デンマークで脂肪税導入、バターや牛乳、精肉も対象に


2011年10月から、デンマークで脂肪に対して課税する「脂肪税」というかなり風変わりな課税制度が導入されました。

BBC News - Denmark introduces world's first food fat tax

世界初の「肥満税」がデンマークで施行 | YUCASEE MEDIA(ゆかしメディア) | 最上級を刺激する総合情報サイト | 1

デンマーク、バターなどに「脂肪税」 健康増進狙う  :日本経済新聞

デンマークで“脂肪税”導入 NHKニュース

「脂肪税」はバターやチーズ、牛乳などの乳製品や肉類、食用油、そして加工食品など、飽和脂肪酸が2.3%以上含まれる食品に対して、飽和脂肪酸1kg当たり16クローネ(約220円)の税金を徴収するというもの。課税対象品目は自国生産品のほか、海外から輸入された食品も含むとしています。


英語では「Fat tax」と表記されるため、日本の各メディアの報道には「肥満税」「脂肪税」など訳語にややばらつきがありますが、課税対象は食品中の飽和脂肪酸で、肥満体の人に対して何らかの徴税が行われるというわけではないため、どちらかというと「脂肪税」の方が実態により近い表現であると思われます。

食品中の飽和脂肪酸の量に準ずるという計算方式はあまり直感的ではありませんが、例を挙げるとすれば、バター1kgあたりおよそ1.5ドル(約115円)の値上がりとなります。10月から施行されると知らされていたこともあり、9月は駆け込み需要が大きく高まり、各商店には値上がり前に対象の食品を買いだめしようとする買い物客が殺到していたそうです。


飽和脂肪酸の多量摂取は心臓疾患やガンなどを引き起こす原因になるとされているため、デンマーク政府は「脂肪税」の導入理由について、国民の健康を改善し、平均寿命を伸ばすのが目的だと説明しています。その一方で、同国の経済状況はあまりよい状態にはなく、リーマンショックが起きた2008年後半の第4四半期に政府財政が赤字に転落。国と地方を合算した政府債務残高が、2010年には対GDP比43.3%まで増加しているため、11年~13年にかけて集中的に財政再建に取り組んでいる最中であり、その一環として税制が導入されたとみられています。この課税によって約22億クローネ(約249億4830万円)の税収が見込まれており、バターの消費量は約15%減少すると予想されています。

加工食品も対象になるということは、クッキーのようにバターや牛乳を含む菓子類も、徴税のために成分を細かく分析しなくてはいけないのでしょうか。そうなると、各食品メーカーにはかなり大きな負担になるように思われます。


国内外で「脂肪税」に対する反響は大きく、この税制を「官僚政治の悪夢」と評する人や、消費が国外に流出するだけだと冷ややかな見方をする人もいるようです。また、科学者の中には、肥満を抑制する目的であるのなら、飽和脂肪酸ではなく塩や砂糖、白米や小麦粉などの精製度の高い炭水化物を規制すべきだという意見もあるとのこと。

イギリスのBBC放送によると「脂肪税」という形での制度の導入は世界初となるようですが、同様の目的を掲げている税金としては、ハンガリーではポテトチップスをはじめ炭酸飲料や栄養ドリンクといった嗜好品を中心に課税する「ポテチ税」があります。導入の効果についてはいまだ議論を巻き起こしていますが、やはりハンガリー政府もデンマーク政府と同様に経済状況はかんばしくなく、「健康増進」という建前よりも、税金による税収アップが主眼にあるのだと考えられます。

「不健康を是正する」という題目で始まった2つの税制ですが、たばこや酒といった嗜好品よりも明らかに広いターゲット層を相手にすることもあり、果たして民衆にうまく受け入れられるかどうかが気にかかるところです。

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in メモ,   , Posted by darkhorse_log

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