「フラフープ」が生まれつき上手な人と下手な人がいる理由が科学的に判明
子ども時代にフラフープを遊んだ経験がある人の中には、苦もなく簡単にできた人もいれば、どんなに頑張ってもなかなかうまく回し続けられなかった人もいるはず。フラフープの物理的な挙動を数学的に検証する実験により、フラフープをうまく回せるかどうかに重要なのは回し方ではなく体形で、ずんどうな人ではフラフープを回し続けることはできないという身もフタもない結果が示されました。
Geometrically modulated contact forces enable hula hoop levitation | PNAS
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2411588121
How Does a Hula Hoop Master Gravity? Mathematicians Prove that Shape Matters
https://www.nyu.edu/about/news-publications/news/2025/january/how-does-a-hula-hoop-master-gravity--mathematicians-prove-that-s.html
「フラフープのように人気で楽しく、健康的なアクティビティが、基礎的な物理学のレベルでさえ理解されていないことに気づいたときはびっくりしました」と話すのは、ニューヨーク大学クーラント数理科学研究所のリーフ・リストロフ准教授です。
アメリカ科学アカデミー紀要に掲載された今回の論文の責任著者であるリストロフ氏によると、フラフープは古典的で多くの人に親しまれているおもちゃであるにもかかわらず、フラフープが重力に逆らって空中に保持される物理的な仕組みという基本的な問題は、これまで解明されていなかったとのこと。
そこで、リストロフ氏らの研究グループは3Dプリンターでさまざまな体形の人を模した10分の1サイズの模型を作り、半径7.4cmのフラフープを回させる実験を行いました。
以下のムービーを再生すると、高速カメラで撮影した実験の様子を見ることができます。
Robotic hula hooper - YouTube
実験の結果、どのような回転運動をさせるかや、体の断面が円形か楕円(だえん)形かなどは重要な要素ではないことがわかりました。
フラフープの回し方よりも重要だったのは幾何学的形状、つまりどのような体形なのかで、例えば円筒形の模型はフラフープをほとんど回し続けることができず、円すい形もフラフープを一定の高さに保つことはできませんでした。
そして、最もフラフープを回すのに適した体形は腰がくびれた砂時計形であることが実験で判明しました。
論文の記述によると、「フラフープを水平に保つには『ヒップ』と曲線の『ウエスト』のある傾斜面が必要」とのこと。
また、リストロフ氏は「人にはさまざまな体形があり 、ヒップやウエストに傾斜や湾曲といった特徴がある人もいれば、そうでない人もいます。私たちの研究結果は、なぜ一部の人が生まれつきフラフープがうまいのに、他の人は一生懸命努力しなければならないのかを説明できるかもしれません」とコメントしました。
フラフープの物理的な挙動に関する数学的モデルを確立させた今回の研究結果は、物体をつかむことなく移動させたり操作したりするロボットや、接触点が移動するようなダイナミックな機械的システムを含む工学アプリケーションに応用することができるかもしれないと、研究グループは論文に記しています。
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