取材

砂がすべてを支配するモーリタニアの首都ヌアクショットの日常と、日本を感じるご飯料理


こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。前回はモーリタニアに入りました。モーリタニアは砂が支配する国でした。風が強いと砂嵐が青空を隠します。食事もじゃりじゃりと砂が混じります。ちょっと外においた自転車も砂埃に、商店でも汚れた商品を一つ一つ拭いている光景をみかけました。日差しも強く厳しい自然環境です。その中でもモーリタニアの人たちは力強く毎日を生きていました。そんな砂の国を旅していました。

そして、ここでは日常的にご飯も食べられています。ほくほくのご飯を海外で食べることができるのは、日本人としては嬉しいですね。初めて食べたときはびっくりしました。カレーライスがあるんです。ナスやカボチャなど野菜の使いかたも日本みたいでした。今回は砂の国モーリタニアをお届けします。

モーリタニアの首都ヌアクショットはこの辺りです。

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モーリタニアの通貨は「ウギア」です。紙幣の裏にはらくだの姿が!


砂漠を越える為の食料を用意しました。モロッコとの国境ヌアディブからモーリタニアの首都ヌアクショットまで約450kmには大きな街はなさそうです。


内訳はフランスパン、マカロニ、クスクス、みかん、トマト、お菓子袋(クッキー、菓子パン)、デーツ。

ヌアディブから走り出すと内陸の鉄鉱石を運ぶ列車が通り過ぎました。何台も貨車が連結されています。


1日目は宿がありました。そしてシャワーも使えました。


砂漠だというのにここには水がたくさんあります。パイプを繋ぎ変えるとホースから水が出てくるのです。……なので常に水は出っぱなしで、このシャワー、止まりません。でも助かりました。一日の走行を終えて、シャワーを浴びるとさっぱりできて、疲れもとれます。

モーリタニアの田舎のトイレ。


汲み取りですが綺麗にしています。でも、このトイレは夜がすごいんです。便器の周りをゴキブリがうようよと這っていて近寄れません。便器の穴から出てきたり、入っていったり衝撃的な光景でした。電子辞書で調べてみるとゴキブリは夜行性らしいです。

寝るだけの部屋内。


ガサゴソと音がしたと思ったら、サラマンダーが出てきました。


AUBERGE(オーベルジュ)の看板をみかけたら宿があります。


旧植民地の関係か、モーリタニアではフランス語が広く通用します。自分も片言のフランス語を話すしかありません。ですが、この宿のおばあちゃんにはフランス語が通じません。そこでこの家の子供が通訳してくれました。歓迎されているのか、すっかり仲良くなりました。8歳という割にはとてもしっかりしている少年です。「僕もパパと自転車で4日かけてヌアクショット行ったんだ」とか、「(さっき行った)商店にママが居て、ママのママが宿のおばぁちゃん」と、フランス語だけれど何とか理解できるから楽しいです。すっかり仲良くなり「ほら、ここに山羊が居るんだ」「こっちには犬が居るんだ、ほらほら、お座り!!」といろいろと案内してくれます。こういう触れ合いがあるから自転車の旅はやめられません。

宿の辺りはたくさんの緑があります。


砂漠も草が多くなりました。


まだらくだをみかけます。


モーリタニア北部の道路は新しくて、とても走りやすかったです。


こんな緑な場所もあります


途中の集落の食堂小屋。


ぽつりと砂漠に生きている。


この集落に降ろされた山羊、鳴き続けていたのですが直射日光をさけ日陰に隠れました。


やはりらくだがいます。


草と砂漠。


西サハラからしばらく目にしていなかった牛の放牧をみかけました。人の営みがあることにテンションが上がります。


砂漠らしいところは砂漠だったりします。


まるで砂の海のよう。


たくさんの砂丘をみかけます。


どこまでも砂漠は続いているみたいです。


ヌアクショットの手前では砂嵐が広がり、あまり青空が見えません。


そしてようやく首都ヌアクショットに着いたのでした。宿の中庭は落ち着きます。


キャンプをすると安いのでテントを張っていました。


旅に洗濯は欠かせません。


ここでもすごい旅人と出会いました。

PANASOICとTOYOTAの看板にびっくり。世界地図の青い点を走ったらしいです。


日本も3ヶ月かけて回ったと言ってました。


オランダ人のマリオ。「どれくらい旅している?」と聞いてみると「いやぁ~、かれこれ10年位」。スケールが違います。


世界を旅しているもの同士なので話が弾みました。日本の感想を聞いてみると「とてもよかった、とても楽しかった。人々も親切でまた訪れたいよ」「ただ、一つだけ問題があって、ときどき標識が分からないんだ」と笑っていました。今度は南米に行くそうで、それも5年くらいとスケールが違います。「自分も南米に行くかもしれない、そしたらどこかで会えるかもしれないね」と約束をしました。また会えるでしょうか?

