BMIが高い人は食べ物のにおいに敏感、嗅覚が鋭すぎるのが食べ過ぎの原因に?
BMI(体格指数)が高い人はBMIが低い人と比べ食べ物のにおいに敏感で、食べ物以外のにおいには鈍感であることがポーツマス大学の研究により明らかになりました。BMIとは体重(kg)を身長(m)の自乗で割った指数で、25以上が体重過多、30以上が肥満とされています。
空腹時・満腹時の嗅覚とBMIの関係を検証したのは、今回の研究が初めてとのことです。
詳細は以下から。University of Portsmouth news - Heavier people are better at ‘smelling’ food
ポーツマス大学心理学科のLorenzo Stafford博士は当初、人間の嗅覚は空腹であるか満腹であるかにより影響されるかを調べるため研究を始めたそうです。論文はChemical Senses誌に掲載されています。
遠くから食べ物のにおいをかぎつけて食事にありつくことができるよう空腹時の方が食べ物のにおいに敏感になるのでは、と予想されそうなものですが、8歳から49歳の64人の男女を対象に行われたテストの結果からは、意外なことに人々の嗅覚は空腹時には食べ物以外のにおいに対し鋭くなり、食べ物のにおいに対しては満腹時の方が敏感であるということが明らかになりました。
この理由はまだ解明されていないのですが、Stafford博士は、適正なエネルギー収支を保つために必要のない食べ物を検知し拒むための仕組みとも考えられると述べています。
被験者の64名の男女は、空腹時と満腹時にそれぞれ食品関連のにおいと食品でないにおいを嗅ぐテストを受けました。食べ物のにおいのサンプルとしては食品業界で使われるハーブベースの天然香料を用いた識別テスト(食品のにおいを無臭のサンプルから嗅ぎ分ける)を行い、食べ物以外のにおいのサンプルとしてはブタノールを用い閾値テスト(感知することができる最小のにおいの濃度を測定する)を行いました。
そして、調査結果をさらに分析したところ、BMIが高い人はBMIが低い人と比べ食べ物のにおいに敏感で、食べ物以外のにおいには鈍感であることが明らかになりました。肥満の人の嗅覚が弱いということはこれまでに行われたさまざまな研究でも示唆されてきたそうですが、一般的なにおいに関してはこれがあてはまっても、食品のにおいに対しては肥満の人の方が逆に鋭い傾向は、今回初めて明らかになったとのことです。
「太りやすい」人は、食べ物に関する嗅覚の鋭さが食物摂取量に影響することも考えられる、とStafford博士は語っています。「脳の中で嗅覚情報を処理する部分(嗅覚皮質)が摂食中枢とつながっていることは、以前から明らかになっていました。しかし、嗅覚皮質が食物摂取をどの程度コントロールするのかはまだ解明されていません。今回の発見がこの分野のさらなる研究を触発し、人々の体重管理や医療の現場で役立つことにつながることを期待しています」
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