やWiredが再びビットコインを取り上げることで、ビットコイン熱は再燃し、その取引価格は2月まで安定して1BTC=5ドル(約485円)をキープします。告発状の資料によれば、ちょうどその時期は、ウルブリヒト容疑者がシルクロードの構築を完成させ、麻薬密売人として地下に潜った時期ということです。

2012年6月までに、最初のビットコイン企業であるASIC社が製品リリースを始め、新たなビットコイン交換所が次々と現れ出し、ビットコイン業界はドラマチックに拡大します。Gawkerは、2012年7月にシルクロードについての別の記事を掲載したものの、以前と違いビットコイン価格はさらに上昇する結果になっています。そのあと数ヶ月にわたってビットコイン価格は高値で推移し、さらにヨーロッパの財政難も相まってか、2013年4月には1BTC=260ドル(約2万5200円)という空前の高値を記録し、ビットコインはかつてないほど世界の注目を集めることになります。


しかし、最高値をつけたわずか数週間後に、マーケットはビットコインとシルクロードの強い関係性を痛感します。2013年4月24日から5月1日にかけて、シルクロードがDDoS攻撃を受けたところ、それに伴ってビットコイン価格は坂を転げ落ちるように下落します。ビットコイン価格の下落局面は、シルクロードが攻撃を受けた期間にぴたりと一致、両者の緊密な関係性が明るみに出ることに。

しかし、ビットコインはシルクロードが攻撃を受けて35%も値を落とした後、攻撃前比25%減にまで値を戻します。これは、これまでシルクロードに関連する否定的な情報が出される度にビットコインが受けた取引価格下落よりも、影響度の大きさが小さくなっていることを示しています。


ウルブリヒト容疑者が逮捕されたという一連の報道に対するビットコイン価格の値動きからは、ビットコイン価格に対するシルクロードの影響力の低下を見ることができます。シルクロード閉鎖が最初に報道されたとき、ビットコインレートは20~35%下がり、その後ニュースが少なくなるより前に、およそ10~15%の下落にまで回復し落ち着きました。このことは、サイト運営者が逮捕され、サイトにFBIによる差押さえロゴが表示されるなどシルクロードの閉鎖が決定的になったにもかかわらず、ビットコイン価格への影響は比較的抑えられたと評価できます。


◆ビットコイン市場の行方
FBIの告発資料には、シルクロードの収益を明らかにする統計資料が含まれており、これによると、2011年2月から2013年7月の間のシルクロードの総収入は950万BTCであったことが判明しています。その間のビットコインの市場取引総量は2億2500万BTCであることから、シルクロードはビットコイン市場全体のわずか4%にあたる規模であったと推定されます。シルクロードのビットコイン経済への影響力が低下したことが数字からも明らかにされ、この数値は市場の反応に一致しています。

今回、ウルブリヒト容疑者が逮捕されるに至った直接的要因は、彼が暗号化ソフトを使わないで取引記録を残したという単なる人的ミスであったとされており、匿名性の高い闇サイトが解読されたわけではないため、今後も第二、第三のシルクロードの出現が予想されます。しかし、新たな闇サイトでもビットコインが取引に使用される危険性は高いと思われるものの、ビットコイン市場の拡大に鑑みれば、その影響度は一層低下していくだろうと考えられています。

・つづき
違法薬物サイト「シルクロード」閉鎖から1ヶ月で「シルクロード2.0」が出現 - GIGAZINE

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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