何万回も遊べる要素が不可欠、「基本無料時代」に稼ぐゲームの作り方
基本的にプレイは無料でアイテムなどに課金していくオンラインゲームが増えている、いわば「基本無料時代」にどのように収益を上げていくのかというところを、ソーシャルゲームやオンラインゲーム、そしてウェブサービスの企業経営者が、CEDEC2011のセッション「『基本無料』時代のマネタイズと事業戦略~ウェブ × オンラインゲーム × ゲーム、プロの頭の中にあるものは~」で語りました。
「何千回、何万回やっても大丈夫なゲーム設計が大切」「海外がすごい盛り上がってて日本が負けそうとかって言ってるんですが、実態はそうではない」「大手の会社には、実はすごくチャンスがある」など、ソーシャルゲームやスマートフォンのゲームアプリのこれからについて刺激的な発言が飛び交う内容となりました。
左から、司会を務めるポリゴンマジック株式会社の鶴谷武親さん、オンラインゲームを作りたくて株式会社DropWaveを立ち上げた本城嘉太郎代表取締役社長、「ブラウザ三国志」などで実績を上げている株式会社Aimingの椎葉忠志代表取締役社長、そして海外で大きなシェアを誇る「位置ゲー」の「MyTown」の日本語版を担当する株式会社ゆめみの深田浩嗣代表取締役社長。
鶴谷:
本日はパネルディスカッション、「基本無料時代のマネタイズと事業戦略」と題しまして、こちらの御三方に集まっていただきました。私は本日司会をさせていただきます、CEDEC2011運営委員、ポリゴンマジック株式会社の鶴谷武親と申します。よろしくお願いします。
本日はこちらのサブタイトルにございますように、ウェブ、オンラインゲーム、そしてゲームと、それぞれのプロの頭の中にあるものをですね、「マネタイズ」というキーワードで探っていきたいと思います。ゲームが本城さん、ウェブが深田さん、オンラインゲームが椎葉さんと、そんなような割り振りで考えております。
まず自己紹介を簡単にいただきたいと思います。椎葉さんから順番にお願いできますか?
椎葉:
株式会社Aiming代表取締役社長の椎葉 忠志と申します。
私の経歴としては、新卒でテクモに入社して、家庭用ゲーム開発をしていました。4年ぐらい経過して、ゲーム業界が嫌になりまして。SDがあんまりにも夢のない仕事だったもので。それで、オンラインゲームの時代がきたかなと思って、その時は自分で作るんではなくて、いわゆる韓国産のオンラインゲームを輸入して産出する会社に、いい機会だからと入社しました。
当時は月々定額のオンラインゲームだったんですが、2004年くらいからいわゆる基本無料の、今は主流になっている「フリー・トゥ・プレイ」(基本プレイ料金は無料で、アイテムなどに課金していく)のオンラインゲームが出始めました。当時日本では「フリー・トゥ・プレイ」のオンラインゲームって「メイプルストーリー」と「スカッとゴルフ パンヤ」、「RED STONE」っていう3つのタイトルくらいだったんです。その中で「RED STONE」のサービスをして成功しまして、ゲームオンという会社を上場まで行っていて、そこまでのキャリアを持って辞めました。
次はONE-UPという会社を作りまして、そこではソーシャルアプリを作ったつもりはあんまりないんですけれども、ソーシャルのブームに乗りまして、「ブラウザ三国志」や「戦国IXA」だとか、そういうウェブをベースとしたオンラインゲームで結果を出しました。
そして今年の五月からAimingという新しい会社を作りまして、作って3ヶ月くらいなんですが社員は140人くらいで、ブラウザゲームを中心としていますが、おそらくこれからはスマートフォン中心でやっていくのかな、という風に考えております。
家庭用の感覚も、オンラインゲームのサービスも分かっていて、基本無料についてはもう最古の頃からやっていて結果を出しているというのが私のキャリアとなります。特に、ネットにつながるゲームを全てオンラインゲームと考えていて、あまりソーシャルだとか区別をせずに考えています。
鶴谷:
ありがとうございます。今日私の役割は突っ込み役なので、気になったところはどんどん聞いてしまうおうかと思います。
まず椎葉さんは「RED STONE」を成功させたと言われたんですけど、だいたい月どれくらい売れると成功だって当時は思っていたんですか?
椎葉:
無料のオンラインゲームで、月商3億を超えたゲームって多分通算6本くらいしかないと思うんですね。その内の、今まで作ったやつだと通算6個中3個くらい私が担当していて、「RED STONE」は月最高で4.2億。年間だと33億円くらいの売り上げですね。ちなみに時効だから言いますけど、契約金は500万円ですからね。初期のプロモーションコストは1200万円で出したら「駄目だ」って言われて800万円に下げましたし、もともとお金を使わず売り上げを上げたんですよ。
ちなみに、「RED STONE」というゲームは日本以外のどこでも成功してないんですよ。韓国人は誰も知らないですし、中国でもアメリカでも、どこでやっても失敗していて、日本だけで唯一当たっています。日本マジックというか、なぜ当たったかみたいなものは、オンラインゲーム業界の7つの秘密、みたいな感じです。
鶴谷:
謎の一つなんですね(笑)
ちなみに椎葉さんは、プランナーとかディレクターとかプロデューサーとか、有り体な言い方で言うと何にあたるのでしょうか?
