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CPUやGPUのレビューに定評のあった老舗サイト「AnandTech」が27年の歴史に幕


1997年からCPUやGPUなどのハードウェアに関するニュースやレビューを発信してきたニュースサイト・AnandTechが、2024年8月30日をもって更新を停止することを発表しました。サイトの所有者であるFuture PLCによると、AnandTechのこれまでの記事は削除されずに残り、フォーラムの管理は継続されるとのことです。

End of the Road: An AnandTech Farewell
https://www.anandtech.com/show/21542/end-of-the-road-an-anandtech-farewell

AnandTech shuts down after 27 years - The Verge
https://www.theverge.com/2024/8/30/24232171/anandtech-tech-journalism-hardware

AnandTech, mainstay of computer hardware reviews, closes after 27 years | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2024/08/anandtech-mainstay-of-computer-hardware-reviews-closes-after-27-years/

AnandTechの編集長であるライアン・スミス氏は最後の更新となる記事の中で、「良くも悪くも、私たちの長い旅の終わりに到達しました。それはAMDのプロセッサのレビューから始まり、AMDのプロセッサのレビューで終わりました。詩的な表現としては十分ですが、これはまた、私たちがこれまでの27年間にわたって、コンピューティング業界の生命線であるチップを取り上げながら大好きなことをしてきた証でもあります」と述べています。


スミス氏はサイトが閉鎖される正確な理由については述べていませんが、「親会社であるFuture PLCによる財政上の決定」であることを示唆しています。

AnandTechは1997年にアナンド・ラル・シンピ氏によって設立されたサイトです。シンピ氏は「自分はそんなに知識を持ち合わせていない」と述べていましたが、Armプロセッサへの豊富な知識と確かなレビューには定評があり、AnandTechはハードウェア系のレビューサイトとして高い評価を受けました。その後、2014年にシンピ氏はライターを辞めてAppleに就職し、Appleシリコン・Mシリーズの開発メンバーになっています。


シンピ氏はライターを辞める前に「オンラインメディアが質の高い詳細な分析からセンセーショナリズムやクリックベイトへと移行し、『インターネットのケーブルテレビ化』が進んでいる」と批判しました。スミス氏は、AnandTechはこの「インターネットのケーブルテレビ化」にあらがおうとしてきたと語っています。

IT系ニュースサイトのArs Technicaの創設者兼編集長であるケン・フィッシャー氏は、AnandTech創設時の90年代と今ではメディアを取り囲む状況が大きく変わったと指摘。「原因が何であれ、Googleはもはやかつてのようなトラフィックを送りませんし、読者文化も変わりました。詳細な解説や長文のレビューは制作コストがかかりますが、その結果、読者は減少の一途をたどっています。Google AI Overviewsはコンテンツを『有用に』要約してくれますが、その見返りはさらに少なくなります」と述べました。

また、AnandTechが得意としていたチップの詳細なレビューが行われる場はウェブサイトからYouTubeに移行しており、多くのYouTuberがAnandTechから影響を受け、丁寧で綿密なレビューを大量にアップロードしています。スミス氏は、「テクノロジージャーナリズムの執筆市場はかつての姿ではなく、今後も決して同じにはならないでしょう。AnandTechはその仕事を終え、時代の流れの中でその地位を次世代のテクノロジージャーナリストに譲る時が来たのです」と述べています。


スミス氏によれば、AnandTechのスタッフの一部はFuture PLC傘下の技術系ニュースサイト・Tom's Hardwareの編集部に移籍するとのこと。また、Future PLCはAnandTechのウェブサイトとこれまで投稿された記事を無期限に維持され、AnandTech上に設置されているフォーラムも引き続き運営されます。

スミス氏は「今、世の中に存在するテクノロジージャーナリストの皆さん、あるいはこれからテクノロジージャーナリストになる皆さんには、自分自身と読者のニーズに忠実であり続けるようお願いします。綿密な報道は、他の手段ほどセクシーでエキサイティングなものではありませんが、これまで以上にセンセーショナリズムやシニシズムに対抗するために、今こそ思慮深い結論を裏付けるための質の高い報道とテストが必要なのです」と語りました。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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