なぜ巨大な木は周囲の環境を食べ尽くさないのか?

大きな木の中には、地球最大の動物であるシロナガスクジラ10頭分に匹敵する2000トンの重さを持つものもあります。しかし、巨大な生き物が周囲の食物を食べ尽くしてしまうことはありますが、大きな木の周囲で「栄養が吸い尽くされる」といった現象は起こりません。木が周囲の環境を荒らすことなくこれほど大きく成長できるメカニズムについて、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtが解説しています。
Why Are There No Holes Around Trees? - YouTube

植物が成長する重要な要素としてはまず空気中の二酸化炭素があります。炭素はあらゆる生物にとって最も貴重な物質であり、その炭素を吸収する能力に優れていることが植物が繁栄した理由の1つと言えます。しかし、二酸化炭素は空気中の約0.04%しかなく、巨大な木が1トンの炭素を栄養として得るためには約6000トン分の空気、サイズにして約500万立方メートルの空気を処理する必要があります。

大量の空気を処理するために役立つのが樹冠です。樹冠とは枝や葉が生い茂る部分全体であり、数十の枝から数万の小枝は太陽に向かって広がるように形作られます。

数百万枚の葉が周囲の空気を効率的に処理し、根から運ばれてきた水やミネラルを使いながら不要となった物質を外へ放出します。葉は太陽光を集めるために可能な限り広い表面積と薄さを持つように最適化されており、葉の内部は栄養を運ぶためのネットワークが張り巡らされています。

成木は毎日数十リットルの水を地中から吸い上げ、枝の先まで行き渡らせます。吸い上げた水分の95%は葉の裏にある気孔から排出され、直射日光を浴びることで木の周りを目に見えない霧となって包みます。大量の木から出る蒸気は雲を作り雨を降らせるため、再び成木が吸い上げるための水が地中に供給されるというサイクルが成り立っています。

木の奇妙なメカニズムは地上に見えている部分だけではなく、地中の根もそれ以上に奇妙な生態をしています。木の根の50%は土壌の表面から25cm以内にあるとされるほど横に広がっており、まっすぐ下に深く伸びるものではないため隣合った木々の根っこは絡み合っています。非常に乾燥している地域に生えている場合のみ例外で地下約70m近くまで根が伸びて地下深くの水へとアクセスしますが、それ以外の場合は約7mほどの深さまでしか根は伸びていません。

根の先端には根冠というセンサーのような細胞を含む組織があり、根が下に伸びていくために重力を検知する細胞も含まれていると考えられています。そのほかにも水を温度や構成物質まで検知する細胞があり、検知した情報は全ての根に共有されます。

進路を決めた根は根毛と呼ばれる毛状の表皮細胞から水やミネラルを吸収します。また、硬い岩石の中に含まれる必須栄養素を吸収するために、根は細かい亀裂から岩石に侵入した後に水が供給されて膨らむことで、硬い岩石すら砕くことができます。

根のメカニズムは洗練されたものですが、根が行き届かない場所もあります。そのような細かい場所に入り込んで栄養を吸収する助けとなるのが菌類です。木は空中の高い位置で生産された糖分の一部を菌類に供給し、菌類は代わりに根の細胞に直接入り込むように成長して糖分やミネラルがやり取りされるネットワークを構築します。また、根の先端に巻き付くようにして根を微生物から保護する菌類もあります。

このように、木は地上と地下に広がる精巧な仕組みによって成長しています。地下から得られる水分や栄養は巨大なサイクルとして成立しているほか、木の巨大な体の大部分は地中というより空気から作られていることから、「木が巨大に成長するため周囲の環境を食い荒らす」というようなことは起きないというわけです。
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