サイエンス

人生の過渡期にあるときマイナス思考は伝染し、鬱病のリスクは高まる

By Olga_Greece

欝病に関してはインターネットの使い方で欝病かどうかがわかったり、禁煙によりうつが改善されるという研究結果も出ているのですが、新たな研究によって、人は人生の過渡期にある時、周囲の人間のマイナス思考が伝染しやすく、それに伴い欝病のリスクも上がるということが新たな研究で明らかになりました。

Cognitive Vulnerability to Depression Can Be Contagious
http://cpx.sagepub.com/content/early/2013/04/15/2167702613485075.full

Negative Thoughts Can Be Contagious | MyHealthNewsDaily.com
http://www.myhealthnewsdaily.com/3746-negative-thoughts-depression-contagious.html

物事を悪い方向に考える傾向や自身の欠点を責め続ける性質は「認知の脆弱性」と呼ばれるのですが、ノートルダム大学の研究によると103組206人のルームメイトを持つ学生を調査したところ、精神的に落ち込みやすい人と同部屋の学生にはこの「認知の脆弱性」が発見され、同じように暗くなりうつ状態に近付いていくことが明らかになりました。調査は人生の大きな転換期にある大学1年生を対象に3ヶ月間行われたとのこと。学生はルームメイトを自分で選ぶことができず、ルームメイトはランダムに選ばれるため、サンプルには最適だったそうです。過去の研究から認知が脆弱になるにつれ鬱病になるリスクが高まることがわかっているのですが、今回の研究ではそれに加え「認知の脆弱性のレベルは、明らかにルームメイトのそれに影響されることを被験者から発見した」と研究者は述べています。なお、反対にルームメイトが明るい人物なら欝病とは無縁でいられるとも言えます。

By utwebteam

研究ではさらに、大学生活の最初の3か月間で「認知の脆弱性」を経験した人々は経験しなかった人々と比較して、半年間で鬱状態になるリスクをほぼ2倍を持っていることを発見しました。また、研究結果によると参加者が高いストレスの条件下に置かれた時、影響は特に強かったそうです。以前の研究では、一度思春期を経験すれば、その後「認知の脆弱性」レベルはあまり変わらないと考えられていましたが、新しい実験結果によって人は新しい状況下に置かれるなど人生の大きな転換を迎えた時に、「認知の脆弱性」レベルが変化するのだと研究者は述べています。

By Marga Corameta

研究者によると、おそらく遺伝・生物学および環境要因がすべてが「認知の脆弱性」レベルに役割を果たすとのこと。今後さらに、大学1年生以外を対象として調査を行い、「認知の脆弱性」レベルが時間と共に変化するのかどうか、という点を調べる研究が必要とされています。「私たちの発見は、心理学、生物学の要因で成年期以降は変えられないと考えられていたことが、変化の余地があると述べている他の多くの研究結果と一致しています。」と研究者は述べています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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