メモ

いじめっ子の方が成人後に健康的な体をしていることが研究で明らかに

by Thomas Ricker

自尊心の低さやうつ病、深刻な病など、子ども時代に経験する「いじめ」は精神的にも肉体的にもその後の人生における健康と大きく関わってきますが、新たな研究によって「いじめられた経験がない、純粋ないじめる側」にあった人々は、いじめられっ子やいじめに関わったことがない人よりも健康的な体を維持できる可能性があることが分かりました。

Childhood bullying involvement predicts low-grade systemic inflammation into adulthood
http://www.pnas.org/content/early/2014/05/09/1323641111

Being a bully may be good for your health, study finds | The Verge
http://www.theverge.com/2014/5/12/5710720/being-a-bully-may-be-good-for-your-health

Bullying's Long-Term Effects Seen in Both the Bullied and the Bully
http://news.nationalgeographic.com/news/2014/05/140512-bullying-health-depression-stress-science/

米国科学アカデミーの会報で発表された内容によると、子ども時代に「いじめられた経験がない、純粋ないじめる側」にあった人々は、炎症性の刺激や細胞の破壊が生じると急増するタンパク質成分C反応性蛋白(CRP)の血中濃度が低かったとのこと。C反応性蛋白は心筋梗塞やメタボリックシンドロームといった疾患の要因にもなるものであり、研究に参加したデューク大学の疫学者William Copeland氏は「いじめの経験がいじめっ子たちを守っているのです」と語りました。

研究は1993年に開始されノースカロライナ州の子ども1420人を対象に行われているもの。研究者らは被験者が9歳の時から繰り返しインタビューを行い、彼らが20代前半になった時に血液サンプルを採取すると共に、再び「過去3カ月でいじめを受けましたか?」といったいくつかの質問を行いました。

いじめる側のCRPレベルが低い一方で、いじめられる側であった人のCRPレベルは被験者の中で最も高く、子ども時代にいじめる側といじめられる側の両方を経験した人のCRPレベルは高くも低くもなかったとのこと。Copeland氏はいじめていた側がいじめられる側も経験することで、CRPレベルが相殺されるのだと考えています。

by N. M

元いじめっ子たちのCRPレベルが低く、元いじめられっ子のCRPレベルが高いという結果について、「いじめられっ子たちはもともと虚弱だったのでは?」という疑問も挙がっていますが、これについてCopeland氏は「人生後期におけるCRPレベルに影響を及ぼす要因を特定し、いじめられる前の子どもたちが有していた健康上の問題を考慮しても、やはりいじめる側の子どもたちはCRPレベルが低かった」と語っています。これまでの研究は「いじめられる側」にフォーカスを当てた形だったので、「いじめる側」の健康にも着目した今回の研究結果は大きな意味があるものとなりました。

なぜ「純粋ないじめる側」のCRPレベルが低いのかは現在のところ分かっていませんが、「いじめっ子の社会的地位が高くなったり、『良い』いじめっ子であることが成功をもたらしたりして、このような結果となったように見える」とCopeland氏。また「いじめられる側」については過去の研究で、子ども時代における虐待やいじめの経験は後の人生のストレスに対する反応に影響を与えるということが判明しています。ストレスに反応して増加するコルチゾールというホルモンが幼少期において過度な増加を繰り返すと、人はストレスに対して適切に反応できなくなり、炎症に対して脆弱な体になってしまうのです。

by marsmett tallahassee

今回の研究結果は決していじめを推奨してるわけではなく、いじめを行わなくとも運動や部活動、社会的活動によって低いCRPレベルを保つことが可能。またCRPレベルが高いからといって必ずしも不健康であるとは限らず、値は「20代から30代の人々における将来的な健康上のリスクの指針」にすぎないとのこと。

The Vergeがキングス・カレッジ・ロンドンの精神生物学者であるAndrea Danese氏に意見を求めたところ、「この研究は『こども時代の重大なストレス原因の1つがいじめである』という過去の研究結果を補強する」としつつも、「いじめる側」については「『純粋ないじめ』によっていじめっ子の体が守られるということについては、まだ結果がハッキリしておらず、情報も少ない」としてコメントを避けました。Danese氏は今回の研究に参加していないのですが、子ども時代の虐待経験や若年期における孤独が今回の研究とよく似た影響を及ぼすということを過去に発表していました。

by Andy Rennie

なお、Copeland氏の率いるチームは現在、集めたデータを分析しているところ。今後さらに研究を継続し、CRPレベルの上昇が人生後期における健康上の問題とどのように関わってくるかを観察する予定です。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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