オリンピックが開催されることで一体どれほどのお金が動いているのか

By ryanlry

ロンドンオリンピックが開催される2012年7月27日まであと数日となりましたが、実はオリンピックには何兆円という多額のお金が関わっています。英文ビジネス誌「Fortune」によると、例えばロンドンオリンピックにかかる費用は400億ドル(約3兆1700億円)とのことで、他にも同紙でGraphics Directorを務めるNicolasrapp氏の図表を用いてオリンピックにはどのようなお金の流れがあるのか明らかにしています。

The (very big) bucks behind the Olympics | nicolasrapp.com
http://nicolasrapp.com/?p=1153

◆夏季オリンピックにかかった費用ランキング


1位:430億ドル(約3兆4000億円)(2008年北京オリンピック)
2位:400億ドル(約3兆1700億円)(2012年ロンドンオリンピック)
3位:150億ドル(約1兆1900億円)(1992年バルセロナオリンピック)
4位:140億ドル(約1兆1100億円)(2004年アテネオリンピック)
5位:80億ドル(約6300億円)(1988年ソウルオリンピック)
6位:70億ドル(約5500億円)(1996年アトランタオリンピック)
7位:50億ドル(約4000億円)(2000年シドニーオリンピック)
8位:10億ドル(約790億円)(1984年ロサンゼルスオリンピック)


例えばロンドンオリンピックは、既に当初に予想した金額よりもはるかに多額の費用が発生する見込みになっているとのこと。

◆ロンドンの警備にかかる費用


オリンピックに伴い国民が負担する税額の内訳は以下のようになっています。

・31億ドル(約2500億円):競技場用の敷地の準備やインフラ整備
・19億ドル(約1500億円):開催地の整備
・14億ドル(約1100億円):交通機関の整備
・14億ドル(約1100億円):その他のオリンピック開催に伴う計画
・14億ドル(約1100億円):警備(偶発的なものも含む)
・40億ドル(約3200億円):その他(メディアのサポートを含む)


2005年の7月7日にロンドンが2012年のオリンピックの開催国という内容が発表されたのち、公共交通機関にてテロが発生し56人の死者が出ました。再びこのようなことが起こらないよう、そして2万5000人にのぼる選手、コーチ、その家族、オリンピック委員会のメンバー(そして70万人もの旅行客)を守るために、警備にかかる費用は14億ドル(約1100億円)になるようです。今夏、ロンドンは英国王立海軍航空母艦、戦闘機「Euro fighter」、パイロット、2万3000人以上の警備員(約1万3500人の傭兵を含む)、監視カメラの設置などによってまるで要塞のようになるとのことです。

◆水泳選手はお金の中を泳ぐ


アメリカの男子競泳選手ライアン・ロクテの2012年度収入の内訳はこんな感じ。

・50万ドル(約4000万円)(+メダル獲得によるボーナス):スピード社によるスポンサー料
・50万ドル(約4000万円):フィットネスビデオによる売り上げ
・30万ドル(約2400万円)(+メダル獲得によるボーナス):ゲータレード社によるスポンサー料
・30万ドル(約2400万円):ジレット社によるスポンサー料
・30万ドル(約2400万円)(+自動車):日産によるスポンサー料
・25万ドル(約2000万円):AT&T社によるスポンサー料
・3万ドル(約240万円):米国水泳基金
・10万ドル(約800万円):その他


アメリカでは、毎年9300万人もの人々が水着に14億ドル(約1100億円)使います。このことは、プロの水泳選手にとって豊富なスポンサーと財力のある支援団体が存在することを意味します。例えば先ほど出てきたアメリカの水泳選手であるライアン・ロクテは200メートルの自由形と背泳ぎで金メダルを獲得することが期待されていますが、この年は230万ドル(約1億8000万円)を稼ぐと見込まれています。それに加えて、フィットネスビデオでの収入もあり、今後はファッションの世界にも進出する予定です。そして通算16個のオリンピックメダルを獲得しているチームメイトのマイケル・フェルプスは「ロンドンが最後のオリンピックだ」と宣言しており、そうなるとロクテの収入はより増えることになります。

◆ボート選手は別に一つもしくは二つの仕事を持っている


アメリカのボートチームの収入の内訳はこうなっています。

・160万ドル(約1億2700万円):オリンピック委員会による交付金
・90万ドル(約7100万円):交付金
・50万ドル(約4000万円):チケット収入
・30万ドル(約2400万円):スポンサー
・20万ドル(約1600万円):その他


アメリカはオリンピック選手にお金を出さない数少ない国の一つです。なので、オリンピック選手はアメリカオリンピック委員会、企業スポンサー、個人スポンサーからお金を得る必要があります。アメリカオリンピック委員会の交付金は、39のオリンピックスポーツに分配され、それらは各スポーツの財源の5%から95%をまかなっています。しかし、十分な交付金を得られず、また企業スポンサーのいない人気の無いスポーツやチームなどは、自らお金を稼ぐ必要があります。例えば、アメリカのボートチームはゴルフコンペを開催したりと、ロンドンに行くために9万ドル(約700万円)を稼ぐ必要があるとのこと。アメリカの女子ボートチームのメンバーの俸給は月に400ドル(約3万2000円)から1000ドル(約8万円)です。メンバーはトレーニングの最中は下宿先を見つけ、そして1つか2つの別の仕事を持っています。一方、アメリカとは対照的に、イギリスではボートは人気の種目で、オリンピック基金は少なくとも4300万ドル(約34億円)にのぼります。

◆NBCのオリンピックへの投資は成功するのか

IOC(国際オリンピック委員会)の収入の内訳は以下のようになっており、濃い青の部分がNBCからの収入です。


・8億ドル(約630億円):ロサンゼルス/サラエボ
・12億ドル(約950億円):ソウル/カルガリー
・19億ドル(約1500億円):バルセロナ/アルベールビル
・26億ドル(約2100億円):リレハンメル/アトランタ
・38億ドル(約3000億円):長野/シドニー
・42億ドル(約3300億円):ソルトレイクシティー/アテネ
・55億ドル(約4400億円):トリノ/北京


2011年の6月、アメリカの三大ネットワークの1つであるNBCは2020年までのオリンピックの放映権を獲得するためにIOC(国際オリンピック委員会)に43億8000万ドル(約3500億円)を支払いました。これはIOCにとってはまさに棚からぼた餅で、放送局全体から得る料金のほぼ半分にあたります。NBCの主な支出先は7億7500万ドル(約610億円)がソチ、ロシアの冬季オリンピック、そして12億ドル(約950億円)が2016年のリオデジャネイロのオリンピックです。しかし、NBCは2010年のバンクーバーオリンピックで2億2300万ドル(約180億円)を損失しており、オリンピックの放映は確かな投資では無いと学んだはずでした。それでもなお、NBCはオリンピックの放送を、秋の番組(失敗する可能性を有しているにも関わらず)を宣伝する良い機会だと考えています。マイケル・フェルプスのようなスターならば視聴率を上げられるので、心臓をふるわせるような感動的な「人生の一コマ」をたくさん見られることが期待できます。

なお、オリンピックの商業主義については「オリンピックと商業主義」という書籍があり、「オリンピックと商業主義 - 琥珀色の戯言」でその内容が紹介されているのですが、「近代オリンピックの幕開けとなった、1896年のアテネ大会は、基本的に寄付金で開催された」「ロサンゼルスオリンピックは、史上初の「完全民営化」されたオリンピックで、赤字は許されなかった」などなど、興味深いことが書かれています。

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