トヨタのランドクルーザーで世界中を旅しているようでした。


これモーリタニアの国旗です。この辺りの三日月はこの国旗と同じく大きく上が欠けていて、にやりと笑った口の形のようです。


ヌアクショット市内の様子。青い空ではないのは砂嵐のせいです。


ヌアクショット市内のモスク。モーリタニアはイスラム教が広く信仰されています。


ここは交差点なのですが……


信号がないのです。右折車、左折車、直進車、対向車、すべてに注意して渡らないといけません。


市中心部の交通量がある道路の横でビルの建設が行われていました。中国が関わっているみたいです。


モーリタニアでも中国人は商売をしているみたいです。店を開いて中国製品を売っています。

中央市場沿いの道路を歩いていると、「お前どこから来たんだ?」と中年の中国人に声をかけられました。路上でお茶を売っています。なんだか嬉しそうです。「中国人じゃないから、外国人だから」と言うけど彼は止まりません。「いや、なんで中国語分かるんだ?」「何しに来たんだ、働いているのか?」と矢継ぎ早に聞いてきます。でも早口だから聞き取れません。手加減してください。「そんな事より、どこから来ているの」と気になった事を聞いておきます。すると「フーチェン」……少し考えて「福州やアモイのある所」と確認します。「福建省」でお茶の有名な所ですね。彼は終始ニコニコと元気で異国に負けていません。別れ際に「加油(頑張れ)」と手を振るとニヤリと嬉しそうにしていました。

ヌアクショット市内のいたる所に穴が掘られていました。そこに無造作に捨てられたゴミが集まってしまう。ここに水がたまり、悪臭を放つ場所もありました。これで健康でいられるはずがありません。


「ピザホット」。ただでさえ暑い所なのですが。


夜には街灯がメインロードを照らします。ヌアクショット市内、しっかりしている所はしっかりしています。


アラビア語とフランス語の看板がかかる中央市場一帯。


左側で売られているのがモーリタニアの戦闘服です。歩いている男性が着ているのも同じ。


この戦闘服、モーリタニアの男性はほぼ着用しています。日常着の上から被っています。その理由は強すぎる太陽光線から身を守る為でしょう。終始、風が吹いているのでそこまで暑くもなさそうです。北のモロッコ、南のセネガルでもこの服は見かけず、モーリタニアの民族衣装みたいでした。

中央市場にはたくさんのお店がならんでいます。


たくさんのオレンジはモロッコ産らしいです。


こちらは漁業関係の網や縄が売られています。


市場付近、古い車が走っています。


市場では格安の10ウギア(約3.5円)で冷えた水袋が買えます。


ジュースも袋です。20ウギア(約7円)。


そしてモーリタニアの食生活もお伝えしないといけませんね。

フランスパンを買って来ました。


モーリタニアもフランスの旧植民地なのでどこでもフランスパンが手に入ります。商店で買うのもいいですが、それよりもパン屋さんをみつけましょう。運が良ければ焼きたてで、外はぱりぱり中はふかふかのフランスパンが手に入ります。パン屋ではこの細長いフランスパンが積み重なって置いてあり、その様はミサイルみたいです。ですが、皆これを嬉しそうに受け取っていきます。モーリタニアのパン屋さんは皆を幸せにするのに戦っているのです。

そんなフランスパンを使ったサンドイッチ、中は卵です。


美味しいフランスパンに限らず、ここモーリタニアでは米が主食なんです。日本人なら米でしょう。同じアフリカでもモロッコはパンが主食となっていました。「ここからの西アフリカは米が主食だよ」と誰かに聞きました。米は腹持ちがいいので、チャリダーとして頼もしい限りです。どの料理もしっかりと味付けしてあって美味しく頂いていました。

マフェ。モーリタニア風のカレーです。ピーナッツペーストをソースにした西アフリカの家庭料理。


魚とライス。日本でいうと炊き込みご飯。


別のマフェ。


ピラフみたいなご飯。


山羊肉とご飯。


スパゲッティのミートソースをご飯にかけたようでした。


魚とライス。芋と人参がとろける程に甘いんです。大根と茄子に日本を感じました。


マフェ。ご飯がすすみます。


こういう料理のある安食堂に入ったら、おかあちゃんがだらけきった感じでござの上で寝ていてびっくりしました。なんだか昼寝っぽいです。そのまま食事の用意をしてくれて、またのんびりと寝転がります。ほのぼのとしていました。

モロッコと同様に鶏肉セットが食べれます。


栄養バランスも悪くない鶏肉セット。


モーリタニアの食事はいかがでしょうか?

どれも美味しかったのですが、自分はこれらのどれかにあたったみたいです。ヌアクショットを出た日は、ひどい下痢で熱まで出ました。こちらの衛生事情はあまりよくありませんので気を付けてください。

モロッコでよくみかけたヨーグルトドリンクがモーリタニアにもあります。


サハラ砂漠を挟んでいるのですが、モロッコからモーリタニアにたくさんの品物が流れていくようです。コカコーラであったり、お菓子であったり、チーズであったり。ほかにも、紙ナフキンがアルジェリア製だったり、マカロニがケニア製だったり、缶ジュースがアラブ首長国連邦製だったり、たくさんの国からのいろんな品物があります。いっぽうモーリタニアでは工業が行われている気配がありません。

なんと、らくだのミルクが売られてました。フランス語のパッケージ。


アラビア語のパッケージ。


遊牧民のテントのイラスト。


そして、これがメイドインモーリタニアでした。


ヌアクショットから次の国であるセネガルを目指します。ブラックアフリカが始まるみたいです。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
)

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in 取材, Posted by logc_nt

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