「銀」は細菌にも有効、10~1000倍も抗生物質の効果を引き出すことが可能に
By play4smee
マサチューセッツのボストン大学で生物医学工学者をするジェームズ・コリンズ氏が率いるチームは、銀がどのように細菌を分裂させるのかを解明しました。これにより抗生物質の効かない耐性菌に対してより有効な手段を取れるようになるかもしれないことを示しました。
Silver Enhances Antibiotic Activity Against Gram-Negative Bacteria
http://stm.sciencemag.org/content/5/190/190ra81
Silver makes antibiotics thousands of times more effective : Nature News & Comment
http://www.nature.com/news/silver-makes-antibiotics-thousands-of-times-more-effective-1.13232
貴金属は、ヒポクラテスが、紀元前400年に最初に貴金属が抗菌性をもっているということについて記述して以来、何千年もの間伝染病と戦うために使用されてきましたが、それがどのように作用しているかは謎のままでした。
コリンズと彼のチームは、イオン分解させられた銀が2つの主な方法で細菌細胞を攻撃していることを解明します。1つは細胞膜の浸透性を高めるという方法、そしてもう1つが酸素化合物の生成を増加させて細胞の新陳代謝に干渉するというものです。これにより抗生物質をより有効に作用させられるようになるとのこと。
By Iqbal Osman
グラム陰性菌であるステノトロホモナス・マルトフィリアのような菌は多くの場合、抗生物質を構成する分子よりも小さな細菌細胞を持っているので、抗生物質がその中へ浸透することができません。しかし、銀の効果で増加した膜透過性はより多くの抗生物質が細菌細胞の中に入ることを可能にし、これらの耐性菌に浸透する割合を増加させてくれます。少量の銀で抗生物質を強化した場合には、抗生物質が細菌の増殖や機能を阻害する効果が通常の10倍から1000倍もあるようです。
By mostly*harmless
ノースカロライナのデューク大学で感染症内科医をするヴァンス・ファウラー氏は「銀の効果はすばらしいものですが、銀の持つ毒性にも十分注意する必要がある」と言います。多量の銀を摂取すると、銀中毒(皮膚が青い灰色の色を回す状態)を引き起こす場合などがありますが、少量の銀で抗生物質を薄くコーティングするなどして摂取すれば細菌に対して大きな効果を得られるだろうということも判明しており、近い将来には銀の働きによりこれまでよりも強力な抗生物質が作られるようになるかもしれません。
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