ハードウェア

Seagate製のハードディスクに致命的不具合騒動、現時点での各ショップの対応はどうなっているのか?


Seagate製のハードディスクの一部について致命的な不具合が発生していることが明らかになり、該当するモデルのハードディスクを所有している人はいてもたってもいられない状態に陥っているわけですが、いまだにSeagateからは公式にユーザーに向けて、これといった具体的な説明や発表がない状態。一部のハードディスクについてはファームウェアの提供も開始されましたが、一時はそれによってさらに不具合が発生するという完全な人柱モードに突入、全世界で混乱を巻き起こしています。当然ながらファームウェアのアップデートは自己責任という扱いであり、リコールする予定も現時点では一切なし、このまま逃げ切る作戦なのでしょうか?何より解せないのが、いまだにSeagate日本法人の公式サイト上では何の発表もされていないという点。ユーザーをなめているのか、本家Seagateから口止めされているのか、不可解な沈黙を貫いています。

しかし、各自作系のPCショップなどには一部、おしらせが出始めており、今回の問題の根深さを思い知らせてくれます。

一体何が起きているのか、いつになったら収束するのか、Seagateは本当に大丈夫なのか、詳細は以下から。
まずはメルコが100%出資を行っており、「玄人志向」などのブランドで有名なCFD販売株式会社。

ニュースリリース  CFD販売株式会社
Seagate社製ハードディスクの不具合情報について、CFDには該当製品の納入はされておらず、過去出荷分についても問題がないとSeagateから回答をもらったそうです。さらに興味深いのはSeagateからの説明について触れている個所。以下のようになっています。

 今回の不具合は、一部の製造ラインで組み立てられたハードディスクとそのファームウェアの組み合わせにて発生します。メルコグループに納入されたハードディスクは、この製造ラインで生産された製品はなく、今回の不具合は発生しません。

 不具合情報公開時に開設していたチェックサイトには不備があり、現在閉鎖しております。ここでのチェック結果については、該当・非該当ともに正しい情報ではない可能性があります。

確かにシリアル番号をチェックして、該当する製品かどうかを確認するサイトは現在閉鎖されていますが、それについてSeagateから公式な説明などはありませんでした。現時点でサポートページを見に行けばわかるのですが、該当する型番は基本的に全部アウトになっていたり、あるいは個別に問い合わせるようにということになっていたり、バラバラになっています。

次に、ツートップFaithなどは同じような共通個所があり、どうやら各ショップ宛に同じ文面で回答が来ているようです。いずれも「販売は継続する」とした上で、以下の個所が共通しています。というか、ほとんど同じ文面、まるでコピペ(2009/01/23 14:14追記、これらは経営母体が同じ株式会社UNITCOMなので、同じ文面だそうです)。

正規代理店からの回答内容は次の通りとなります。
  1) 本件による故障の発生率は、通常発生するハードディスクの故障率を逸脱するものではありません。
  2) 上記理由により、Seagate社では本製品の回収の予定はなく、販売を継続いたします。
  3) 念のため、希望されるユーザー様へのファームウェアのアップグレードを今後Seagate社にて準備中です。

 この回答を受け、弊社と致しましても本製品につきましては今まで通り販売を継続致しますが、
 本製品をご購入しファームウェアアップグレードをご希望される場合には、お手数ではございますが、
 Seagate社のHPよりファームウェアのアップグレードをお願い申し上げます。

さらにえげつないことをしているのがBLESSで、「この度のSeagate製HDD一部不具合の報道に関しまして本日国内正規代理店より、弊社取扱商品は問題ない旨の報告を頂きました為、当該製品の販売を再開いたします」として、PDFファイルへトップページからリンクしており、中身はSeagateの日本において5社しかない認定正規代理店の一つであるシャトルエイトからの連絡をそのまんまスキャンしたもの。


また、海外の本家Seagateでは「同社製HDDの一部モデルを2008年12月までに購入した顧客を対象に、データ・リカバリ・サービスの無償提供を開始」しており、「Barracuda 7200.11」の不具合については2008年11月から報告されており、データ復旧会社Retrodataの最高経営責任者であるダンカン・クラーク氏によると、不具合の発生する比率は実に30%以上と推測(Seagateの広報はこれを否定)しているそうです。Seagate側はリコールの実施についてはまだ決定していないとしています。さらにクラーク氏はこのような指摘もしています。

一方、クラーク氏は、Seagateがデータ・リカバリ・サービスの無償提供を発表するまでに時間がかかった点に触れ、「Seagateは粗悪な製品を出荷しただけでなく、その問題を解決するという企業責任を果たしていない。それどころか、同社は傘下にデータ・リカバリ会社を有しており、今回の不具合のおかげで利益すら上げている」と非難している。「Seagateが問題解決に専念してくれることを期待する」(クラーク氏)。

なお、本当かどうかは不明なのですが、本家Slashdotにて「maxtorman」と名乗る「Seagateの技術者」が以下のような興味深い書き込みをしています。

・1.5TB HDDの不調問題は当初軽く見られていた(1.5TBのは全体の5%)
・意外に大きい問題とわかり、急遽CC1H と SD1Aが作られた。
・これらは一般配布において必要なチェック(部品が対象のものか等)を含んでいなかった。

・SeagateのHDDの問題が大きくなると、中間管理職連中がパニックを起こした。
・彼らはSeagateの信用がかかっていると主張して、いますぐCC1H と SD1A を公開する
 ことを要求した。
・CC1H と SD1A は、公開されたが、従来公開に5つのチェックが必要だったのに対して
 今回は1つだけ、単に別のファイルで無いかどうかだけが確認された。
・その結果、500GBモデルを中心にSD1Aによる2次災害が発生した。

・ちなみにSD系の突然死の原因は単純である。よくないことだがよくあるミスだ。
・これらのHDDは不良ログを記録するエリアを320個持っていて、不良セクタ・書き込み失敗
 などのエラーを順に記録していく。
・最後にログが記録されたエリアがちょうど320番地の時に電源を落とすと、次の起動時に
 起動不能となる。ちなみに320を超えると1番地に巻き戻るので問題ない。
・これらのエラーログはホームユースの非RAID環境下では数日に一つしか増加せず、かつ
 運悪くジャスト320番の時に電源を切らないと発生しない問題のため、RMA対応
 で問題ないとみなされた。

彼はこのことを外部にリークしたのがばれてクビになるのが恐くて、名前を名乗ることはできないそうですが、やたら詳しい内容なだけに本家Slashdotでは質問が殺到、そのすべてにかなり詳細に答えており、サポートの現場が混乱しており、どのサポート要員も十分に訓練を積んでおらず、世界中からファームウェアのアップデートを求めるメールが山のように殺到して処理待ち状態になっている、などの興味深い内情を次々と暴露しているようです。

一体、いつになったらきっちりとこのSeagate問題は収束してくれるのでしょうか……。

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in メモ,   ハードウェア, Posted by darkhorse

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