MegaUploadの創設者が新たな音楽共有サイト「MegaBox」をリリース予定

FBIによって逮捕されたMegauploadの創設者キム・ドットコムが、自身のTwitterアカウントにて新たな音楽共有サイト「MegaBox」を始める予定を明らかにしました。ドットコムの支援者の中にはスティーブ・ジョブズとともにAppleの創業者として知られているスティーブ・ウォズニアックも名を連ねています。

Twitter / KimDotcom: The major Record Labels thought Megabox is dead. Artists rejoice. It is coming and it will unchain you.

AP Interview: Apple’s Steve Wozniak and Megaupload’s Kim Dotcom slam US piracy case - The Washington Post

ドットコムは2012年1月にFBIによって逮捕後、2月に条件付きで保釈されています。ドットコムは、Megauploadと映画産業との間で起きた著作権に関する行き違いは政治的な議論の対象であって、法廷に属する問題ではないと語っており、自身の逮捕は不当ではないかと考えているようですが、一方で、海賊版ファイルをホストする形になっていたことは認めています。

そのドットコムとスティーブ・ウォズニアック(ウォズ)が親密になったのはここ半年のこと。ウォズがニュージーランドで講演を行う機会があったとき、ドットコムは保釈条件に「家から50km以上離れないこと」というものがあって来られなかったため、それを知ったウォズがドットコムのもとを訪れたのがきっかけで、以後はメールをやりとりする仲になりました。

電子フロンティア財団の設立メンバーでもあるウォズは、ドットコムに対する訴訟は「hokey(でっち上げ)」なものだという考え。Megauploadの一件については、Megauploadを高速道路に、海賊版をアップロードしていた人たちをスピード違反者に見立てて、「誰かが高速道路でスピード違反をしたからといって、高速道路自体を封鎖するのか？」と、訴訟がインターネットの革新に対する脅威であるととらえています。

Megauploadのようなサイトを閉鎖することには何の意味も無いと考えているウォズは、人々はコンテンツに対する対価を支払うべきだと信じる一方、革新を促進するためにもインターネットはオープンであり続けるべきだという考えも持っています。

ワシントンポストに掲載されたインタビューでは、ドットコムの肩を持つウォズに対して「口の巧い詐欺師に騙されているのではないか？」と記者が質問を投げかけています。これは、ドットコムが1998年にテレホンカード窃盗とコンピュータ詐欺で、2002年にベンチャー企業の株価操作で、いずれも有罪となって罰金を支払っていることを指しているものですが、これに対してウォズは「確かにそうかもしれない。信頼性のある情報が出てくれば、私は彼と対立することになるだろう。だが、今まで聞いた話の中には、そうなる要素は見当たらない」と否定し、むしろ、ドットコムが積み重ねている弁護士料金を支払えるようにするためにも、当局は資産凍結を一部解除すべきだと語っています。

ドットコムの保釈条件としては、前述の移動制限のほかに「インターネットへの接続禁止」もあったはずなのですが、6月20日からTwitterを開始。ニュージーランドではジョン・キー首相(5万1000フォロワー)に次ぐ、4万フォロワーという人気を集めています。Twitterで彼は、新しい音楽共有サービスとしてMegaBoxのリリースを予定していることをツイートしています。

まだサイトのトップページのスクリーンショットしか出ていない状態ですが、このサイトはドットコムが逮捕されてから考えたものではなく、2011年12月の段階でTorrentFreakに掲載された記事の中で少しだけ触れられています。

From Rogue To Vogue: Megaupload and Kim Dotcom | TorrentFreak

この段階では「Megabox.comという音楽ベンチャーを始める予定」ということで、アーティストが消費者に対して直接音楽を売ることができ、利益のうち90％がアーティストに還元されるという内容が予定されています。

Megaboxを作っているらしい、キム・ドットコムと「メガ帝国」の愉快な仲間たち。インターネットに再び風穴を開ける存在となるのでしょうか。