地中深くのマントルで生成された「金」が地表に現れるプロセスについて明らかに
アクセサリーや電子部品としても用いられる金は、地球上ではマントルで生成されると考えられています。そんな地下深くで生成された金がどのようにして地表に金鉱床として現れるのかについて、ミシガン大学の研究チームが調査を行いました。
Mantle oxidation by sulfur drives the formation of giant gold deposits in subduction zones | PNAS
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2404731121
Study identifies how gold reaches Earth’s surface | University of Michigan News
https://news.umich.edu/study-identifies-how-gold-reaches-earths-surface/
これまでの研究で、環太平洋火山帯周辺の火山に関連する金鉱床は、地球のマントルに由来し、マグマによって地表に運ばれることや、沈み込み帯に位置する環境の鉱物に非常に高い濃度の金が存在することが分かっています。
沈み込み帯とは、地球上の2枚のプレート同士がぶつかって、下の方にあるプレートがマントルに滑り落ちていく場所を指します。沈み込み帯の付近では、マントルがマグマとして地表に上昇することで火山を形成します。
しかし、運ばれた金が地表にどのように現れるのかについては明らかにされていませんでした。そこで、ミシガン大学のアダム・サイモン教授らは、数値モデリングを用いて地球のマントルから地表に上昇するマグマに金が濃縮される具体的な条件を調査しました。
その結果、基本的に金はマントル内で不活性で、そこにとどまる傾向があるものの、三硫黄イオンと結合して金-三硫黄錯体を形成すると移動性が高まることが判明。金-三硫黄錯体はマントルからマグマに移って地球の表面に運ばれ、冷え固まって最終的に金鉱床になることがわかりました
サイモン氏は「ニュージーランドやインドネシア、フィリピン、日本、ロシア、アラスカなど、太平洋を囲むこれらの国や地域には数多くの活火山が存在しています。これらの活火山はすべて、沈み込み帯の環境上で形成されています。こうした活火山が噴火するプロセスと、金鉱床が形成されるプロセスはほぼ同じです」と述べました。
また、サイモン氏は「今回の調査結果は、特定の沈み込み帯が非常に金に富んだ鉱床を生成する要因について、非常に明確な答えを示しました。今回の研究の結果を既存の研究と組み合わせることで、最終的に金鉱床がどのように形成され、地中探査にプラスの影響を与えることができるかどうかについての理解が深まります」と語っています。
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