サイエンス

犬はブドウの大敵「うどんこ病」をどうやって嗅ぎ分けているのか


犬の嗅覚は非常に優れており、警察犬や麻薬探知犬として人間と協力しつつ仕事をしています。そんな犬には、ブドウの大敵でもある病気「うどんこ病」の匂いを嗅ぎ分けるという能力が備わっているのですが、一体なぜ匂いがわかるのかは明らかになっていませんでした。この謎について、テキサス工科大学の研究チームがひとつの仮説を立てました。

Guardians of the vineyard: Canines and chemistry team up to combat powdery mildew - American Chemical Society
https://www.acs.org/pressroom/presspacs/2025/march/guardians-of-the-vineyard-canines-and-chemistry-team-up-to-combat-powdery-mildew.html


These dogs can detect a fungus. Can you? | Headline Science - YouTube


うどんこ病はウドンコカビによって生じる植物特有の病気で、「うどん粉」をかけられたように葉が白く点々と変色することからこの名前が付けられました。

うどんこ病は、特にブドウの木に伝染しやすく、植物の成長を妨げるためブドウ農家から忌避されています。感染を特定する方法は、植物の葉が白く濁っていないか人間の目で確認することですが、人間の目で確認できるほど症状が広がっているともはや手遅れで、根絶するには大量の殺菌剤が必要になるそうです。


そこで活躍するのが犬です。過去の研究で、犬はうどんこ病にかかったブドウの木を嗅覚で感知できることがわかっており、症状の初期段階にある木を匂いで特定することで、早期に対策することが可能なのではないか、という考えを元に研究が進められています。ただし、肝心の「なぜ犬はうどんこ病を嗅ぎ分けられるのか」という点が正確にはわかっていません。

テキサス工科大学のパオラ・プラダ=ティーデマン氏らは、うどんこ病にかかった木が放つ揮発性有機化合物、つまり「匂い」を特定することにしました。

研究チームは健康なブドウの木の葉っぱとうどんこ病に感染したブドウの木の葉を用意し、葉からどのような匂いが生じているのかを、固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフィー質量分析法を用いてテストしました。テストの際は、葉を小瓶に入れ、そこに極細の吸収繊維を挿入して葉の上空の空気中の化学物質を吸着させ、繊維をガスクロマトグラフ質量分析計に挿入するという手順が取られました。


その結果、病気に冒されたブドウの葉は高濃度のアルデヒドテルペンを放出することが明らかになりました。健康な葉は時間の経過とともに蒸気の放出量が少なくなり、病害を受けた葉は感染が進むにつれて揮発性有機化合物の放出量が増加していることから、こうした匂いを犬が検知している可能性が浮上しました。

今後、プラダ=ティーデマン氏らは、犬が特定の化合物に反応しているのか、それとも複数の化合物が混じり合った匂いに反応しているのかをテストする予定です。仮にそのような化合物が特定できれば、犬を訓練してうどんこ病の初期症状を嗅ぎ分けられるようになるかもしれないと期待されています。

プラダ=ティーデマン氏は「最終的な目標は、これまでの目視による診断から、匂いによる診断へとシフトチェンジすることです。犬が『あのツタは枯れ始めているよ』と教えてくれる様子を想像してください。結局のところ、私たちはみんな、美味しいワインが飲みたいんです」と話しました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1p_kr

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