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人間のアーティストがStability AIやMidjourneyなどの生成AI企業を相手にした著作権侵害訴訟を進めることを裁判所が認める


生成AIのトレーニングデータに人間のアーティストの作品が用いられていることについて、生成AIの開発企業はフェアユースだと主張している一方、アーティスト側は著作権侵害だと非難しています。そんな中、複数人のアーティストがStability AIやMidjourneyなどの生成AI開発企業を相手取って起こした著作権侵害訴訟について、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所が裁判を進めることを認める(PDFファイル)裁定を下しました。

AI companies lose bid to dismiss parts of visual artists' copyright case | Reuters
https://www.reuters.com/legal/litigation/ai-companies-lose-bid-dismiss-parts-visual-artists-copyright-case-2024-08-13/


Artists’ lawsuit against Stability AI and Midjourney gets more punch - The Verge
https://www.theverge.com/2024/8/13/24219520/stability-midjourney-artist-lawsuit-copyright-trademark-claims-approved

Artists celebrate AI copyright infringement case moving forward | VentureBeat
https://venturebeat.com/ai/artists-celebrate-as-copyright-infringement-case-against-ai-image-generators-moves-forward/

多くの画像生成AIは人間のアーティストが制作した作品を含むデータセットでトレーニングされており、その中には著作権で保護されている作品も含まれています。そこで2023年1月、複数のアーティストがStability AIやMidjourney、そして画像投稿サイトのDeviantArtを相手取った集団訴訟を起こしました

被告になった3社のうちDevianArtは自社でAI開発をしているわけではないものの、DevianArtに投稿された画像がAI用データセットの「LAION-5B」にコピーされ、そのままStable Diffusionの学習に使われたとのこと。また、DevianArtはStable Diffusionをベースにした有料アプリ「DreamUp」もリリースしています。

ところが同年の10月、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所のウィリアム・オリック判事は、原告の主張には誤りが多いとして集団訴訟を棄却しました。

画像生成AI「Stable Diffusion」や「Midjourney」に自作品の著作権を侵害されたとするアーティストたちの集団訴訟が裁判所によって棄却される - GIGAZINE


しかし、オリック判事は訴状を修正して再度提出することを認めていたため、原告らは翌11月に再度訴訟を起こしました。なお、訴状の修正に伴って、動画生成AIを開発しているRunway AIも被告に加えられています。

そして2024年8月13日、オリック判事は原告らによる著作権侵害の申し立てが、証拠の開示段階に進むのに十分な主張を備えていると裁定しました。これにより、原告側の弁護士がAI開発企業の内部文書を調査し、生成AIのトレーニングデータセットやメカニズム、内部構造についての詳細な調査を行うことが可能になります。


オリック判事は、「この裁判は、原告がStable Diffusionがかなりの程度まで著作権で保護された作品に基づいて構築されており、製品の動作が必然的にそれらの作品のコピーまたは保護された要素を呼び起こすと主張しているものです。これが原告の主張通り設計によるものなのか、Stability AIの主張通り不具合の結果なのかは、後日検証されることになります」と述べており、原告の主張や被告の抗弁については触れていません。

また、Midjourneyに対しては著作権侵害だけでなく、商標権の侵害についての申し立ても認められています。これはMidjourneyがユーザーに対し、「同じスタイルの作品を生成するために名前を使用できる」と主張したリストに、許可を得ていないアーティストの名前が4700人分含まれていた件についてです。

一方でオリック判事は、原告の主張すべてに妥当性があると裁定したわけではなく、「企業が著作権管理情報を削除・変更してデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に違反した」「DevianArtがAIトレーニング用データセットのためにユーザーの作品をスクレイピングするのを許可したことで利用規約に違反した」といった主張については却下しています。

原告の1人であるケリー・マッカーナン氏はXへの投稿で、「これはAI訴訟に関する非常にエキサイティングなニュースです!裁判官が私たちの著作権の主張を認め、調査でこれらの企業が知られたくないことすべてを知ることが可能になりました。これは私たちにとって大きな勝利です。素晴らしい弁護士のチームと原告の仲間をとても誇りに思います!」とコメントしました。

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in メモ,   ソフトウェア, Posted by log1h_ik

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