椎葉:
現状の仕事としては、圧倒的にプロデューサーだと思ってます。プロデューサーの仕事にはお金の管理などの話があるんですけど、僕の考えてるプロデューサーっていうのは、マーケットを見て一番儲かるコンテンツを考える、ってところが一番大切だと思うんです。そこを考えるのがプロデューサーだと思っていて、私の役割は社長ではありますけれども、そういう意味では圧倒的にプロデューサーだと思います。
鶴谷:
なるほど、ありがとうございます。では次に深田さん、お願いします。
深田:
はい、株式会社ゆめみの深田と申します。よろしくお願いします。
ウェブの業界代表ということで、ゲーム業界には実は私自身あまりなじみがないんです。2000年の1月に会社を設立したのですが、モバイルのソリューションを企業さんにいろいろと提供するような仕事をずっとやっていました。分かりやすいところでいくと、マクドナルドさんのクーポンの仕組みとか、ああいう裏側のところをやらせていただきました。2001年くらいからは、世界でも初めてくらいのタイミングでモバイルコマースの仕組みを提供したり、特にナショナルクライアントと呼ばれるような、ブリック&モルタルのような、そういう領域にいらっしゃる会社さんに、最近ではスマートフォンを使って、集客や販促をお手伝いするようなことをやっています。
ということで、ゲームとは全然違う領域でずっとやってきたんですけど、並行して消費者向けのサービスを少しずつやっていまして。まぐまぐの携帯版みたいな、メールマガジンの発行スタンドっていうのを10年間くらいやっていたのですが、去年売却しました。
その後に始めたのが実はソーシャルゲームっていうジャンルで、ソーシャルの流れに乗っかって何かできるんじゃないか、と思って始めたのがちょうど一年前、GREEのプラットフォーム上でやらせていただきました。ただ、ゲームという領域について勘所無く始めたものですから、ぶっちゃけたところあまりうまくいかなくてですね、ちょうど一年くらい経過して、サービスは閉じようということにしてます。
ただ、そういったソーシャルゲームっていうのを提供する中でいろいろわかってきたことがありました。ソーシャルっていうものが、我々のウェブの業界だとものすごく盛り上がってきてるんですね。ゲーム以外にもいろんな「ソーシャル何とか」、ってものがたくさん出てきてるんですけども、ぶっちゃけ、あまりうまくいっていないです。
じゃあなぜ、ソーシャルゲームってうまくいったんだろうっていうことを考えると、すごくよく分かってくるんです。こういう風にソーシャルって使うとユーザーって盛り上がるんだなという仕掛けがたくさんある。それをエンタープライズ向けに使うと面白いんじゃないかっていうことが、最近私が興味を持っている領域です。
それは世の中で「ゲーミフィケーション」という言葉で呼ばれてたりするんですが、そういう領域だと我々の強みを出せるだろうと。企業向けのユーザーを活性化させる仕掛けのエッセンスとして、ゲームを使っていこう、そういったものを今度はまた逆に企業さんの方に提供していくことで面白いことができるんじゃないかな、と。
鶴谷:
ありがとうございます。ざっくり言うとゲーム業界以外のご出身ですけど、ゲームという対象物を非常に研究されて、GDCだとかCEDECだとかでいろいろと勉強されるし、勉強してくださるしってことで言うと稀有な存在だったりして、Twitterで「ゲーミフィケーション」についてもよくつぶやいてらっしゃって。そして、深田さんはソフトバンククリエイティブから「ソーシャルゲームはなぜハマるのか」という本を出してらっしゃいますね。
では次に本城さん、お願いします。
本城:
株式会社DropWave代表の本城と申します。よろしくお願いします。
うちの会社はですね、今新宿の方でスタッフ70名くらいでオンラインゲームの開発と、あと受託開発の方も行っている会社になります。私の経歴を少しだけお話させていただきますと、大学を一年で中退したあと、フリーのプログラマーとして数年間大阪の方で仕事をしていたんですけども、その時に「ウルティマ オンライン」や「ディアブロ」というタイトルに出会いまして、それまでアーケードの格闘ゲームばっかりやってるゲーマーだったんですが、オンラインの洗礼を受けて、それ以来オンラインゲーム以外食指が動かない体になってしまいました。
それでオンラインゲーム作りたいな、ということでオンラインゲーム会社に就職したかったんですが、当時(募集が)なかったので、京都の方のトーセという受託開発会社に就職しまして、5年間ほどコンシューマーゲームのプログラムをやっておりました。「バイオハザード0」とか、コナミさんの「S.L.A.I. -STEEL LANCER ARENA INTERNATIONAL-」などのネットワークプログラムを担当しました。コンシューマーの開発を経験して、もともとフリーのプログラマー時代にSEもやっていましたので、サーバーのエンジンからネットワークからコンシューマーの描画エンジンまで全部理解できますので、「これでオンラインゲームを作れる」と思いまして、6年前にDropWaveという会社を東京で立ち上げました。
最初はコンシューマーゲームの企業に「オンラインゲームを作らせてくれ」ということで受託開発をお願いして回ったんですが、どこも「いや、やらない。それよりも、コンシューマーゲームを作ってくれ」と言われまして、DSやWiiのソフトの開発をしてきました。でも2、3年ほど前から、mixiアプリのリリースと同時くらいにですね、自社タイトルとして犬を飼うゲームをリリースしまして、数十万人ほど会員が集まりまして、そこからマネタイズっていうところを勉強し始めて、自社運営をやってまいりました。
しかしコンシューマーから入ってマネタイズを0からやってきたので、まったくのド素人。椎葉さんとは対極で、むしろマイナスから入って0から技術を今まで学んできてですね、1年くらいはまったく動きがなかったんですけれども、ここ最近Mobageで出してるタイトルの方はそこそこヒットしておりまして、数千万の売り上げのタイトルもいくつか生み出しております。コンシューマーのゲームの視点からマネタイズを強化していければな、と思います。
鶴谷:
ありがとうございます。
それぞれ色んなな領域で色んなことをやっていらっしゃるわけですが、1、2年という短いスパンで、ビジネスをしている中で成功だったとか、発見だったな、収穫だったな、ということと、その成功要因というものを聞かせてもらいたいんですね。では、椎葉さんにとってのこの1、2年で、最もでかい成功って何だったのかということと、その成功の要因をお教えください。
椎葉:
私はずっとPC向けのインストール型のオンラインゲームの開発じゃなくて、輸入をしてサービスをするっていうことをやっていました。新しい会社になって、輸入していても仕方ないんで自分たちで作ったのが「ブラウザ三国志」っていうゲームなんです。「ブラウザ三国志」はAQインタラクティブさんが運営されていて、IRで全部数字も発表していて、最高3億円以上の月間売り上げがありまして、PCウェブブラウザのソーシャルアプリオンラインゲームとしてはダントツに近い売り上げなんですね。それはやっぱりすごい成功なんですけど、成功要因って何かって言われると、まぁ99%くらい運ですね(笑)
どなたもゲームは一生懸命作ってて、一生懸命考えて作っていて、努力をしているところはあんまり変わらなくて。まあ、ただ誰よりも早く準備をしたっていうのが一番大きいですね。これはこれからのマーケットでも大事なことかなと思ってまして、みんながやって「当たる」と思っている時点からやっても多分遅れている。当てようと思ったら、誰よりも先にやるしかないと思います。
僕が最初に「ブラウザ三国志」を作ろうと思ったときは、ソーシャルアプリなんてそれこそ、ブレークスルーパートナーズの投資家の赤羽さんが、何かの講演で、初めて日本でソーシャルアプリのことを話されていたようなタイミングなんですね。
ソーシャルアプリを作るつもりはまったくなくて、Facebookかどうとかってことも全然気にせず、パソコンの前の隙間の時間を取るオンラインゲームを作ろうって発想で作っただけなんですよ。その考え方が多分合ってたんでしょうね。それで後から世の中が勝手に流れてきて、ソーシャルアプリみたいな、隙間の時間で、悪く言えば「暇潰しのゲーム」が当たるマーケットになっていた。まあ、ゲームは本質的には暇つぶしだと思っているんですけど。それはそれとして、そのタイミングでたまたま「ブラウザ三国志」というゲームが完成していて、そこそこいい出来で、偶然mixiのオープン化のローンチに間に合ったというのが実際のところで、正直当たる外れるは運で、当たるところに挑戦するかどうか、というのが強く感じたところですね。
鶴谷:
まぁよくね、運って言って誤魔化すんですね。ここはちょっと誤魔化されちゃいけないので、そんなはずないので。じゃあ言い方を変えますけど、チームが何かのタイトルや企画を作るじゃないですか。それで椎葉さんがチェックしているポイントはどこなんですか?
