Blueskyが論文影響力可視化サービス「Altmetric」の指標に採用される
科学研究論文のオンライン上での影響力がどれぐらいなのかを示す指標「オルトメトリクス(Altmetrics)」の測定サービスである「Alemetric」が、測定対象にSNS「Bluesky」を追加したことを発表しました。Blueskyに投稿されている研究関連のやりとりを体系的に把握・分析するプラットフォームはAltmetricが初だとのことです。
Altmetric introduces Bluesky as a new social media tracking source - Altmetric
https://www.altmetric.com/altmetric-news/altmetric-introduces-bluesky-as-a-new-social-media-tracking-source/
Altmetric Is Now Tracking Bluesky Mentions! - Bluesky
https://bsky.social/about/blog/12-03-2024-altmetric
Altmetric adds Bluesky social media as a research attention source - Digital Science
https://www.digital-science.com/news/altmetric-adds-bluesky-social-media-as-a-research-attention-source/
Bluesky in Altmetric - YouTube
「発表された論文がどれぐらいの影響力をもたらしたのか」を測る方法は複数あって、最も手堅い方法としては「被引用数を調べる」という方法があります。
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また、学術誌の影響力の大小を示す指標として、学術誌ごとに掲載された論文の被引用数を平均した「インパクトファクター」があり、研究者の貢献度を示す指標として、書いた論文の本数と被引用数をもとにした「h指数(h-index)」があります。
「オルトメトリクス」は、論文の影響力を「他の論文にどれぐらい引用されたか」ではなく、ネット上での閲覧数や言及数などで測定した指標です。測定を行うツールやプラットフォームは複数あり、その中の1つが「Altmetric」です。
AltmetricはこれまでWikipediaやX、Reddit、Facebookを測定対象としてきました。
そこに、新たにBlueskyが加わることになります。
スコアはXと同じように「オリジナル投稿に1ポイント、再投稿は0.85ポイント」でカウントされ、再投稿が200回行われるとスコア上限が設定されます。
アカウントの投稿頻度や、特定の学術誌についてのみ投稿していないかどうかという点も考慮されるとのこと。
Altmetricによると、2024年10月25日時点でBlueskyには論文への言及を含む投稿が39万5000件あったとのことです。
実際にAltmetricのデータが見られる事例は以下。
Life history in Caenorhabditis elegans: from molecular genetics to evolutionary ecology | Genetics | Oxford Academic
https://academic.oup.com/genetics/article/228/3/iyae151/7826457
ページ右側にCITATION(引用数)、VIEWS(閲覧数)と並んでAltmetricのスコアが示されています。
Alemetricのアイコンをクリックすると、オルトメトリクスが表示され、XとBlueskyで言及されていることが示されています。
Altmetric – Life history in Caenorhabditis elegans: from molecular genetics to evolutionary ecology
https://oxfordjournals.altmetric.com/details/169499659
Blueskyのユーザー数は2024年11月時点で2000万人を突破しています。
ついにBlueskyのユーザー数が2000万人を突破、2000万人記念アップデートもあり - GIGAZINE
また、多くの科学者がXからBlueskyに移住していることが明らかになっており、調べによると、研究者の22%以上が他のSNSよりもBlueskyを支持しているとのこと。
大量の科学者がX(旧Twitter)からBlueskyに移住している - GIGAZINE
研究者が多く集っているのであれば、Blueskyでは科学論文に関連した言及の割合がXより高くなることが考えられ、新たな洞察が得られると期待されています。
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