サイエンス

小惑星「2024 YR4」の地球衝突リスクが10万分の1に低下、事実上ゼロになってリスクの評価外に

by NASA's James Webb Space Telescope

約33分の1という、現実味のある確率で地球に衝突する可能性があることで取り沙汰された小惑星「2024 YR4」の継続的な監視により、衝突リスクが事実上ゼロの約0.001%に低下し、今後上昇することもない見通しになったと欧州宇宙機関(ESA)およびNASAが発表しました。

Sentry: Earth Impact Monitoring
https://cneos.jpl.nasa.gov/sentry/details.html#?des=2024%20YR4

ESA - Asteroid 2024 YR4 no longer poses significant impact risk
https://www.esa.int/Space_Safety/Planetary_Defence/Asteroid_2024_YR4_no_longer_poses_significant_impact_risk

'No chance' of impact from asteroid 2024 YR4, say space agencies | Science, Climate & Tech News | Sky News
https://news.sky.com/story/no-chance-of-impact-from-asteroid-2024-yr4-say-space-agencies-13316954

'That's Zero Folks!': Asteroid 2024 YR4 is no longer a hazard | Live Science
https://www.livescience.com/space/asteroids/thats-zero-folks-asteroid-2024-yr4-is-no-longer-a-hazard

2024年12月27日にチリの小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)が発見した「2024 YR4」は、幅40~90メートルと推測されており、地球に落下した場合に放出されるエネルギーは広島に投下された原子爆弾の500倍に相当する約8メガトンと推定されているため、一部の報道では「都市破壊者(シティ・キラー)」とも呼ばれてきました。

軌道の計算により、2024 YR4が2032年12月22日に地球に落下する可能性が高まり、ピーク時にはESAの発表で2.8%、NASAの発表で3.1%まで上昇していました。


その後、2025年2月24日までの観測により集められたデータで計算を行い、ESAは地球へ衝突する可能性を0.001%に、NASAは0.0017%にまで下方修正しました。これに伴い、2024 YR4は小惑星の衝突リスクを予測するトリノスケールのレベル「3」から「レベル0」に格下げされ、国際小惑星警報ネットワークは2024 YR4に関連するすべての活動を終了しました。

マサチューセッツ工科大学の惑星科学の教授であり、トリノスケールの考案者でもあるリチャード・ビンゼル氏は「小惑星2024 YR4は、軌道経路の追跡により地球と交差する可能性が格下げの基準値である1000分の1を下回ったため、トリノスケールのレベル0、つまり『危険なし』のレベルに再分類されました」と述べました。

以下は、ESAが作成した衝突リスクの推移のアニメーションで、クリックすると大きいサイズが表示されます。オレンジ色の点は2032年12月22日に小惑星2024 YR4が通過する可能性のある場所、黄色の点は最も可能性の高い場所で、衝突するおそれのある範囲が絞り込まれるにつれて確率が上昇した後、地球がその範囲から外れたことで急激に低下する様子がわかります。

by ESA

なお、上のアニメーションでは2024 YR4の通過点が月の軌道に重なっているように見えますが、2024 YR4が2032年12月22日に月に衝突する可能性は非常に低く、記事作成時点では1.7%と見積もられています。

SNSには以下のように説明する投稿もあります。


この結果は専門家の予想通りで、NASAの地球近傍天体研究センターで所長を務めるポール・チョーダス氏は「衝突の確率はいずれ0%になる」との見解を示していました。

2%で地球に衝突する小惑星「2024 YR4」のリスクはいずれほぼ0%になると専門家 - GIGAZINE


チョーダス氏は、衝突の確率が再び上昇することはもはやなく、可能性は完全に排除されたとした上で、「これは我々がずっと予想していた結果ですが、今までは100%の確信が持てませんでした。2024 YR4はもはや地球に重大な衝突の危険をもたらしませんが、研究者にとっては非常に貴重な機会を提供してくれました」と語りました。

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