椎葉:
色んなソーシャルアプリとオンラインゲームの違いってすごい定義が曖昧で難しいんですけど、僕たちが作るゲームで目指しているのは「年単位で遊べる」ことなんですね。今、携帯のソーシャルも同様だと思うんですが、年単位で遊ぼうと思ってゲームを作られてる方はほぼいなくて。
反対に、僕らはあまりマネタイズを意識しないんですよ。長く遊べるゲームを作っておけばマネタイズするポイントはいくらでもある。というか、はっきり言ってマネタイズとおっしゃられてるものって、究極的には全部「時間買い」ですよね。
ガチャを引くっていうのも「時間買い」だと思いますよ。ガチャからしか出ないものがある店を、ガチャを引くことによって手に入れるスピードを上げているわけなんで、アイテム販売も基本は全て「時間買い」になっています。
じゃあ大事なのは、何回も何回も繰り返して出来る何かがあるかってことなんですね。そもそも年単位で遊べるゲームデザインなんて無理なんで、何千回、何万回やっても大丈夫なゲーム設計にしておくしかない。それさえあれば結局そこを課金ポイントにすれば儲かるわけなんで、あんまり気にすることないんですね。
じゃあ何を一番気にしますかって質問に対しては、「年単位で遊ぶために耐えられる、ぐるぐるまわる何かがあるんですか」っていうところだけをいつもすごく注意しているのと、もう一つは、マーケットとターゲットに適切かっていうのはいつもすごく意識します。
やっぱり、ターゲットにしてるユーザーって、今ゲームを作られる方と違っていて、家庭用ゲームを作っている方、特にXbox360でゲームを作ってる方ってやっぱりゲームに対して濃いユーザーに向けて作っちゃうんですよね。けど、「怪盗ロワイヤル」をやってるユーザーって、もちろんXbox360でゲームやってる人もいるとは思うんですが、やっぱり基本的にゲームへのモチベーションが低くて、「暇つぶしで結構です」っていう方たちなんですよね。
やっぱり、どういうユーザーがプレイをしているかっていうところにまず立たなければ、どういうゲームが好まれるかを知らなければ、そもそも当たるゲームというか、遊ばれるゲームは作られないというところに立脚しています。このくらいのゲームは誰がターゲットで、どういう遊び方をしてどういう時間の使い方をするのかっていうのが一番最初に考えますね。この2つくらいのポイントしか見ないですね。
鶴谷:
その2つっていうのが、「年単位で遊べる、何千回何万回とできる仕組みが入っているか」というのと、「マーケットのターゲットに合っているか」、ということですね。ちなみに、そのぐるぐるぐるぐる何回もまわせるようなものの典型パターンって事例で、他にどんなものがありますか?
椎葉:
「ブラウザ三国志」のカード合成なんかそうなんですが、「ブラウザ三国志」がわからない方は「ドラコレ」のカード合成でもいいんですが、合成って昔からMMRPGであるものなんですね。武器防具を合成して強くしていく、と。強くしていったところでベースとしてもっと強いものがあるんで。それを買って結局それも合成しなくちゃいけない。要は永遠に強くなっていくものがある、繰り返し強くさせられるものがある。あの、話し始めると長いんですが……。
鶴谷:
大丈夫です。
椎葉:
あの、そもそもずっと継続して遊び続けるオンラインゲームはインフレします。なぜかと言うと、みんな不幸になりたくないんですね。ゲームをやっててつまらないというのはよくないので。バランスを取る一番良い方法は、誰かが儲かったら誰かが損をしたらいいんですよ。これが一番バランスとれるんです、需給ですね。でも無理なんで、絶対インフレするんですね。「インフレする物を何に持っていくか」っていうゲームデザインじゃなくて、基本的にはキャラクターとか武器防具とか、そういったものの成長に全部のインフレを特化するしかなくて、そのインフレを回すところの仕組みをどうするかっていうのが一番のポイントかな、と思っております。
なので、ガチャで出てくるカードの合成なんかは典型でして。私たちは別にオリジナルではなくて、よく話してますけど、「ファミスタオンライン」のカード合成ですね、元になってるのは。ファミスタオンラインのカード合成は本当良くできていて、「ファミスタオンライン」のカード合成を見て、ブラウザ三国志にもこれを取り入れようと考えました。もう一個に元ネタをに戻せば、よくあるオンラインゲームの武器防具の合成ですね。
鶴谷:
なるほど、ありがとうございます。
深田さん、全然ゲームのこと気にしなくてかまいませんので、何かこうウェブでお客さんを集めたとか、PV稼いだとか、もちろん商品売ったとか、そういう広い範囲でかまいませんので、いろいろやってらっしゃると思いますので、是非お話を。
深田:
そうですね、収穫という観点でいうと、我々はやっぱりモバイルの世界でずっと仕事してきている会社なんですね。で、成功というところまではまだ行けてないんですけども、今年の7月にアメリカのロケーションベースサービス(日本では「コロプラ」などがそれに当たる位置情報ゲーム)で、大きなタイトルの「MyTown」の、iPhoneのライセンスをローカライゼーションすることが決まったんですね。
そういうライセンスを取れたっていうのもすごく大きなことだったんですけど、そういったことを通じて感じた気づきというところがありまして。日本でやってきたモバイルのやり方と言いますか、我々が当たり前と思ってるモバイルの環境っていうのは、実は日本以外の国では全然当たり前じゃないなんてことが、体感としてわかったのがすごく大きな収穫だなと思っています。
ライセンスを取る1年くらい前からサンフランシスコに行って、向こうの方たちと話をしても、「モバイルってこれから来るよね」っていう感覚はみなさん持ちつつも、実感はそんなに伴っていないな、と。実感っていうのはつまり、具体的な体験ですね。やってる人がどれだけ本当にいるんだということを踏まえたときに、あんまりいないというところが分かってきました。
モバイル環境のネットの人口に対する普及率みたいなものを見てみると、日本だとみんな当たり前のように使ってるんで、70%~80%とかあるんですが、いざ他の国で、例えばアメリカでそういう部分を見ると、スマートフォンを使ってインターネットをしてる人って人口で言うと10%~20%くらいしかいないんですね。海外がすごい盛り上がってて日本が負けそうとかって言ってるんですが、実態はそんな風になっていて。そういう意味では、日本で普通に行われているサービスの面白さ、ワールドワイドで見た時の価値っていうところは、やりようによってはすごく価値をアピールできるチャンスだな、ということが、今回のディール(取引)ですごくわかったっていうところです。
逆に、あまりそれをわかってる、気が付いてる日本の人間っていうのがすごく少なかったのは、今回我々みたいな小さな会社が(海外の)ビッグタイトルを獲得できた一つの大きな要因だったのかなと思っています。完全に業界だとソーシャル含めてスマートフォンが普及してくると、日本とか海外とか関係なくなってきているのが実感としてあります。そうなってくると、ワールドワイドな価値を発揮できる領域っていうのは、いったいどこなんだっけ、ということを強く考えていけない、そういう時期にきてるなぁと思います。一方でモバイルやスマートフォンっていう領域は、我々が価値を発揮できる、数少ない領域の一つかなと思っていて、そこはこれから伸ばしていくべきだと思いますし、せっかくこれだけ普及している国にいるんですから、それを利用しない手はないかな、というのが最近の僕の大きな気づきかなと思います。
鶴谷:
「MyTown」ってあれですよね、GPSを使っての、「フォースクエア」がよりゲームになったみたいな、そんな感じのゲームですよね。それをゆめみさんが今後日本語化して展開すると。
深田:
いろいろ好きにいじれるようにさせてもらったので、日本版独自の展開とか、日本ではアジア諸国の展開も持っているんで、それもやりたいなと思っていて。
あれが面白いのは、ゲームなんですけど、ゲームでとどまらないんですね。日常生活を遊びに変えるみたいな雰囲気がある遊び方なんです。そうすると、ゲームやってるんだけど気が付いたらお店から情報が送られてきてるとか、どうも最近よく行くお店からクーポンが送られてくるようになったな、とか。そういう発見と言いますか、遊び方を通じて、リアルのリセントがユーザーに手に入る、そういうことができる仕掛けなんですね。
