取材

裸の男たちが凍った川で水を浴び炎の上で叫ぶ「蘇民祭」現地取材~灼熱編~


1000年以上の伝統を持つという岩手の奇祭「蘇民祭」は凍った川で行水をして、炎の上で叫び、縁起物の麻袋を奪い合うという壮絶な行事。会場となる岩手県の黒石寺まで実際に行って取材した記事の「突撃編」、「極寒編」に続く第3段は巨大なたき火の上に裸の男たちが登って気勢を上げる「柴燈木登り(ひたきのぼり)」の様子をレポートします。

深夜12時前に始まる「柴燈木登り」に先だって、たき火の準備がスタート。使用されるのは直径30センチ近い木材を半分に切った薪で、これを「井」の字型に積み上げていきます。


作業をする人の背中には「がんばれ岩手」の文字が。過激な内容のみに注目が行きがちな祭りですが、人々の様々な願いが込められた行事であることを忘れてはいけません。


薪を組み上げる作業に重機は使わず、作業は全て人力。


どんどん木材を積み上げ、最終的には2メートル以上の高さになります。


いよいよ点火。


この時を待っていた男衆が次々と薪に登り始めます。


成人男性の身長をゆうに超える高さで薪の下部には既に火が回っている、という過酷な状況のため手を貸しあって上へ。


煙にむせながらも邪気を払うという「ジャッソー、ジョヤサ!」のかけ声を叫びます


薪の上は熱と煙の影響で長時間立っているのがつらいようです。


足は足袋で保護されていますが、下ではかなりの勢いで火が燃えているのでかなり熱いはず。


煙のダメージも相当つらいようです。


10分も経つと火が回りはじめメラメラと燃え上がります。


「火の粉で身を清める」というのが趣旨の行事なので、なんとか薪の上に長く留まろうとする人々。


遠くから見ると、燃えさかる炎に照らされた煙の中に人影が立っている異様な光景。


火が強くなりすぎりと周囲にある雪を投げ込んで勢いを弱めては薪に登ります。


風にあおられるなどして炎が燃え上がると周囲に立っているだけでも危険な状態に。


先に行なわれた極寒の中での行水「裸参り」から一転して、今度は灼熱の祭りです。


薪の上で気勢を上げている人たちの様子がわかるムービーは以下で見られます。

2012年「蘇民祭」柴燈木登り-1 - YouTube


薪の上に登り終えた後は、火の付いた薪を抜き出し左右に振りながら本堂を目指します。


薬師堂の手前に着くと薪を床に叩きつけます。火の粉が飛び散り「火事になるのでは?」と不安になるほどですが、これによって邪気を払うという意味があると信じられているようです。


お堂に入るには「親方」と呼ばれる祭りを仕切る人物と対峙して、認められなければなりません。火が消えていたり、気合いが足りないと判定されたものはここから先に進めません。


親方の許可が下りると、床を叩く動作を繰り返しながら中へ。


周囲には火の粉が飛び散っています。


ゆっくりと薪を振ることで火の粉が風に煽られ、火が消えること無く本堂までたどり着けます。


姿勢やかけ声がなっていないと「親方」に薪を踏まれ制止されてしまいます。


この人が「親方」。


判定はなかなか厳しく、だいたい半分くらいの人が追い返されていました。


薪を踏まれて制止された人は、必死の形相で「親方」の足を払おうとしています。


薪を持って本堂に向かう人たちの様子は以下のムービーで確認できます。
2012年「蘇民祭」柴燈木登り-2 - YouTube


次々に薪を持った人がやってきます。


飛び散る火の粉。


「親方」との睨み合い。


スムーズに行く人はこんな感じ。腰をかかげながら薪を振り、「親方」の前で地面を一打ちして、本堂に入ります。


1時間ほど経って薪に炎がまわりきると上に登れなくなるので「柴燈木登り」は終了。


翌朝5時から始まるメインイベント「蘇民袋争奪戦」の様子は次の記事をお楽しみに。

・次の記事
裸の男たちが凍った川で水を浴び炎の上で叫ぶ「蘇民祭」現地取材~争奪編~ - GIGAZINE



・前の記事
裸の男たちが極寒の中で水を浴び炎の上で叫ぶ「蘇民祭」現地取材~突撃編~ - GIGAZINE



裸の男たちが凍った川で水を浴び炎の上で叫ぶ「蘇民祭」現地取材~極寒編~ - GIGAZINE


この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
さらし姿の男衆が100kgのたいまつをエッサホイサ、がんがら火レポート前編 - GIGAZINE

至近距離で燃えさかる炎と戦う男たち、がんがら火レポート後編 - GIGAZINE

2011年PL花火芸術、怒濤のクライマックスムービーなどなど - GIGAZINE

行った気になれる嵐山灯籠流しムービー集、風情のある幽玄の世界を追体験 - GIGAZINE

有刺鉄線に泥道、沼地や炎をくぐり抜ける過酷な「タフガイ・レース」 - GIGAZINE

in 取材,   動画, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.