サイエンス

見えない放射性物質が見えるようになるカメラ「超広角コンプトンカメラ」実例画像


宇宙航空研究開発機構(JAXA)はガンマ線を放出する放射性物質の分布を可視化する新しい装置「超広角コンプトンカメラ」を試作し、従来のガンマカメラに比べ格段に広い視野での放射性セシウムの分布の高精度画像化に成功したそうです。

JAXA|「超広角コンプトンカメラ」による放射性物質の可視化に向けた実証試験について
http://www.jaxa.jp/press/2012/03/20120329_compton_j.html

このカメラは次期X線天文衛星ASTRO-Hに搭載予定のガンマ線観測センサの技術を応用したもので、広い視野(ほぼ180度)と核種に固有なガンマ線を識別する能力があり、敷地や家屋に広く分布したセシウム137(Cs-137)やセシウム134(Cs-134)について画像化できるとのこと。これにより、従来の調査では困難であった屋根などの高所に集積する放射性物質も画像化できるようになったわけです。

以下の写真は超広角コンプトンカメラを構成する2ユニットの実物


超広角コンプトンカメラの実物


宇宙科学研究所にて行った超広角コンプトンカメラによるイメージング試験結果3種類の放射性較正線源 (バリウム133 (Ba-133)、セシウム137(Cs-137)、ナトリウム 22(Na-22)) を地面に置いて撮像を行ったのが以下の画像。それぞれの核種から放射されるガンマ線に対して、別々のエネルギーウインドウを設定して解析、それぞれの核種の分布を同時に画像化し、エネルギーで核種を分離できる能力を生かして、バリウム133を緑、セシウム137を赤、ナトリウム 22を青で表示しています。


以下の装置は「ガンマプロッターH」、地表5㎝及び100㎝の位置にプラスチック・シンチレータ検出器をセットしたステッキを持って歩くことにより、環境中の放射線計測を実施するとともに測定地点を衛星測位システム(GPS)で計測し、放射線量率が地図上にプロットされ容易に放射線量率マップを作成ことができる放射線計測器。


で、以下が実際の例。

◆例その1:飯館村公民館近くのスーパー裏手

超広角コンプトンカメラでの撮像結果(60分間積分イメージ、測定者2名)


ガンマプロッターHでの測定結果(測定数78点、所要時間21分(移動等含む)、測定者2名)


撮像時間変化


◆例その2:飯館村公民館近くのスーパー正面

超広角コンプトンカメラでの撮像結果(60分間積分イメージ、測定者2名)


ガンマプロッターHでの測定結果(測定数78点、所要時間21分(移動等含む)、測定者2名)


撮像時間変化


◆例その3:飯館村草野 綿津見神社近辺山林

超広角コンプトンカメラでの撮像結果(60分間積分イメージ、測定者2名)


ガンマプロッターHでの測定結果(測定数216点、所要時間65分(移動等含む)、測定者2名)


撮像時間変化


JAXAによると、今後はこの技術を生かして福島県内で放射性物質による汚染を除去する「除染」を進めることができるようになる、とのことです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse

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