まさにさきほど椎葉さんがおっしゃられたような、「延々と遊び続けられる何か」を考えたときに、実際に何か得られるものがあるっていうのは、一つのヒントになるかなぁと思って勉強させていただいたんですけれど。そちらの路線はやっぱりゲームの中に作っていくっていうのは、一つの長続きできる要因にできるんじゃないかと。
鶴谷:
この中って8割9割ゲーム業界の人で、素直な人って騙されやすいんで翻訳しますけど、この方はWEBマーケティング出身の人ですからね、みなさん簡単に騙されちゃだめです(笑)要するに、翻訳すると「金のにおいがした」と。つまり、育てるとか継続的にとかリアルとつながってるとかありますけど、要はね、そういうにおいがね、多分したんだと思います。
それでは、本城さん、お願いします。本城:
何か会社が成功したということもないんですが、自分の中でやってよかったなと思うことが二つほどありまして。
もともとオンラインゲームを作るためにこの会社を作って、最初ずっとコンシューマーゲームの受託開発をやっていたんですけども、最初からこの夢を諦めずにですね、仕事が無くてもネットワークサーバーの研究を続けていたおかげでですね、ここ2年くらいソーシャルの波がきた時に、すぐに波に乗ることができたと。諦めずに、ブラウザ経由等の受注もやっていったっていうところが一つ、良かったなぁと。
起業当時はXbox360やPS3の発売時期で、このCEDECでもシェーダーとかですね、3D関連の講演ばっかりだったんですけども、自分としては非常に違和感を感じていて。「(ゲームは)本質的に人を楽しませるものであって、影の濃さがちょっと濃くなったとか、そういうことにプログラマを何人も使うもんじゃなんじゃいか」と冷めた目で見ていました。それでCEDECには行かずにひたすら自分で勉強したことがですね、結果的に今につながっているんだと思います。
あともう一つは、僕も技術屋だったんで、自宅でオンラインゲーム作れるんですけど、「NikQ(NikQ ひだまりの騎士団)」というオンラインゲームを最初作って、その後「Livly Island」というオンラインゲームを作ったんですが、どれもマネタイズとしては……。リヴリーはまあ成功してるんですけど、NikQは失敗してしまったんですね。そこで、オンラインゲームを作る以上はクライアントに儲かっていただく必要があるということで、自分たちでマネタイズを勉強しようということで、かなり初期の段階で、mixiアプリのオープン時にですね、数か月遅れて自分たちでゲーム出しました。
そこで、最初に出したゲームがですね、これもまた全然儲からずに、2ヶ月でPC版は「これは駄目だ」ということですぐにやめて、めちゃくちゃ儲かっていたモバゲータウンに鞍替えしてもう一回出したんですね。4か月で作ったんですけど、それも儲からずに、最初の売り上げが150万円で、「すぐにやめろ」という話だったんですが絶対にやめないということで、どんどん研究を重ねまして、あらゆるゲームのあらゆることを研究して、4か月か5か月くらいたった頃に、最終的には日商100万円を越えるくらいまでに成長することができたんです。その過程で、諦めなかった、執念を持って諦めなかったというところが良かったのかなと思います。
鶴谷:
ちなみに、その「NikQ」を、月商150万円くらいから4、5か月で改善を重ねて日商100万円に成長させたんですか?それとも違うゲームですか?
本城:
「NikQ」は作る権限がもうなかったので、「わんこのお部屋」という、モバゲーのタイトルですね。今でも会員さんは45万人くらいいらっしゃいます。
鶴谷:
「わんこのお部屋」を月商150万から日商100万まで成長させた中で、最も大きく変えたところを1つ言うならどこですかね?
本城:
そうですね、やはりもともとゲーム屋なので、さきほど椎葉さんがおっしゃっていたようにゲーム屋がソーシャルゲームを作るとどうしてもゲーマー向けに作ってしまうんですね。いっぱい詰め込んだ物を削ぎ落して、ボタンクリックでほとんど散歩しかできないようなゲームになってしまったんですけど、その中に競い合うようなイベントを作り、さらに非常にギャンブル性の高い趣向も導入して、そこが一番当たったところでしたね。他社タイトルを研究した結果何とか編み出したところなんですけど。最初とはまったく違うゲームになりました。
鶴谷:
ありがとうございます。
ちなみに、御三方ともにタイミングとか、早かったとかって話があったんですけど、結構CEDECって、半分くらいは大手のゲームメーカーとかが多いんですね、だから、おっきいところにいるといろいろあるじゃないですか。やっぱり、時間が、時計が違うじゃないですか。会社によっても違うと思いますけど。
早さだけが戦略になっちゃうと大手にするとなんかこう、ショックな感じの発言なんですね、聞いていると。なので、早い、ってことがなかったとしても勝てる何かってあるんでしょうか。例えば、大手企業で意思決定が半年くらいかかってしまうのであれば、どうしたらいいですか?じゃあ椎葉さん、どうしたらいいんですか。
椎葉:
僕はいつも税金って言い方をするんですが、大きい会社にいることは税金を払って仕事をしていてですね、自分の給料はもらってるんですけど。やっぱり、会社の規模であったりとか、ブランドであったりとか、そういったものを生かすようにする以外に方法はないんですね。
あとはもう売り続けるしかないんでしょうね。僕はテクモで働いていましたが、今の家庭用ゲームの従来型の会社は、古い古い。経営思想も含めて古いので、やっぱり無理はいっぱいありますね。100回言ってダメなら200回言うくらい言って、仲間を募って、これをどうしてもやりたいっていう人が立たなければ、ただ待っていても絶対にその仕事はこないと思います。
今、家庭用ゲーム会社の経営者さんの方とも話していると、みなさん危機感をもってらっしゃいますね。すごい危機感を持っていてもどうしようもないと思っていることもあって、まぁ現場がどうしようもないというか、「(現場が)なかなか新しいことに挑戦をしようと言ってくれない」みたいなことは思ってらっしゃるみたいですね。だから、大きい会社にいるのなら、自分で仲間を募って、「どうしてもスマートフォンに出てこういうことをやりたい!」と言い続けてみてください。それでもし実現できたら、僕らみたいな小さい会社でやるよりもはるかにお金もブランドもありますから。
Aimingっていう会社は3か月前に出来たんで、誰も知らないんです。じゃあ、Aimingとスクウェア・エニックスが同じゲームを出したらどっちを買いますかって、誰が考えても分かることですよね。(大手は)持ってるものがでかいんです。特に今後、全てではないですが色んなものが基本無料になっていくと、大手のブランドってめちゃくちゃ有利です。今言ったみたいに、Aimingが無料のアプリを出したら「怪しい」「これは何か危ないんじゃないか」と思われます。でもスクウェア・エニックスとかが無料のゲームを出したらめちゃくちゃ信頼感があります。手に取ってみようって思いますよね。だから、大手の会社には、実はすごくチャンスがあります。
スピードがないんだったら質で勝負するのか、あるいはブランドで勝負するのか。ただ、スピードをあげるための努力はしないと絶対勝てないですね。なぜなら、2年かけて(ゲームを)作っていたら、できるころにはもう別のマーケットになっているから。携帯ソーシャルやってる方がいらっしゃったら、もう1年前とまったく色が違うという実感があると思うんですね。そういう世界なので、2年かかると終わってしまいます。
辞めるのは簡単なんでね。辞めたほうが早いと思う方は是非Aimingという会社を検索していただいて、いつでも来ていただければ結構なんですけれども(笑)ただそれはいつでもできることなんで、その前に今の会社の良さとか強みっていうものがどこにあるのかを考えて、是非そのチャレンジをしたあとで、来ていただきたいなあと思います。
鶴谷:
ちなみに、先ほどAimingさんは出来てすぐに社員が140人になったって言っていたじゃないですか。最初から(人件費などの)お金はあったんですか?
