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WHOがエムポックス(旧サル痘)で緊急事態宣言、アフリカでの急激な流行拡大で


アフリカに渡航した欧米人の間におけるエムポックス(当時サル痘と呼称)の流行が問題となった2022年のアウトブレイクから約2年後の2024年8月14日に、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長が、コンゴを中心とするアフリカでのエムポックス流行を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」と宣言しました。

WHO Director-General declares mpox outbreak a public health emergency of international concern
https://www.who.int/news/item/14-08-2024-who-director-general-declares-mpox-outbreak-a-public-health-emergency-of-international-concern

BREAKING: WHO declares mpox outbreak in Africa an international emergency | Live Science
https://www.livescience.com/health/viruses-infections-disease/breaking-who-declares-mpox-outbreak-in-africa-an-international-emergency

Mpox cases are soaring in Africa – what must be done to prevent a global pandemic
https://theconversation.com/mpox-cases-are-soaring-in-africa-what-must-be-done-to-prevent-a-global-pandemic-236609


WHOは8月14日の早朝に、国際保健規則(IHR)に基づく緊急委員会を招集し、WHOとエムポックスの感染国の専門家が提出したデータを検討しました。そして、緊急委員会はエムポックスがアフリカ諸国で増加しており、場合によってはアフリカ大陸外にも及ぶおそれがあることから、エムポックスの急拡大はPHEICに該当するとの提言を行いました。

この提言に基づき、WHOはエムポックスの流行をPHEICに指定しました。宣言にあたり、テドロス事務局長は「新しいエムポックスの系統の出現と、コンゴ東部での急速な感染拡大、近隣の数カ国での症例報告の発生は非常に憂慮すべき事態です。これらの流行を食い止めて人命を救う上で、国際的に協調した対応が必要なことは明らかです」と述べました。

15人のメンバーで構成される緊急委員会のディミエ・オゴイナ委員長によると、コンゴではエムポックスの感染報告が過去最多となっており、目下の流行が異常事態であるという見解の採用は全会一致だったとのことです。

by NIAID

エムポックスでPHEICが宣言されるのはこれが2回目です。エムポックスは1970年にコンゴで初めてヒトへの感染が報告されましたが、当時はアフリカ中西部の国々に特有の病気だと考えられてきました。しかし、2022年7月に入り、主に男性の同性愛者の性的接触を介してこれまで感染が確認されてこなかった複数の国で急速に広がったため、WHOはPHEICを宣言しました。この時のPHEICは、症例数が減少したことを受けて2023年5月に終息が宣言されました。

しかし、コンゴを中心とした地域では2023年を通じて着実に症例数が増加しており、2024年中には症例数が1万5600件を超えて既に前年を上回っています。なお、そのうち死者数は537人とのこと。


WHOがPHEICを宣言する主な要因となったのは、症例数の増加に加えて、新たな系統が出現したためです。エムポックスには致死率が3~4%と比較的高い「系統群(クレード)1」と、致死率が0.1%と低い「クレード2」という2つの系統があり、これまでのところクレード1はエムポックスが定期的に流行している国以外では検出されていません。つまり、2022年に欧米での感染拡大が確認されたのはクレード2でした。

これまで、エムポックスの各系統にはほとんど変化がありませんでしたが、2024年に入り重症化や死亡のリスクが高いクレード1に「クレード1a」と「クレード1b」と呼ばれる分派が出現し、いずれもコンゴで感染が拡大しています。また、7月中旬からはコンゴに隣接するブルンジ、ケニア、ルワンダ、ウガンダの4カ国で、これまで報告されてこなかったクレード1bの感染症例が合計100件以上確認されているほか、クレード2のウイルスもカメルーンやナイジェリア、南アフリカなどの国々で広がっています。

WHOは目下、アメリカではJynneosとして流通しているエムポックスワクチンの「MVA-BN」や、日本製の「LC16 KMB」などのワクチンの確保を進め、検査体制の構築や防疫対策の実施と組み合わせて対応しています。


オゴイナ氏は「エムポックスに対応するには、アフリカだけでなく世界全体での協調的な取り組みが必要です。関係者全員が一丸となって、この問題を防ぐために必要な監視、診断、その他の公衆衛生対策の改善に取り組んでいくべきです」と述べました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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