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フランス革命時に失われた名君アンリ4世の首のミイラ、死後400年目にして発見される


フランス王アンリ4世(1553-1610)は太陽王ルイ14世の祖父にあたるブルボン朝初代の王で、カトリックとプロテスタントの融和に努め、ナントの勅令を発布することによって40年近く続いた宗教戦争ユグノー戦争を終結させたことで知られます。

在位中から国民の間で人気が高く、いまでも「大アンリ」「良王アンリ」と呼ばれフランスの歴代君主の中でも最も人気のある王の1人ですが、1610年に暗殺されたのち防腐処理をほどこされ埋葬された遺体は、フランス革命で王族の墓が開かれた際に失われていました。コレクターが所有していたミイラ化した首が、アンリ4世本人のものであると特定されたそうです。


詳細は以下から。ミイラの写真もあるので閲覧時には注意してくださいMummified head is skull of Henri IV, say historians - Telegraph

Multidisciplinary medical identification of a French king’s head (Henri IV) -- Charlier et al. 341 -- bmj.com

1610年5月14日に、馬車に乗っているところを狂信的なカトリック教徒に襲われ刺殺されたアンリ4世。遺体は防腐処理をほどこされフランスの王族の墓所サン=ドニ大聖堂に埋葬されたのですが、フランス革命期の1793年に王族の墓が暴かれ遺体がまとめて大きな穴に埋められた際、当時もなお名君として人気のあったアンリ4世の頭部は、信奉者により持ち去られたと言われています。

政治的理由によりプロテスタントからカトリックへ改宗したアンリ4世ですが、プロテスタントにカトリックと同等の権利を与えるナントの勅令を発布しました。1610年に狂信的なカトリック教徒により刺殺されています。


100年以上行方不明となっていたアンリ4世の首が再び歴史上にあらわれたのは1919年のこと。オークションハウスで首を購入したアンティークディーラーのJoseph-Emile Bourdais氏は首がアンリ4世のものだと確信し、首をガラスケースに展示し見学者に有料で公開するかたわら、熱心に肖像や彫刻を集め自身で撮影した首の写真と照合しアンリ4世本人のものであると証明しようとしました。しかし、首をルーヴル美術館に寄付しようとしたものの断られてしまったそうです。

その後首はコレクターの手に渡り、60年間個人のコレクションの中に眠っていましたが、アンリ4世を研究する歴史学者のJean-Pierre Babelon氏や、ジャンヌダルクのものと言われる遺体が偽者であったと証明したことで知られる法医学者のPhilippe Charlier氏などの専門家19名のチームにより今回鑑定されることとなりました。なお、その現在の所有者の名は明かされていません。

こちらがそのミイラ。


なかなかの美男であったと言われるアンリ4世。ミイラにはヒゲの一部が残っていたのですが損傷が激しく子孫との間で鑑定をするに足るDNAのサンプルは得られなかったとのこと。しかし、さまざまな手法の検査により、専門家たちはこのミイラがアンリ4世のものであると確信を得ています。


CTによるミイラの骨格などのデータからデジタル再構成された顔は、アンリ4世の肖像画とそっくりです。


ミイラの骨格とアンリ4世の死の直後に型どりされたデスマスクを重ねた図(左)と、同じく骨格をアンリ4世の像と重ね合わせた図(右)。


特徴的な鼻のホクロも一致。


右耳たぶの耳飾り用の穴も確認できます。


このほかにも暗殺未遂の際に受けた唇の上の刀傷などの特徴が一致したこと、埋葬の際の当時のフランスの王族としては特殊な防腐処理の方法や使われた薬品が記録と一致したこと、年代が一致したことなどにより、専門家たちはこの首のミイラがアンリ4世のものに間違いないと「99%確信している」そうです。

サン=ドニ大聖堂には、フランス革命の時にごちゃまぜになってしまった歴代の王たちの遺体が今もまとめて埋葬されているのですが、彼らの一人一人を特定し改めて埋葬することも可能なのかもしれません。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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