椎葉:
まずですね、近日中に何か発表すると思いますけど。すべての端末がオンラインにつながって、ゲームができるという時代が来ますからね。そういうところに対してチャレンジしてる会社、規模もあって力もあるっていうところはそうはないので、お金に困ることもそうないっていうのが実際のところですね。
鶴谷:
今何ラインくらい動かしてるんですか?
椎葉:
来年中にですね、スマホだけで10本くらい出るんですよ、計画上。しかも全部結構規模がでかいので、うちは二、三千万のソーシャルゲームは作らないので、そうするとちょっとクレイジーですね。
鶴谷:
自社タイトルと受託、両方やってますか?
椎葉:
受託はほとんどないですが、まあいくつかあります。来年のタイトルのほとんどはほぼオリジナルだと思います。
鶴谷:
スマホだけでということは、スマホ以外もやられるんですね。
椎葉:
そうですね、ただ、年内まではブラウザゲームで稼いでいきますけども。僕たちのこの会社って、挑戦するためにお金をいただいてるので、基本挑戦するならスマホだな、っていう風になっちゃうかなと思ってます。
鶴谷:
なるほど。最近コナミさんとかコーエーさんなんかも参入していて、確かに大手が最近強くなってきたっていう感じはしますよね。
ただ、励ますために言ってくれてるんでしょうけども、私は逆に大手サイドに立って考えると、椎葉さんがいわゆるモバイルソーシャルのカジュアルユーザーが、そんなにブランドにこだわっていないって知ってるから商売してるくせに、って感じるんですよね(笑)
椎葉:
そんなことないです、本心です本心です。大手さんが作った携帯ソーシャルアプリが、他の知らない会社よりすごく優れているかっていうと、そんなことないでしょ?大差ないですよ。65点と68点みたいな差だと思っていて、ただ結果に差はあって。そこは今従来からソーシャルをやっている方のほうがちょっと今しんどいかなと思っています。
しかもグローバルサイズで考えたら、日本で携帯ソーシャルで活躍されてる会社さんはすごい努力をされていて、だけどグローバルサイズに出た瞬間には、また名前がまったくない状態から始めるんですね。大手は名前がありますからね。グローバルでも統一のプラットフォームができると考えたら、ものすごい強いですね。そこは僕らの弱みだと思ってます。
鶴谷:
つまり、本城さんとかは大変になるよって言われてますよ、椎葉さんから。
本城:
そうですね(笑)
鶴谷:
言い返したりしないと(笑)
本城:
それ以上に、さきほど深田さんがおっしゃっていたような、アメリカと、モバイルの市場が違っていますので、市場の伸びの方がですね、カルチャーの壁よりもここ数年は大きいんじゃないかなと思っておりますので。もし失敗した場合には、受託で生き残ろうかな、と。
鶴谷:
また謙虚な(笑)
深田:
我々はベンチャー系、僕自身がそうですしその業界しか知らないんですけど、今ソーシャル系のゲームをやってる会社は結構しんどい局面ですよ。大手さんがどんどん参入してくると、最初の信頼を築くところってユーザーから見るとすごく大きいので、おそらくまずベンチャーは厳しいです。結構、ベタに組織の問題とかで、内部的に苦しくなったりするんですよ。特にラインが複数になった場合ですね、管理ができないとか、そういうことをマネージメントできる人材がいないとか、そういう力量が経営者にそもそもないとかっていうことがわりと普通に起こっていて、たくさんのラインをやらないといけないような体力勝負になればなるほど、ベンチャーの苦しみっていうところが出てくるんです。それを抜けられるかどうかっていうところに苦しんでいる会社が多いですね。
鶴谷:
ちなみにさきほど椎葉さんが言ったマーケットとターゲットについて。この中で自己解釈でいいので、大手に所属してらっしゃる人ってどのくらいいらっしゃるんですか?「俺は大手だー!」みたいな(笑)あと中堅未満ですよ、みたいな方はどれくらい……。ああ、半々くらいなんですね、ありがとうございます。
すごい3人がね、自慢話をしてもしょうがないので、逆に成功しなくてむちゃくちゃ大失敗したとか、まだ言ってないんだけど引っ込めちゃったタイトルがあったとか、そういうのを聞きたいんですけど。さっきから自信満々に見える椎葉さんは何か大失敗とかしてないんですか?ここ数年で。
椎葉:
まぁ、出してないゲームはありますね、去年、去年じゃないや、今年か。今年の正月すぎくらいに、5000万くらいかけてたゲームを止めたのがあったりますね。
鶴谷:
五千万かけて止めるんですね……(笑)
椎葉:
そうですね、携帯ソーシャル何本作れるんだって話になるんですけど。無理なものは無理なので、仕方がないので止めました(笑)
ジャンルはサッカーです。ブラウザゲームで作ってたんですけど、まぁいろいろサッカーって難易度が高いところもありまして、正式なライセンスとってやるつもりもなかったんで、ゲーム性だけで勝負しなくちゃいけなくて。ちょっと無理な挑戦をしすぎて、スタッフも疲弊したし、申し訳なかったなと。
鶴谷:
その失敗の一番の原因ってなんですかね?
椎葉:
むずかしいですね。そもそも、そのジャンルが難しいってことは自覚をしてやってました。ただ、そこそこの出来になったら他にまともなものがないから何とかなるだろうくらいの気持ちで作ってたんですけども、想像以上に世の中の流れが早くて。
携帯ソーシャルの、モバゲーのプラットフォームの中で勝負されてる方もおんなじこと考えてると思うんですが、ウェブブラウザのソーシャルゲームも同じで、一年半くらい前って、Facebook上でもZyngaやRock You、Playfishみたいな感じで並び立っていたとこがあるんですが、今は結局Zynga一社なんですね。まさか一年でこうなるとは思わなくて。
日本でもウェブブラウザのゲームはもうちょっといけるかなっていう感覚をもってるんですが、実際にはそうではない。今は、結構なニーズを取ろうと思ったら、Yahoo!Mobageしかないと思ってるんで。と言うしかないですね(笑)ただ実際それは事実で、作ってて、ゲームがそこそこではなんともならないマーケットになってしまったっていうところが、マーケットを見るって意味ではここまで早いとは思わなかったっていう、目利きの悪さがありましたね。
鶴谷:
ハンゲームは駄目ですか?
