藻類から熱やバイオマスエネルギーなどの再生資源を自ら生成する家
シドニー・オペラハウスやポンピドゥー・センターの施工を手がけたアラップが新しく建設したBIQ Houseと呼ばれる家は、内部で藻類を飼育しているバイオリアクターを正面玄関に多数設置して、熱やバイオマスエネルギーなどの再生可能エネルギーを自ら生成するという環境に配慮した建築物で、3月23日からドイツのハンブルグで開催された世界建築展覧会で世界初お披露目となりました。
World first bio-reactive façade debuts in Hamburg | Arup | A global firm of consulting engineers, designers, planners and project managers
http://www.arup.com/Home/News/2013_03_March/22_March_Hamburg_debut_for_first_bio_reactive_facade.aspx
IBA Hamburg – BIQ
http://www.iba-hamburg.de/en/themes-projects/the-building-exhibition-within-the-building-exhibition/smart-material-houses/biq/projekt/biq.html
南側を向いたBIQ Houseの正面玄関には大きさ0.7m×2.5mの内部で微細藻類が飼育されているバイオリアクターが129槽設置されています。邸内にあるエネルギー管理センターでは設置されたバイオリアクターから取り込まれた太陽熱を使って館内で使用する温かいお湯を沸かしているとのこと。またバイオリアクター内で飼育されている藻類からバイオマスエネルギー(微細藻燃料)と呼ばれる再生可能エネルギーを生産することもできるようです。
また、設置されたバイオリアクターは自ら再生エネルギーを生成するだけではなく外部からの熱や音を遮断したり、陰を作る役割も果たしています。
建物の背面は正面とは違い、人の目を引きつけやすいポップなデザインで、色は藻類と同じ緑色を使用し壁には「光合成?」「クール!」の文字が。
アラップのヨーロッパ調査部を率いるジャン・ワーム氏によると、「正面玄関に設置したバイオリアクターから再生可能エネルギーを生成するという生化学プロセスを建築物に取り組んだことは革新的な試みです。このような試みを実際に人が住む住居でテストできることは素晴らしく、将来的には都市部におけるエネルギー生産問題の解決法になるかもしれません」とのこと。
By Las Noticias de Canarias
建築物が自ら再生可能エネルギーを生成することは人間と環境の両方に利益がありますが、ハンブルグの天候は曇りや霧雨の日が多く、降雨の頻度が高いようで実際に太陽の光や熱をバイオリアクターに取り込めるのか疑問視する声もあるようです。
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