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Amazon創設者のジェフ・ベゾスが支援する「1万年時計」はどのように実現したのか?


30年以上前から構想されている「1万年時計」がどのようにして実現したのかについて、建築家のバックミンスター・フラーや映画監督のスティーブン・ソダーバーグの伝記の著者であるアレック・ネヴァラ・リー氏がまとめています。

Chimes at Midnight—Asterisk
https://asteriskmag.com/issues/08/chimes-at-midnight


2023年にAmazonの創設者であるジェフ・ベゾス氏と婚約したニュースキャスターのローレン・サンチェス氏は、ファッション誌VOGUEの特集記事のためにベゾス氏の所有する牧場を案内しました。ジャーナリストのクロエ・マル氏に付き添われ、サンチェス氏はテキサス州の小さな山脈であるシエラ・ディアブロにヘリコプターで着陸し、岩肌に直接建てられた螺旋階段を下りて行き、地下に設置された1万年動くよう設計された巨大な時計を紹介しました。


ベゾス氏が構築中の1万年時計の全貌は記事作成時点ではまだ公開されていませんが、公開情報によると、時計は「北緯,31°,26',54”、西経,104°,54',14”」の位置にあります。この場所はベゾス氏の保有する宇宙開発企業であるBlue Originの着陸パッドから約8マイル(約12.9km)という位置にあります。

1万年時計は高さ500フィート(約152メートル)、直径12フィート(約3.7メートル)の円筒形のシャフトで、内壁に沿って設置された螺旋階段で上り下りすることが可能。温度は華氏55度(摂氏12.8度)に設定されており、高さ70フィート(約21メートル)の位置に動力システムの駆動重りが吊り下げられています。この重りはブロンズで縁取られた巨大な楕円形のコンクリートで、重さは約5トンです。


他にも、船舶のロープやチェーンを巻き取る装置であるキャプスタンのような水平巻き上げ機を備えたプラットフォーム、スチールとチタンのギア、80フィート(約24メートル)のジュネーブドライブ(20個の刻み目のあるホイールを備えた非常に低速のコンピューター)なども備えています。正午に時計を巻き上げると、362万8800種類の固有パターンのうち10種類の鐘が鳴ります。鐘の音のパターンが大量に用意されている理由は、1万年間ほぼ毎日異なる鐘の音を鳴らすためです。

1万年時計のメイン部分には、計算システム、脱進機、7秒ごとに1回振動する振り子を保護する真ちゅうと石英の筐体があります。時計の文字盤自体は幅8フィート(約2.4メートル)ほどのサイズで、中央には星座の黒い球があり、その周囲を可動式のリングが取り囲んでおり、日の出、日の入り、月の満ち欠けを示すそうです。外側のリングには年が記されており、5桁の数字が表示され、さらに奥に現在の時刻の読み取り装置が埋め込まれています。


1万年時計は巻き上げなくても無限に動き続ける設計となっています。

1万年時計は1989年にダニー・ヒリス氏が考案したもの。1956年生まれのヒリス氏は、マサチューセッツ工科大学で並列コンピューティングに関する論文を発表し、Thinking Machinesというスーパーコンピューターのスタートアップを設立。Thinking Machines製品で最も有名なのが、赤いライトが点滅する黒い立方体状のコネクションマシンです。これはあまりに見栄えが良かったため、映画「ジュラシック・パーク」にも登場しています。しかし、Thinking Machinesは1994年に倒産しました。

そんなヒリス氏が1万年時計について最初に公の場で説明したのは、1995年2月15日に発行されたWIREDに掲載されたエッセイでした。ヒリス氏は社会が遠い未来を思い描くのに苦労していることに着目し、長期的思考を促す象徴的な物体として1万年時計を提案。ヒリス氏は1万年時計について「1年に1回時を刻む時計を作りたいです。世紀の針は100年に1回進み、千年紀にカッコウが鳴るような時計です」と説明しました。「なぜ1万年なのか?」というと、人類文明が存在してきた時間とほぼ同じだからだそうです。なお、1万年時計の鐘の音を作曲したミュージシャンのブライアン・イーノ氏は、この時計を「Clock of the Long Now」と呼んでいます。

当初、ヒリス氏はディズニーの研究開発担当ヴァイスプレジデントとして働いていたそうですが、ディズニーでの仕事とは別に2つの1万年時計を試作。当時を思い返しながら、ヒリス氏は「私の時計の話を聞いた人の多くは、それを単なる物語としか思っていませんでした。彼らは1万年時計が実在すると知って驚きます」と語りました。


1万年時計を開発するための財団であるThe Long Now Foundationは、1996年にスチュワート・ブランド氏によって設立されました。スティーブ・ジョブズを筆頭とするシリコンバレーの億万長者にインスピレーションを与えた作家のスチュワート・ブランド氏は、1986年にThinking Machinesで働いていたヒリス氏と初めて出会いました。ヒリス氏いわく「私たちはすぐに意気投合し、親友になりました」とのこと。ブランド氏は1万年時計についてテクノロジーコミュニティで開催されるイベントなどで熱弁し、業界でも影響力のある人物たちをThe Long Now Foundationの役員に引き込むことに成功しています。

1万年時計の最初のプロトタイプは、2000年に2度鐘を鳴らすのに間に合うように完成。このプロトタイプには、スイスの億万長者であるジェイコブ・E・サフラ氏が50万ドル(約7500万円)を出資しました。サフラ氏はコンピューターサイエンティストであるニコラス・メトロポリス氏がヒリス氏に紹介した人物です。


2つ目の試作品である「オーラリー」には、Microsoftの元最高技術責任者であるネイサン・マイアボルド氏が100万ドル(約1億5000万円)以上を出資しました。その後、ベゾス氏が1万年時計の開発プロジェクトを後援するようになります。ベゾス氏に1万年時計を紹介するきっかけとなった人物が、Amazonの最初の従業員であるコンピュータープログラマーのシェル・カパン氏です。1998年、マウイ島でカパン氏の誕生日パーティーが開かれた際、ブランド氏らがゲストとして呼ばれ、この中でベゾス氏はブランド氏と意気投合。ベゾス氏はブランド氏と出会ってから数年後、ヒリス氏に電話をかけて「なあ、君が作りたい時計がわかりますか?その資金援助がしたいんだ」と語り、資金援助を申し出たそうです。

ベゾス氏は初め、4200万ドル(62億9000万円)の資金援助を計画していましたが、その後、1万年時計の建設が始まって以来、支援額は増え続けているとのこと。リー氏によると、ベゾス氏が1万年時計に投資した金額は、同氏の純資産の約0.2%にも上るそうです。

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in メモ, Posted by logu_ii

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