椎葉:
ハンゲームの方にいらっしゃるかもしれないので言えません(笑)具体的に皆さんに見えるところでご判断いただければいいと思うんですが、ハンゲームさんは行くとサイトでそのときに接続してるユーザー数を出してます。最近リリースされたゲーム、ブラウザゲームとかでも、今アクセスされてる人数を是非確認していただければわかるんですが、やっぱりゲームが多いので、なかなか1個のゲームに集中するってことがなかなかないサイトになっちゃってるかな、と思います。それは皆さん数字で見て判断してください。
鶴谷:
会社の規模だとか運営ポストとか運営方法によっては、そのくらいでも黒字にできるっていう会社もあるかもしれませんね。「ユーザーが1万人いかなきゃダメ」っていうところもあれば、「デイリーで、1000人いけば良い」っていう会社もあるかもしれないから、それは多分それぞれってことですね。
ところで深田さん、大失敗ってあります?
深田:
まさに、ソーシャルゲームへの進出は大失敗でしたね。一年前のチャレンジだったんですけど。数千万円単位でお金をつぎこんで2本出したんですけど、結局大ゴケで、全然回収できなくて手痛いダメージは受けました。
やっぱり振り返って、何がダメだったのかというと、遅かったというのが一番大きな要因だったなと思っています。我々はGREEさんのプラットフォームで去年の6月に始めたっていうのが、実は最初のチャレンジだったんですね。そういう意味では、先ほどにもありましたようにmixiアプリのオープンの段階からチャレンジやってましたとか、その前から研究されてましたとかって話のような、それくらいのスピード感でやってないとそもそもダメだったんだなと。まさにマーケットの進化のスピードを完全にわかってなくて、それを見誤ったっていうのが一番失敗の要因としては大きくて。本当にそういうことは絶対にやるまいと、早いところじゃないと勝負するのはやめようと、固く誓いました。
鶴谷:
非常に賢い深田さんのことですし、悪く思うかもしれませんが、マネタイズ研究家みたいな、ゲームステーション研究家みたいなところがあって、すごい実は世界中のノウハウを学んでらっしゃるじゃないですか。
これは3人全員に聞きたいんですけど、それぞれ、ずばりマネタイズを成功させるのに一番重要なことを、3つずつ教えてほしいんです。
重ならなければ最大9個持って行けますからね、我々(笑)このパネル、事前に打ち合わせしてないから今考えてもらってるんですよね。事前に打ち合わせると適当な逃げを考えてしまうので、だから打ち合わせなしです、と。
椎葉:
いやいや、うちは忙しくて打ち合わせできないんですけどね……(笑)
さっき申し上げたように、何千回、何万回と小さな追加をして回るものが正しいと思っています。そうじゃないものが何かって言うと、アバターなんですね。アバターを売るっていうのは、毎回毎回作らなくちゃいけなくて、置いておけば何千回と回るわけではない。まあ、アバターを入れて何千回も回る仕組にするのも、1つのアプローチなんでいいんですけど。
もう一個は、ちょっとマネタイズって言葉から離れちゃう発想かもしれませんど、僕はいつも言ってるのは「友達付き合いにお金払ってもらってる」と思っているんです。よく言うこととしては、彼女に飽きることはあるとしても、友達に飽きることはないじゃん、という話で。ケンカして離れた友達はいても、飽きて離れた友達はいないと思うんですね。これはちょっとソーシャルと違う所なんですけど、ソーシャルはソーシャル上に友達付き合いがあったところに乗っかってるゲームなんですけど、僕らは発想が逆で、ゲームの中で全然知らない奴ら同士が知り合ってすごい強固な友達付き合いを作るっていうことを考えてて。そのために、どんな達成感とか、どんな過程をたどらせてユーザー同士を仲良くするかみたいなところを考えてます。
ユーザー同士を友達付き合いに落としちゃえばさっき言ったように年単位持続するんですね。あと1つ、あと1つね……、何でしょうね、明日になったらあと6個くらい浮かんでるかもしれませんが、今思うのは、値付けは高くっていうのがテクニック的にはいつも思ってますね。
鶴谷:
アイテムの値段を高くってことですか?
椎葉:
そうですね。何でも高く。下げることはできるから、取りあえず髙くしておけ、上げることはできないっていうところもあるんですけど。
この手のオンラインゲームのビジネスで素晴らしいなと僕が思うのは、価格競争がないんですよ。ここの武器は5000円で、あそこの武器は500円だから、じゃあ500円で武器が買えるゲームをやろうっていう選択はユーザーにはないですね。ハマってるゲームの中におけるアイテムは唯一無二なので、要はオリジナルのアイテムになるんですね。
世の中ほとんどの商材は類似品があります。水だってそうですよね。ボルヴィックにするか、クリスタルガイザーにするかっていう選択があるんですね。同じようなものだったら安い方を買ってしまうっていうことがあるんですけど、オンラインゲームにはないんですね、基本的には。その中でしか買えないので。だから基本はやや高めに設定させていただいて、下げていく方が正しいと思ってます。いつもそのポリシーはもっております。
鶴谷:
ユーザーが代替手段がないんですよね。そのゲームの中で評価するしかない。
椎葉:
そうですね、唯一無二の存在である世界を与えるっていうのが大事ですね。
鶴谷:
そのゲームの中で競合はないんですかね?
