シャープも「iPhone 6」のディスプレイを供給すると報道、「東芝のみに絞り込む」という報道は「誤り」として謝罪
来年発売予定の新型iPhoneに採用されるディスプレイには、Appleが直接投資を行い、シャープと東芝に製造させたものが採用される予定ですが、4月20日に「シャープが外れて東芝のみに投資が絞り込まれる」と報じた日刊工業新聞社が一転して「シャープも『iPhone 6』のディスプレイを供給する」という報道を行いました。
シャープが「東芝のみに投資が絞り込まれる」という報道を受けて表明した「事実に反する一方的なものであり、当社の信用を著しく傷つけています。当社は、日刊工業新聞社に対して厳重に抗議し、記事の撤回と謝罪を求めます」という抗議に対しては、実際に謝罪が行われています。
詳細は以下から。
シャープ、次世代iPhone向けに液晶供給-亀山第1に新設備:日刊工業新聞
日刊工業新聞社の報道によると、シャープはAppleが2012年に発売を予定している「iPhone 6」向けに液晶パネルを供給するための準備に取りかかったそうです。これは三重県亀山市にあるシャープの亀山第一工場で低温ポリシリコン液晶パネルの量産を来春にも開始するというもので、すでに設備導入に向けた工事がスタートしており、東芝も石川県での新工場建設に着手しているとのこと。
亀山第一工場は1500mm×1800mmの第6世代ガラス基板を採用して、「亀山モデル」で知られる大型テレビ用の液晶パネルを作っていましたが、生産設備はすでに中国へ売却済み。シャープは新たに導入する製造設備に、低温ポリシリコン液晶パネルとしては業界最大となる第6世代のガラス基板を採用することで、工場に残っている搬送設備などを活用できるとしています。
また、4月20日付けで報じられた、震災によって一国へ投資を集中させることのリスクが顕在化したことや液晶製造装置の調達難、韓国メーカーの巻き返しなどによって、日本での投資先を東芝1社に絞り込んだ……という報道について、日刊工業新聞社は以下のように表明し、謝罪しています。
【おわび】20日付でヘッドラインニュースに掲載した米アップルの記事で、シャープが中小型液晶パネルの投資先候補から外れたとあるのは誤りでした。関係各位にご迷惑をおかけしたことをおわびします。
ちなみに今回行われた「iPhone 6」にシャープ製液晶が採用される……という報道について、日刊工業新聞社は情報源を「関係筋」としていますが、はたしてどの関係筋が明かした情報なのでしょうか。
このような製品の部品調達については基本的に特定の顧客との取引について製造を請け負っている側から、請け負っているという事実を公表することはできないわけですが、徹底した秘密主義のAppleや、自社のみに絞り込むという有利な報道が行われた東芝がリークするはずもないため、シャープの関係者が「一社のみに投資を絞り込む」という報道が既成事実化しないためにリークしたという可能性も否めないものの、どのように見るかはやはり今後の展開次第。
なお、リーク通りなのであれば「iPhone 6」に搭載されるディスプレイは「低温ポリシリコン液晶」ということになりますが、日刊工業新聞社はAppleがシャープや東芝が対して、将来的に有機ELへ移行することを条件に投資すると1月に報じているため、「iPhone 7」以降のディスプレイに有機ELが採用される可能性も浮上したことになります。
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