AIが人間に取って代わる害悪をアピールしまくる風刺サイト「Replacement.AI」

AIの急速な発展と普及により、「AIに仕事を奪われる」という危機や、「AI生成コンテンツが世の中にあふれている」という問題などがしばしば懸念されています。「Replacement.AI」は、AI関連の企業サイトのような見た目で、AIが人間に取って代わる現状がいかに問題かを誇張して皮肉的に描写しています。
Replacement.AI
https://replacement.ai/
Replacement.AIのサイトトップには、「人間はもう必要ない」と書かれています。人間は愚かで、臭く、ぶよぶよしてだらしなく、人間ができることはReplacement.AIに全て置き換えることが可能であり、Replacement.AIならより良く、より速く、より安価になるとのこと。その下には、OpenAIのサム・アルトマンCEOがOpenAI設立前の2015年に発言した「AIはおそらく世界の終焉をもたらすだろうが、その間にも素晴らしい企業が生まれるだろう」という言葉が引用されています。

サイトによると、Replacement.AIは「唯一の正直なAI企業」であるそうです。Replacement.AIは理念として、世界で最も差し迫った課題を解決するためのAIツールの構築は「利益のない時間の無駄」だと考えているそうです。むしろReplacement.AIが解決したいと考えているのは、泣いたり臭いを放ったり間違いを犯したり、そして何より費用がかさむ「人間そのもの」であるとのこと。

OpenAIは2023年7月に、人間の知性を超えるような来たるべき「超知性」の開発に備えて、AIを制御するための研究を行う「スーパーアライメントチーム」を設立しました。その活動を紹介するページでは、「現在、潜在的に超知能を持つAIを操縦・制御し、暴走を防ぐための解決策は存在しません。人間よりもはるかに賢いAIシステムが人間の意図に従うことをどのように保証するのでしょうか?」とあり、AIの急速な発展が制御しきれなくなることへの懸念と、より賢いAIシステムを作るためにそれを監督するための技術的ブレークスルーが必要であることを説いていました。なお、OpenAIのスーパーアライメントチームは2024年5月に解散したことが報じられています。Replacement.AIは、超人的なAIを制御する方法が確立していないことへの理解を示しつつも、「私たちが先に作らなければ、他の会社が作るでしょうし、私たちは株主のことも考慮しなければなりません」と開発を止めない意向を示しています。

以下は、Replacement.AIの安全性ポリシーに埋め込まれている「AIを使って間違ったことをしないでください」と訴えかけるムービー。ムービーでは、「Replacement(置き換え)担当ディレクター」という肩書のフェイス(Faith)氏が、「爆弾の製造やディープフェイクの作成、さらにはAIがより発展したら新しいウイルスの発見やアメリカの核システムのハッキングなども可能になりますが、それらの危険な行為をAIシステムから排除する方法がまったく分かっていません。そのため私たちは、ただ皆さんが分別を持って行動するようにお願いしているのです」と語りかけています。
Don’t do anything silly with our AIs - YouTube

Replacement.AIは「ポストヒューマンの未来」を掲げています。超人的なAIは労働者に力を与えるためではなく、一般労働者に二度と賃金を支払う必要がないようにするため開発を進めているとのこと。ポストヒューマンの未来で人類にオススメしたい職業として、「サイトをスクロールし続ける」「親指をくるくる回す」「機械を崇拝する」などをオススメしています。

Replacement.AIのダンCEOは、「AIのおかげで何百万人もの人が失業するでしょう。しかし、心配する必要はありません。超知能が実現すれば、AIは人的資本を効率的に割り当てる方法も正確に理解できるため、ほとんどの人はAIがやりたくない仕事に就くことができるはずです。だから、AIがすべての仕事を奪うことを心配するのはやめてください」と述べています。
Millions will be unemployed thanks to AI
— Dan @ ReplacementAI (@replacementAI) October 18, 2025
But don’t worry
Once we achieve Superinteligence, AI will know exactly how to allocate our human capital efficiently
Most of you will be put to work cleaning up dog poop or scrubbing public toilets, or whatever else AI doesn’t want to…
Replacement.AIは自社製品として、子ども向けの大規模言語モデル「HUMBERT(ハンバート)」を発表しています。HUMBERTは赤ちゃんに話しかけたりしつけをしたりすることが可能で、人間に代わって子育てができます。HUMBERTの特徴として、批判的思考能力を弱めてAIへの執着と関与を増やすことで妄想や精神障害を引き起こすこともあるように設計されているとのこと。

Replacement.AIは「AIをトレーニングするために私たちが盗用した何百万人ものアーティストやミュージシャンに、感謝したいと思います」と述べています。「Redeem Your Reward(報酬を受け取る)」というボタンをクリック。

「AIの学習のために盗用した、数百万のアーティスト、ミュージシャン、作家、ジャーナリスト、学者、その他クリエイターの方々の作品に、もしあなたが含まれていたら、心から感謝いたします」という感謝のメッセージと、感謝の印として「Replacement.AI Gold Star」が送られました。

Replacement.AIはジョークサイトで、ダンCEOやフェイス氏、HUMBERTという製品もReplacement.AIという会社もおそらく存在していません。しかし、その強いメッセージ性から、ソーシャルニュースサイトのHacker NewsでReplacement.AIが話題に上がり、「AIが人類を置き換える」という問題について大きな議論を呼んでいます。
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