椎葉:
そうですね。例えばブラウザ三国志のガチャが300円と600円っていうのは、もしかしたらこの業界のデファクトスタンダートを作っちゃったのかなと思うところがあるんですけど、割と「ブラウザ三国志」を見てガチャガチャの設定とかをしたって方もいるみたいなので。
600円って相当高いですよね。誰もが600円なんてこんなん買わねーよ!ってみんな言っていて、僕もそう思いました。買ってくれたからよかったんではなくてですね。
(使う値段が)0円とそれ以上の間にはすごい断絶があるんですよ。無料の人は一生0円の可能性が高くて、1円でも払ってくれたら、その後払ってくれる可能性が急に上がるんですよ。これについてはDeNAやGREEが統計を取っていると思うんですが、だから0円のユーザーをむげにしちゃいけない。
0円のユーザーでも遊べるようにしようと思うと、ガチャの値段を高くするしかないです。高くすると回る数が減るので、差が小さくなるんですよ。じゃあ高くして回数減らしたんだけど、ユーザーにとって効果のある見せ方とかゲームデザインをしなくちゃいけないって考え方に変わります。
無料のユーザーがいらないんじゃなくて、無料のユーザーはよき仲間だし、よきやられ役、っていう言い方もできるんですけどね。それは酷い言い方なんでしませんが、将来の顧客でもあります。そういったところの、無料のユーザーに無理な負担を強いるようなゲームデザインとか課金スタイルは最悪だと思っているので、だからガチャが高いんです。
鶴谷:
やられてる方は悩んでますよね。無料ユーザーが「自分はカモだ」と思わないようにしないといけないし、かといって課金ユーザーに対しては課金のモチベーションと、その課金によって得られた実感とか報酬というのを満足感につなげなくてはいけない。そこのバランスってみなさんすごく悩んでいると思うので、この部分のコツなんかもあるんでしょう。深田さんどうですかね、色んなケースを見られてて。
深田:
今の話も参考になりつつ、僕自身としてはゲームの面白みみたいなものを他にも使えるのかという視線でずっとゲームを眺めていますので、モチベーションの有りようとかお金を使う習慣っていったいどんな気持ちになってるんだろうみたいなことを、ゲームを見ながら勉強したりすると、実は心理学みたいなところの事例が参考になることが多くて。
最近自分のブログでも書いたんですけど、「欲求って何だろう」みたいなところってすごく大事だなと思うんですね。人間の欲求っていろいろあるんですが、心理学的に答えがあるらしくて、16個の基本的な欲求に分けられます、みたいな。そんな成果があるっていうのがいろいろ勉強していくと分かったんですが、それを見てると、これって完全にソーシャルゲームのマネタイズのポイントだなっていうのが書いてあるようなものなんですね。
例えば「貯蔵欲求」っていうのがあって。貯めることって実は人間の基本的な欲求なんてすって書いてあるのを見たときに、それでみんなコンプしたがるんだなみたいな、分かったような分からないような気持ちになったんですが、ともかくそういうことらしいというのは、すごく刺さったポイントでして。人に認められたいという「承認欲求」とか、誰かを支配したいとか強くありたいとか、いろいろそういうのがあって、ゲームにハマるポイントもお金を使うポイントも、そういう欲求に沿ってるから使うんだな、というのが見えてきた部分としてあって。ゲームデザインとしてどの欲求を押さえにいくのかっていうのがあれば、このアイテムはいったいどの欲求を刺しに行くんだっていうのが見えてるととすごく、設計はしやすくなるな、というのが一つの気付きですね。
もう一つは欲求があるだけではダメな部分もあるので、それを高ぶらせる、感情の揺さぶりみたいなところが、特にソーシャルゲームは上手くできていて。競争させたり協力させたり、さっきのコミュニティっていう話もありましたけど、チームのメンバーに迷惑かけたくないからしょうがないから買おうかみたいなところで感情の高ぶりがぐっと上がったり。あるいはここまでにこれをやらないとこのアイテムもらえませんとか、大会で優勝できませんとか。そういう時間を区切られると、人間の感情って揺さぶりが大きくなるので、基本的な欲求をベースにしながらも、感情の揺さぶりを作るような仕掛けを作ることで、ユーザーっていうのはどうやらお金を使ってるらしいと、だいたいみんなそんなやり方してるってことがわかってきたんです。
そういう視点でソーシャルゲームを眺めていくと、いろんなやり方がある中感情の揺さぶりを作ってるいるんだなと、そんなことがわかってきたかなと。そういう意味では欲求と感情っていうのはすごく重要なポイントの2つ。
鶴谷:
人間欲求と人間感情の、メカニズムみたいな部分ですね。ちなみにそれはさっきのこの本に出てるんですか?
深田:
はい、出てます。
鶴谷:
書いてるそうなので、みなさんちょっと勉強しましょう(笑)では、本城さん。
本城:
はい。ちょうど明日オンラインゲーム講座のプレゼンテーションをやるんですが、その中で要はオンラインゲームの条件って何だとか、ちょうど同じことを考えていまして、3つ、ありまして。
シンプルなんですが、まず1つ目がゲームとして面白いこと。2つ目が、そのゲームの一番面白い部分に課金が入っていること。3つ目が、また明日も遊びたくなること。この3つが全部そろっていれば良いゲームになるんじゃないかなと思っております。
まずですね、ゲームとして面白いかどうかっていうところは、やってみてつまらなかったらユーザーさんはやめてしまって、まったくお金にならないので、基本的に絶対面白くないといけないんですね。
次にですね、ゲームの一番面白い部分に課金がちゃんと入ってること、っていうのは結構抜けがちでして、ゲームとして面白いんですけどなぜかアバターを売ったりとかですね、結構あったりします。一番ユーザーが面白いと心を動かされてる瞬間に、お金を払ったらいいことがありますよということが、入ってることが大事じゃないかなと。
あと、明日も遊びたくなることっていうのは、椎葉さんがおっしゃっていた何年間も遊べるゲームを作ることと少し通じるんですけど。お客さんって無料でゲームをされているので、また明日も来ようって思わなかったらそれで一生帰ってこないんですね。なので、ゲームを終わる瞬間にちょっと心残りがあって、友達とメールのやりとりをして何か書き込んだとかですね、あともう少しでコンプできるのにだとか、ちょっとした心残りを貯めてまた明日にもう一回やろうと思ってもらって、それを毎日毎日どこかしらに作って、継続をあげると。この三つがポイントかな、と思っております。
鶴谷:
連続ドラマの最後に「えぇ!?」って言って続く、みたいなそういう感じなんですね。ありがとうございます。
最後にですね、みなさん結構金のにおいに敏感な御三方なので、是非今のうちに聞きたいんですが、今年から来年にかけてここは儲かる!、ここの部分を大事にやっていきますよってところを一言ずつ教えていただきたいです。
椎葉:
私はオンラインゲームの仕事をして8年か9年くらいになるんですけど、まあ、変わらないですね。この会場にいらっしゃる100%の方が、全ての端末がネットにつながってそれによってゲームになっちゃうってことだけはお分かりいただけると思うんですね。その中で、もっともみんなが持つ端末って何かというとスマートフォンになっちゃうんですね。
私去年の年末くらいまでは、今年一年間でスマホがどうにかなるなんて思ってなくて全否定だったんですけど、この一年間何をしようかと思うくらいね、本当何して食っていこうかと思ったんですけど。
どうやってもスマートフォンが普及してしまうんで、スマートフォンを含めたネットにつながる端末でゲームをするっていうところは全然変わらなくて、その中でやることは、年単位で遊べるってどうしてもゲームらしいゲームになっちゃうんで、そういったものをしっかり作るっていうことをやっていくだけですね。面白いゲームを作るしかないと本城さんも言った通りで、じゃあ面白いゲームってどうやって作るんだよっていうところの議論もあるんですけど、それをやるしかないですね。
面白いっていうのはユーザーとかターゲットによって違うっていうことも認識しなくちゃいけなくて、それを考えたらじゃあスマートフォンをこれから持つ人はどんな人かと。スマートフォンを持った人がどういう時間で遊ぶのかっていうところはちょっと考えないといけないんだろうなぁと思ってるんですが。基本は、一番普及するネットにつながる端末でオンラインゲームを作ると、すごくシンプルなことです。
鶴谷:
10ライン稼働させるって言ったのはきっと、こてこてのMMOからしてやる、ってことですね。では、深田さん。
深田:
