あまりにも過酷なニンテンドーDSソフトの流通システム、ゲーム会社の社長が任天堂に対して提案
Wii向けソフトの販売不振に悩むゲームメーカーが「まだ死にたくない」という悲痛な訴えをブログに掲載するなど、任天堂のゲーム機にソフトを供給している中小のゲーム会社は厳しい環境に置かれていますが、ゲーム会社の社長が任天堂に対して「提案」という形で意見表明を行いました。
先日行われたニンテンドー3DSの発表会において、任天堂の岩田社長自らが「任天堂のハードで売れるのは任天堂のソフトばかり」「サードパーティのゲームソフトが売れていない」という話題に言及していましたが、はたして現状の任天堂のシステムではどのようなことが問題となっているのでしょうか。
一般ユーザーの知ることができない、中小ゲーム会社にとって非常に厳しいニンテンドーDSソフトの流通事情は以下から。
こんな機会だから任天堂に提案してみる。| Alchemist - 門前仲町ではたらく社長のアルブロ
ゲーム会社「Alchemist(アルケミスト)」の社長、浦野重信氏のブログによると、任天堂が「ニンテンドー3DS」の発売日や価格、ローンチタイトルなどを明かした「任天堂カンファレンス2010」において、「任天堂のハードで売れるのは、任天堂のソフトばかり」「サードパーティのゲームタイトルが売れていない」ということに岩田社長自らが言及したそうです。
そして岩田社長がこの問題の解決策として、「ニンテンドー3DSではスタートダッシュの段階でサードパーティと足並みを揃える必要がある」と述べたことに対して、「えええぇぇぇぇ!! ちょっとちょっと違うんじゃない!?」と、違和感を覚えたとのこと。
浦野氏は任天堂に対して「提案されるべきは、優良なゲームを販売しやすい流通施策についてだと思います」とした上で、「弊社を筆頭に多くのソフトメーカーは自社ソフトを売るにあたって絨毯爆撃のようなTVCMをうつ事はできません。基本は店舗に営業をしながら地道なマーケティング活動をして商品を売っていきます」という中小ゲーム会社の現状を説明。
「なかなかマスに向けての広告ができない小さなサードパーティのゲームソフトを売れるようになるために何をすべきか、任天堂流通の問題点を今一度、見直すことで必要な時期にきているのではないでしょうか?」として、ニンテンドー3DSの流通にあたって行って欲しい、以下のような施策を提案しています。
1.リピート製造数を100本からに
現在、ニンテンドーDSのソフトをリピート生産しようとすると数千本(具体的な数値は公開できず)からしか発注できないそうです。なお、他社のゲーム機では100本からの対応が可能とのこと。つまり数百本が不足しているだけでも、数千本生産する必要があり、メーカーにとっては大きな負担になるようです。
2.製造期間を1週間に短縮
ニンテンドーDSのソフトをリピート生産しようとした場合、期間が3~4週間かかるそうです。なお、他社のゲーム機では1週間からの対応が可能。このようなタイムラグは商品にとって致命的である上に、品切れのリスクを避けるために1ヶ月分の在庫を持たないといけなくなるなど、メーカーにとっての負担が膨らんでしまうことになります。
3.100%の前払金をやめる
ゲームソフトを発注するには、任天堂に製造費を100%前払いする必要があるそうです。そして仮にソフトの製造費を1本あたり1000円(実際は容量などで金額が異なる)とした場合、ソフトが大ヒットして100万本の注文が入ると任天堂に1000円×100万本=10億円の前払いが必要となる事態に。
注文段階では問屋などからソフトメーカーに対しての入金も無いため、メーカーが資金繰りに苦しむ結果となるだけでなく、リピート生産の納期の関係もあり、注文数以上に在庫を持たないといけなくなると、さらに資金繰りが悪化することになるため、前払金を3分の1に抑えるといった救済措置を望んでいます。
4.任天堂のTVCM枠に入れる
あくまで「都合のいいお願い」としていますが、任天堂の提供番組にリーズナブルな金額で、全国CMを入れられるチャンスをもらえれば、ソフトの販売数を伸ばすことにつながるとしています。
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