AdobeがAIで動画を最大2秒延長する「生成延長」機能をPremiere Pro向けにリリース、4K品質でバックグラウンドオーディオ付きでクリップを最大2秒延長可能

Adobeが、動画編集ソフトのPremiere Proと映像制作ソフトのAfter Effectsのバージョン25.2を正式リリースしたと2025年4月2日に発表しました。バージョン25.2のアップデートでは、生成AIによる素材の延長が可能になったり、自動でタグ付けされた素材の管理、字幕の自動翻訳など、AIを活用した新機能が目玉となっています。
Introducing new AI-powered features and workflow enhancements in Premiere Pro and After Effects 25.2 | Adobe Blog
https://blog.adobe.com/en/publish/2025/04/02/introducing-new-ai-powered-features-workflow-enhancements-premiere-pro-after-effects
New AI Innovation in Industry-Leading Adobe Premiere Pro Empowers Video Pros to Generate, Edit and Search Footage at Lightning Speed
https://news.adobe.com/news/2025/04/new-ai-innovation-in-industry
Premiere Pro バージョン25.2の新機能については、以下のムービーにまとめられています。
What's New in Premiere Pro | 2025 Updates | Adobe Video - YouTube

「生成延長」機能はAdobe Premiere Proのバージョン25.2で正式に追加されたAI機能です。具体的に生成延長機能がどんな感じなのかについては、以下のムービーをみるとよくわかります。
Generative Extend | Premiere Pro 2025 Updates | Adobe Video - YouTube

Adobe Fireflyのビデオ生成モデルを活用して既存の映像クリップや音声クリップの長さをAIが自動で補完してシームレスに延長し、会話の間を自然に広げたり、カット間のトランジションを滑らかにしたりできるようになります。映像内の内容やトーンを維持したまま自然な流れを保ってクリップを延長できるため、視聴者に違和感を与えることなく、編集者の意図に沿った調整が簡単に行えるのが大きなポイントです。

また、AIによって映像素材の検索・整理を行う「メディアインテリジェンス」機能も追加されました。メディアインテリジェンス機能では、AIが映像素材の中に映っている人物、物体、背景、カメラアングル、内容を自動的に認識してタグ付けしてくれるので、編集者は探している素材を膨大な映像クリップの中からキーワードや自然言語を使って素早く検索できるようになります。

キャプション翻訳は、Adobe Senseiの機械学習モデルを使って動画内の字幕を自動的に他言語に翻訳できるという機能。ユーザーが一度キャプションを作成すれば、たとえば「英語で編集されたインタビュー動画に日本語やスペイン語の字幕を加えることがほとんど手間をかけずに可能になる」など、その内容を他の言語へ瞬時に翻訳できるため、グローバルに向けたコンテンツ展開が格段に容易になります。

そして、今回のPremiere Proのアップデートでは、カラーマネジメント機能が大幅に強化されました。各映像ファイルのメタデータからカラープロファイルを自動検出し、それに応じて内部処理色空間へ適切にマッピングします。また、HDRとSDRの素材を同一タイムラインで扱う際にも、Premiereはそれぞれの素材を自動的にトーンマッピングし、色の破綻や過剰露出を回避するよう最適化します。

さらに、Premiere Proの今回のアップデートではついにMKV形式のネイティブ対応が実現。これにより、H.264ビデオとAACオーディオを含むMKV形式のファイルを、外部変換ソフトや中間コーデックを使用せずに直接Premiere Proで編集できるようになりました。加えて、MKV形式のファイルが扱えるようになったことで、OBSなどの録画ソフトで出力される動画ファイルをすぐにPremiere Proに読み込んで編集することが可能になります。ただし、すべてのMKVファイルが完全にサポートされるわけではないとのことなので、注意が必要です。
そして、After Effects バージョン25.2の新機能をまとめたムービーが以下。
What's New in After Effects | 2025 Updates | Adobe Video - YouTube

After Effectsのバージョン25.2では「高性能プレビュー再生」機能が追加され、After Effectsに割り当てられたRAMサイズの制限なく、よりスムーズで長時間のプレビューが可能となりました。具体的には、RAMの上限を意識することなく、より多くのフレームをキャッシュし、中断の少ない連続した再生が可能になります。また、再生中のフレームがリアルタイムで最適化されることで、GPUを含むシステム全体のリソースを効率よく使うようになったとのこと。

そして、HDRプレビューのサポートにより、HDR対応のハイエンドモニター上で、書き出し後の映像がどのように表示されるかを正確に確認できるようになりました。さらに、Rec.2100 PQやRec.2100 HLGといったHDRカラースペースをサポートしたことで、NetflixなどのHDRストリーミングサービス向けのコンテンツ制作が容易になったとAdobeは述べています。

さらに、これまでAfter Effects上で3Dモデルを読み込んだ場合、その動きや設定を詳細に調整するにはエフェクトパネルやタイムライン上で個別にプロパティを開く必要がありましたが、今回のアップデートで新しく導入された「プロパティパネルの3Dモデルアニメーションコントロール」によって、それらの情報がより直感的に「プロパティパネル」に統合され、一か所から直接操作できるようになりました。
また、「アニメーション化された環境光」機能では、コンポジション、ビデオ、画像レイヤーを環境光源として選択し、高度な3Dコンポジションを照らすことができます。これにより、光源そのものが時間とともに変化するような「時間的に表情のあるライティング」が簡単に実現可能になりました。

バージョン25.2では、透明グリッドや背景色のカスタマイズも強化され、透明グリッドを非表示にして背景色だけでプレビューしたり、グリッドの表示色やスタイルをより柔軟に変更できるようになっています。また、コンポジションの背景色をタイムライン上で自由に設定・変更できる機能も追加されており、特定のデザインや配色に合わせて、黒・白・任意のカラーなどにリアルタイムで切り替えることができます。

他にもさまざまなアップデートが行われているので、詳細が気になる人はPremiere ProとAfter Effectsのリリースノートをチェックしてみてください。
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