はい、何度かお話してますけど、モバイルの領域でずっとやっていってるんで、今、ちょっと新しい言葉なんですけど、「オンライン・トゥー・オフライン」っていう、OtoOって言葉を使うんですが、そういうマーケットが今すごく伸びていて。分かりやすく言うと、リアルな、パソコンじゃないところでインターネットを使えるようになりましたよねと、それだけの話なんですけど。そうすると今まで入っていなかったお店であったり、日常の移動だったり、通勤通学の瞬間だったり、あらゆる瞬間がオンラインになってますよということで。
オフラインでの人間の行動、活動っていうものがインターネットの大部分の影響を受けるようになります、という話です。
お金の話でいうと、人間がどこで金使ってるんだというと、98%くらいはオフラインでお金使ってますよね。そこのマーケットをどうオンラインに取り込んでいくのかっていうのが今すごく面白い市場ですし、我々としてはモバイルやってるんだからそこに行かないと意味が無いと思っていて、マーケットとしてはそこを狙います。
切り口としては「ゲーミフィケーション」だなと思っていて、そういうことをやっている、やれる会社ってすごく実は少なくて。概念自体は新しいこともそうですし、全世界的な視点で見たときに、やはりパソコンの領域から「ゲーミフィケーション」をやりましょうって会社がほとんどで、日本のモバイルの価値みたいなことを生かした、モバイルあるいは外の領域を使って、ユーザーがもっと楽しくお店に来れるようにするですとか、そんなところを我々としてはやるべきですし、日本で我々が拠点を置いてる会社として、世界の視点で見て勝てるターゲット、マーケットというのはそういうところかなと思っていて、そこを狙いにいこうというのが我々の発想ですね。
そういう意味ではゲームのノウハウとかってすごく大事だと思っていて。ゲームを作られてる皆さんのノウハウって、ゲーム以外のところで、これから急速に求められるようになりますよと、そういうところにも是非目を向けてみてはいかがでしょうというのを、今日お伝えしたいところです。
鶴谷:
ありがとうございます。では、本城さん。
本城:
もともとオンラインゲームを作りたくて会社を作った経緯がありまして、ずっとネットワークの研究をしてきたんですけど、本当にこのスマートフォンの普及具合をみてですね、ようやく夢に見たすべての人がオンラインゲームを遊べる環境になって、非常に感動して、ワクワクしています。椎葉さんのように10本も作っているわけじゃないんですけれど、弊社の方もスマートフォンのオンラインゲーム、ソーシャルゲームというところにほぼ特化して、そちらに向けてタイトルを出していきます。国内だけでなく、世界のマーケットにも向けて出していきます。
さきほど中小のソーシャルアプリのサークルっていうところは相当苦しいんじゃないかという話があったんですけども、逆にですね、プラットフォーム側さんはですね、大手メーカーさんとお付き合いをしてもいろいろ浮気をされてしまうので、我々みたいな下っ端は特定のプラットフォーム、あるいは大手メーカーさんと組んで、巨人の肩に乗って我々のコンテンツを世界中に配信していくということをやっていたいと思っております。
当社はですね、技術的にリアルタイムの通信サーバーというものをもっておりまして、オンラインゲームを作れる会社なんですね。そちらを利用した、コア向けのスマートフォン上のオンラインゲームというところと、あとはソーシャルゲーム、というところをスマートフォンに広く展開していきたいと思っております。
鶴谷:
みなさん伺うとスマホと言われて、来年多分日本国内だけで1000タイトル、2000タイトルくらい出そうな勢いで、かなり合戦状態だなぁという気がします。
では時間の方も近づいてまいりましたので、最後にみなさんから、2名だけご質問を受けたいと思うんですが、挙手をお願いします。
Q1:
スマートフォンにこれから大手が参入してくると思いますが、その中で、自分たちならではの差別化や、こういうところをアピールしていきたいということろが何かありましたらお聞かせいただきたいです。椎葉さんにお聞きしたいです。
椎葉:
ご指名ありがとうございます(笑)
現状、今日本でオンラインゲーム、携帯ソーシャルもそうですがオンラインゲームってジャンルで基本無料できちっと稼げるゲームを作ってる会社はありますかという問いに対して答えはほとんどないんですね。それは僕らの自負であり事実だと思うんですね。
僕らはキャリアが違うので、基本無料のオンラインゲームをちゃんと作りきるという能力が他社さんよりもはるかにあると思っています。
それもあんまり長くないですね、寿命が。世の中全部そうなったらみんなそうできてしまうので。正味一年くらいで勝負したいと思ってまして、一年間で10本出しますって話が、すでに大手に勝ってるところかなあと思います。大手さんで10本今すぐ立ち上げて、しかも結構な金額のプロジェクトを一斉に立ち上げられますかっていうと、多分できないので。
それはグローバルでもそうだと思ってまして。特に「基本無料」っていうビジネスモデルって、欧米では結構いびつでして、Zyngaのゲーム、あと売り上げ倍にできると思う人いっぱいいると思うんですね。マネタイズ能力というかうまい構造ができてなくて、そういう意味では欧米の会社は基本無料のところがまだまだ弱いと思っています。
反対に韓国中国っていうのはどうしてもPCのオンラインが強すぎるので、そこは隙間もあると思います。日本の大手会社さんはすごく今躊躇されてると思うんですけど、どういうジャンルにどういうものを作ったらいいかというところで迷われるだけで何ヶ月かかっちゃうと思うんですね、会社の決済通すだけで。うちは僕が明日このプロジェクトをしようとしたらすぐ作れてしまうんで、そのスピード感で勝つつもりです。
Q2:
下世話な質問なんですが、ここにいる人たちの大多数が聞きたいと思ってるんですけど。現実問題としてお金を払わないユーザーとお金を払うユーザーがいると思うんですけど、どれくらいのユーザーがお金を払って、一人当たりいくらくらい払っているのかを教えていただきたいんですね。
椎葉:
僕はその質問全然苦じゃなくてですね、例えばゲームオンの「RED STONE」は月どういう数字かと言いますと、月間辺り10万、課金ユーザーが約4万人くらい。この時点で数字おかしいですね、課金者が40%。一人が8000円払う、掛け合わせると3.2億、そういう数字なんですよ。「ブラウザ三国志」は、言えないんですけど。「ブラウザ三国志」じゃない何かの数字はですね……。
鶴谷:
とあるゲームの(笑)
椎葉:
「とあるゲーム」の数字はですね、客単価が1万円超えるんですね。ARPPU(Average Revenue Per Payed user)だと、1万円超えます、月間は。3億円売り上げるには、3万人の課金者が必要です。課金率はやっぱり20%とかそういう数字になっちゃっています。
鶴谷:
ブラウザですか?これは
椎葉:
そうですね。多分これは従来のPCのオンラインをやってる方々だと当然の数字なんですが。初期の基本無料だと7~15%いったら良い方って言われてて。でもこの場合20とかいっちゃうんですね、それは作り手も慣れてきたし、お金を払う側も払いなれてきたのかもしれないですね。
これは今ソーシャルをやってる方でもたぶんだいぶ数字が違っていて、やっぱり濃いので、そもそもターゲットになるユーザー狭いって問題は常に抱えてますね。「怪盗ロワイヤル」のように1000万人取れますかって言われると、取れないと思ってます。反対に、狭くターゲティングをしてユーザーを取っていくってことをしてこの数字が出てる、というところがあると思います。
鶴谷:
一般的なモバイルソーシャルの例になると思います。
本城:
一般的かどうかはわからないんですが、うちがやってるモバイルソーシャルの場合は実は月間とかってあまりなくてですね、ひたすらデイリーだけの数字を追ってたりするんですけど。月間ですと、多分アクティブ十数万で、課金率は10%いかないくらいですね。
ARPPUも、2000円いかないくらいだと思います。逆にデイリーで見てますから、イベントの最終日とか、たった1日で5万~6万円使ってくれる女の子がいたりとかしまして、そういうところに注目して運営してます。
鶴谷:
では、少しオーバーしてしまいましたが、以上ということで。本当に御三方にもいろいろと失礼を申し上げましたが、これも聴衆のみなさんのためということで、私が悪役を演じただけでございます。基本的には良い人ですので。また、御三方の活躍を陰から見守りたいと思います。本当に今日はありがとうございました。
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