電子たばこ(VAPE)は何が危険なのか?
電子たばこ(VAPE)に関する研究によって、人体へ与える害が明らかになりつつあります。教育系YouTubeチャンネルのKurzgesagtは電子たばこの仕組みについて解説しつつ悪影響をまとめています。
Vaping Is Too Good To Be True - YouTube
電子たばこは味の付いたリキッドをコイルで熱してエアロゾル状にして吸引できる機器です。リキッドにはニコチン入りのものも存在し、味はフルーツ系からたばこ風のものまで多様な種類が出回っています。
電子たばこを吸うと、リキッドに含まれる成分が肺に届き、肺胞から血中へと取り込まれます。
血中に取り込まれた成分は脳にも到達します。これにより、ニコチンの満足感などを得られるというわけです。
リキッドには食品基準を満たした成分が使われることが多いですが、食品基準はあくまで飲食した場合の安全の目安として使われるものであり、電子たばこのような「加熱して吸って肺に届ける」という用法は想定していません。このため、食品基準に合致していても電子たばことして吸引すると危険な成分も数多く存在しています。
例えば、シナモンオイルに含まれるシンナムアルデヒドを吸引すると遺伝子損傷を引き起こすことが報告されているほか、リンゴなどの芳香成分であるベンズアルデヒドを吸い込むと気道の炎症を引き起こすことが知られています。
また、電子たばこの蒸気にコイル由来の金属が含まれていることも指摘されています。
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by Electric Tobacconist
さらに、電子たばこのリキッドには複数の物質が含まれており、これらが加熱されることで未知の物質が合成される可能性もあります。
電子たばこと健康の関連を調べた研究では、電子たばこ使用者の「粘液の過剰分泌」「せき」「息切れ」「喉や胸の痛み」「心拍数の上昇」「血中酸素濃度の低下」などのリスクが上昇することが報告されています。ただし、電子たばこは比較的新しい嗜好(しこう)品であるためデータが不足しており、これらの症状と電子たばこを直接関連付けることはできないとのこと。
電子たばこには「ニコチンを簡単に摂取できてしまう」という問題点もあります。紙巻きたばこの場合は肺への負担が多くヘビースモーカーでも1日数十本程度しか吸えませんが、電子たばこは気軽にどこでも吸えるため高濃度ニコチンリキッドを短時間で消費してしまうことも珍しくありません。
このため、紙巻きたばこから電子たばこに切り替えた人も、電子たばこで初めてニコチンに触れる人もニコチン中毒になるリスクが跳ね上がるとのこと。特に脳の発達段階にある10代の若者にとっては大きなリスクとなり得ます。
紙巻きたばこは苦味の強い「大人の味」でしたが、電子たばこのリキッドにはフルーツ系のとっつきやすい味のものもあります。Kurzgesagtは「電子たばこは中毒性の高い物質を風船ガムのような味にすることで、何百万人もの10代の若者にとって魅力的なものにした」と指摘しています。
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