取材

グランドキャニオンの谷にトレイルで降りて岩山を見上げてみた


コロラド川が長い歳月をかけて削り上げたのがグランドキャニオン。世界遺産にも登録されていて、全世界から訪れる多くの観光客を魅了しています。東西に伸びる渓谷に沿って数々の展望台があり、そこから遠く遠くまで広がる景色には圧倒されました。引き込まれます。だからこそ、その谷の中から見える景色も気になって、トレイルを歩いてみました。遠くからでは見えないコロラド川の流れも、近くまで来ると分かります。西部劇の舞台として愛されたモニュメントバレーから、アメリカ観光のハイライトであるグランドキャニオンまで走りました。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。ザイオン、ブライスキャニオン、アーチーズと続いたグランドサークルの観光もモニュメントバレーとグランドキャニオンで終わり。自然というより、地球を感じる楽しい場所でした。

グランド・キャニオン国立公園はこちら。

大きな地図で見る

アーチーズ国立公園の観光の基点となるモアブ(Moab)の街から南下してモニュメントバレーを目指します。緑が多かった大きな峠を一つ越えると、辺りは乾いて寂しい景色となりました。地の果て。モニュメントバレーが近くなるとゴツゴツとした岩山、絵にならない景色はイメージと違います。でも、メイン道から中に入ってビジターセンター到着したら言葉を失いました。見える角度によって、ここまで違うとは思いませんでしたが、思い抱いていたモニュメントバレーの景色がそこにありました。

モニュメントバレーへと伸びる道。


すぐ近くまで来ているのに期待はずれ。「これで終わりだったら残念」と焦ります。


とりあえず、それらしい写真。


ビジターセンターまで到達して、ようやく理解。見る場所によって、ここまで景色が変わるとは。


この平原にポツリと置かれたような岩山が、記念碑(モニュメント)のようにみえることから、モニュメントバレーと呼ばれています。


西部劇の舞台として数々の映画が撮影されたモニュメントバレー。


モニュメントバレーの深部へ伸びているダート道。


モニュメントバレーを出ると、アリゾナ州に入ると同時にネイティブアメリカンであるナバホの国が始まります。褐色で黒い髪をした東洋人のようなナバホ族の人たちが、一定の自治権を持って生活していました。ただ生活水準が低いのか、家も街も少し粗さが目立ちます。とある商店の入り口には出入り禁止人物のリストまで。とはいっても、大半の人は普通に生活しているわけで、スーパーマーケットやマクドナルドの賑わいはアメリカと変わりませんでした。

ユタ州からアリゾナ州へ。


草原地帯。


一転して、砂しかありません。


リトル・コロラド川が作り上げた渓谷はリトル・グランドキャニオンとでも呼ぶのでしょうか?


地表が流れて飲み込まれているようです。


Wikipediaによるとグランドキャニオン

約4000万年前、コロラド川による浸食が始まる。峡谷は500万年前にほぼその全容を現し、現在見られるような峡谷になったのは、約200万年前である。そして今もなお、浸食は続いており、最古でおよそ20億年前の原始生命誕生時の地層を浸食している。グランドキャニオンの断崖は平均の深さ約1200m、長さ446km、幅6km~29kmに及ぶ。最深地点は1800m。

となっています。200万年、20億年、時間の使い方が桁違いで感覚がつかめません。

グランドキャニオンは谷を挟んで、ノースリム(北側)とサウスリム(南側)と2ヶ所から見学することができます。観光の中心はサウスリムで、自分もこちらからグランドキャニオンに到達しました。モニュメントバレーからだと東側のゲートから入ります。キャンプ場やビジターセンターもあるビレッジまで約40kmを、幾つかの展望台に立ち寄りながら走りました。どこの展望台も標高2200m前後です。

ゲートをくぐってすぐの展望台がデザートビュー(Desert View)、グランドキャニオン東の果て。この景色がグランドキャニオンとの最初のご対面でした。


グランドキャニオンを作るコロラド川。


ビレッジの方角。深く刻まれた大渓谷。


グランドキャニオンより上部は平原となっています。


デザートビューから見たグランドキャニオン - YouTube


憧れていた場所に自転車で到達できました。


ナバホポイント(Navajo Point)


