コクヨの虎の巻がついた「遺言書キット」を万が一に備えて実際に使ってみました
「遺言書」というと、大金持ちの老人が書き残していて、それを見つけた遺族がお互いの取り分を巡って陰謀を張り巡らせる……というサスペンスの定番展開が頭に浮かびます。しかし実際の所は、特別な財産や家族関係でややこしい問題を抱えていなくても、遺言書を書いておくことで、万が一の時に残された人の負担を軽くしてあげることができるということは、あまり知られていません。
今回は、遺言書を書くことの意味と、どんな遺言書があるのか、どのように書いたらいいのかを確かめながら、コクヨS&Tの「遺言書キット」を使って実際に遺言書を書いてみました。
遺言書キット - ライフイベントサポートシリーズ - コクヨS&T
これがコクヨS&Tの遺言書キット。税込で2415円でした。
中には、「遺言書・虎の巻」と遺言書用紙4枚、遺言書下書き用紙2枚、保管用台紙1枚、封印用封筒1枚が入っています。
「遺言書・虎の巻」。遺言書を書くことのメリットや、実際の書き方などが、漫画入りで分かりやすく解説されています。
保管用台紙。
封印用封筒。
下書き用の用紙2枚。
遺言書用紙4枚。
裏側はこのようになっています。開封すると元にもどせないタイプの封筒です。
「遺言書・虎の巻」では、まず「なぜ遺言書を書くべきなのか」について、漫画で解説しています。
結婚したばかりの佐藤一郎さん、良子さん夫妻の場合。子どものいない家庭の場合、配偶者が全財産を相続するものだと安心していましたが、実際には配偶者以外にも両親や兄弟、姪甥が相続人となる場合もあることを知り、遺言書の必要性に気づきます。
たとえ両親や親族との仲が円満で、財産相続に問題が発生しないと予測されるとしても、遺言書が無ければ「遺産分割協議」を行い、「遺産分割協議書」を作成して、実印を押してもらわなくてはなりません。遺言書があれば、煩雑でもめ事の元になりやすい手続きを簡略化することができます。
こうして書かれた遺言書が、下のものです。4番の「付言事項」には、「もしものときに、両親や良子が手続きなどで大変な思いをしないようにこれを書きました。理解してもらえるとうれしいです。よろしくお願いします。」と書かれています。
良子さんも夫の一郎さんと一緒に遺言書を書きました。
子どもがいる家庭の場合も遺言書は役に立ちます。こちらの漫画は、2人の子どもがいる山口俊之さん、恵美子さん夫妻の場合。
子どもが未成年の場合には、子ども1人につき親以外の「特別代理人」を1人つける必要があります。特別代理人は子どもに代わって遺産分割協議書に署名・捺印したり、登記謄本や身分証明書を用意しなくてはなりません。
遺言書が用意されていれば、特別代理人なしで相続の手続きが可能になります。簡単なものであっても遺言書を書いておくことによって、万一のとき、残された配偶者や子どもの負担を、少しでも軽くしてあげることができます。
俊之さんの遺言書は妻の恵美子さんにすべての財産を相続させるというもの。1番の(1)では不動産に関して別項を立てて記載しています。このように、財産の中で主なものについては特別明確に記載しておくことで、トラブルを防ぐこともできます。
恵美子さんの遺言書。付言事項のメッセージは「夏希、雅俊、パパ、みんなの幸せを願っています。」と簡単なものですが、不慮の事故で声をかける間も無く亡くなってしまった場合などは、こんな一言が家族の心の支えになってくれるかも知れません。
遺言書には大きく分けて「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つがあります。自筆証書は本人が全文を自筆で書いたもので、公正証書は公証役場で公証人が作成するものです。それぞれにメリットとデメリットがありますが、今回「遺言書キット」で作成するのは「自筆証書遺言」です。
遺言書作成の流れは下の図のようになります。自筆証書遺言の場合、自分で書いて自分で保管します。本人が死亡した場合、遺言書は開封せず、家庭裁判所に持ち込んで検認を受ける必要があります。
遺言書では遺産分割方法の指定のほか、ペットの世話を頼んだり、お墓の管理を依頼したり、子どもなどの後見人を指定することができます。
実際に遺言書を書く場合は下の画像のように書きます。特に「すべて自筆で書く」「遺言を作成した日の正確な日付を書く」「署名をする」「印鑑を押す」の4点は、ひとつでも漏らすと遺言書が法的に無効になってしまうので、注意が必要です。
このほか「遺言書・虎の巻」では、ここに掲載したことの詳しい内容に加え、Q&Aや全国の家庭裁判所一覧、弁護士会一覧も掲載されています。
試しに自分でも遺言書を書いてみることにしました。
出来上がり。
これを保管用台紙に入れて、封筒に収めた後、封をして死後見つかりやすい場所に保管します。これでいつ万一の事態に遭遇しても安心です。
改めて遺言書を自分で作ってみると、意外にもなんだか前向きな気持ちが湧いてきました。「遺言書キット」で作成する場合、書くことさえ決まっていれば、遺言書は10分ほどで書き上がります。日頃、なかなか感謝の気持ちを伝えられない人に向けて、お互いに遺言書を書いてみると、新鮮な気持ちで相手を見ることが出来るようになるはずです。
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