オープンソースを活用してケータイを自分で作る「DIY Cellphone」
By Devid Mellis
携帯電話やスマホはもはや一昔前のパソコンを凌駕するほどの性能を持っており、一般のユーザーレベルではその中身を理解することは非常に難しいものですが、そんな携帯電話をArduinoというプラットフォームを使って自作している人たちがいました。
David A. Mellis: DIY Cellphone
http://web.media.mit.edu/~mellis/cellphone/index.html
「DIY Cellphone」と呼ばれるこの携帯電話は、オープンソースのソフトウェアとハードウェアの組み合わせで作成されています。見た目のとおりシンプルな構成になっていますが、電話の発着信はもちろんのこと、テキストメッセージの送受信、アドレス帳登録、そして時刻表示が可能になっています。SIMカードは、既存の通信業者のものを利用可能です。
「DIY Cellphone」のシステムは、オープンソースハードウェアであるArduinoから派生した「Arduino GSM シールド」のシステムを使って動作する仕組みになっています。ハードウェアや設計図、ソフトウェアなどもすべてオープンソース化されており、必要なソースファイルなどはすべてGitHub上に公開されています。
ハードウェア:damellis/cellphone2hw · GitHub
https://github.com/damellis/cellphone2hw
ソフトウェア:damellis/cellphone2 · GitHub
https://github.com/damellis/cellphone2
◆DIY Cellphoneの電子回路
初期の携帯電話のようなシンプルな外観で、液晶ディスプレイとLEDマトリクスの2種類のモデルがあります。
液晶ディスプレイ仕様
LEDマトリクス仕様
内部にはこのような基板が入っています。実装されているLCDディスプレイ、入力キー用のボタンスイッチなども、もちろん自分で組み立てたもの。
この基板の設計データも公開されており、同じくGitHubからダウンロードが可能になっています。
基板の設計データは、プリント基板デザインのフォーマットであるガーバーフォーマットで作成されており、このファイルをプリント基板ネット通販P板.comなどのプリント基板業者に送って製造を代行してもらうことも可能です。
このように、電子パーツをハンダ付けするのも「Do It Yourself」
バッテリーは、ケーブルとコネクタでこのように接続
基板裏面には、プロセッサとなるGSM/GPRS Module M10とSIMカードホルダなどが実装されています。細かな表面実装の回路部品も、手でハンダ付けされています。
基板関連が組みあがったら、Arduinoの開発ソフトウェアArduino Softwareを用いて各種ドライバをインストールすると電子部品の準備は完了です。
◆本体ケース作成
次に、本体のケースを作成します。厚さ6mm程度の合板と木の薄板(ベニヤ)から各パーツを切り出し、ねじとナットを使って固定します。
ケースの形状データはCase/ folderにある 「DIY-Cellphone-Top」と「DIY-Cellphone-Bottom」ファイルです。Inkscapeで作成されたsvgデータになっており、CorelDRAWで編集することも可能です。
切り出したベニヤ板を組み合わせてケースを組み上げていき……
ケースに基板を組み込みます
ネジとナットでフタを固定していけば組み立ては完了です
これで携帯電話が完成。通話も問題なくできます
この「DIY Cellphone」を作成するためのワークショップなども開かれています
ダンボール製のケースでできた携帯電話や……
「パープルハート」と名づけられたスタイリッシュなデザインにする人もいます
自由に本体を設計できるので、くさび型のデザインにしたり……
3Dプリンタを使ってケースを作ってしまう強者もいました
そのうち家庭用3Dプリンター・レーザーカッター・CNCなどが普及していけば、もっと高機能な本当の意味での全部入りスマートフォンやタブレットを自作するのも可能になる時代が来そうです。
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