リパンポイント(Lipan Point)


崖と谷。


モーランポイント(Moran Point)


地層ごとに色が違ってます。


グランドビューポイント(Grandview Point)


ビリビリビリと破けてしまったような谷。


展望台の場所の数だけ、見える景色がありました。


ビレッジのキャンプ場は2泊しました。このビレッジに宿泊施設やスーパーマーケット、ビジターセンターが集まっていて、サウスリムにおける観光の拠点となっています。展望台へ向かうシャトルバスもビレッジが基点です。このビレッジの周りにも展望台があるので、到着した翌日の朝に周りました。

マーザーポイント(Mather Point)はパンフレットにも使われるくらい有名な展望台。


朝のグランドキャニオンはすがすがしい。


リスもグランドキャニオンに感動!?


マーザーポイントの近くにヤバパイポイント(Yavapai Point)


大地がひび割れているのが一目瞭然。


ヤバパイポイントから見たグランドキャニオン - YouTube


朝から一通りの観光は済ませて、メインイベントであるブライトエンジェル・トレイル(Bright Angel Trail)を歩きました。グランドキャニオンの谷底へと続いていくトレイルです。降りることから始まると、帰りが登りになるのでペース配分も考えないといけません。12月だったので、あまり暑くはありませんでした。ただ、このトレイルを40度は超える夏に歩くなら大変そうです。


「あなたはボストンマラソンを完走できますか?」その問いかけで始まったポスターの結びが、「ボストンマラソンを完走した彼女はこのトレイルで迷って亡くなりました」となっていて衝撃を受けました。今年の10月に行方不明になった老年の日本人男性のポスターも出ています。トレイルを歩くならばしっかりと準備を整えて、万が一の事態が起きないように心がけるべきでしょう。トレイルに限らず、展望台の遊歩道にも柵の無い場所はたくさんあるので、観光でも足元には十分に注意して下さい。

山肌を下って谷間で降りて、左端の草っ原まで歩きます。


今回のトレッキングの目的地であるコロラド川の展望台プラトーポイント(Plateau Point)はこちら。


崖を降りていきます。


野生のエルク。


トレイル上には自然のトンネル。


どんどんと標高を下げていきます。


谷底に向かって伸びるトレイル。


繰り返し繰り返し九十九道。


だんだんと谷底が近づいてきました。


ここがキャンプ場のあるインディアンガーデン(Indian Garden)、ここではかつてネイティブアメリカンの人たちが暮らしていました。乾いたグランドキャニオンでも清流と緑のあるオアシスです。


12月でも日差しに輝く木々。


インディアンガーデンからプラトーポイントまでは平坦な原っぱを歩いていきます。


モニュメントバレーでみた残丘のように岩盤から広く伸びている裾野。


プラトーポイントに到達したらコンドルがお出迎え。


コロラド川をみつめて何を想っているのでしょうか?


こちらが今なおグランドキャニオンを削っているコロラド川。プラトーポイントから川底までの標高差は約400m。


別角度から。プラトーポイントからだと川の流れもくっきりと見えました。


平坦な場所が崩れ落ちていく様子。


幾つにも重なっている地層。


プラトーポイントから見たグランドキャニオン - YouTube


誰もいないので一人占めした景色。谷底を見下ろす景色ばかりが話題になりますが、谷底から見上げる景色も素敵でグランドキャニオンの魅力を十分に味わえました。


ブライトエンジェル・トレイルの本線はコロラド川を渡って、谷底で唯一の宿である「ファントムランチ」へと続いていきます。


ビレッジに戻ったら、夕暮れとなったグランドキャニオン。


静かな夜がやってきます。


世界一周を考えたときから「アメリカを走るなら絶対グランドキャニオンには行きたい」と夢がようやく叶いました。


グランドキャニオンのビレッジから南に進むと、標高も下がってサボテンが姿を表します。そのままアメリカを出国して2012年の年越しはメキシコになりました。今年一年お世話になりました。皆様、良いお年をお過ごしください。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
)

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in 取材, Posted by logc_nt

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