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写真を反転した絵で展覧会に入賞した作品をめぐる裁判で二審は写真家勝訴の判決


ルクセンブルク政府主催の展覧会で入賞した作品が、写真を反転してアレンジしたものだったことがわかり、写真家が作品を制作した美術学生を著作権侵害で訴えています。2022年12月の第一審判決は「写真の独創性が不十分だった」として写真家の訴えを退けるものでしたが、2024年5月、著作権侵害を認める判決が第二審で下りました。

RTL Today - Legal blow for Luxembourg painter: Court rules in favour of US photographer in plagiarism lawsuit against Jeff Dieschburg
https://today.rtl.lu/news/luxembourg/a/2193723.html


Luxembourg Copyright Case Against Jeff Dieschburg - Jingna Zhang Fashion, Fine Art & Beauty Photography
https://www.zhangjingna.com/blog/luxembourg-copyright-case-win-against-jeff-dieschburg


この裁判は、写真家の張晶娜氏が自身の作品を盗用したとして、美術学生のジェフ・ディーシュブルク被告を訴えていたもの。被告は「張氏の写真に着想を受けた作品で、一般的なアート」と弁明していました。

第一審で、裁判所は「張氏の写真はポーズに独創性がない」として著作権保護の対象外だと判断。張氏の訴えを退けました。

写真家の撮影した画像を反転した絵が展覧会で入賞、盗作として訴えられるものの勝訴 - GIGAZINE


張氏は「ルクセンブルク内外のアートや写真コミュニティにとって危険な判決」として控訴。

2024年5月、第二審で裁判所は、ディーシュブルグ被告による絵画「トゥーランドット」が、張氏の著作権を侵害するものであると認定しました。

以後、被告は当該絵画を展示することが禁止され、違反した場合、1日あたり1000ユーロ(約16万8000円)、最大10万ユーロ(約1680万円)の罰金が課されます。

張氏はブログとSNSで勝利を報告し、「この判決は、私だけでなく、世界中のアーティストや写真家にとって大きな意味があります」と述べました。

なお、2022年に主張を退けられて控訴してからこの第二審判決までの2年間、張氏は性別、人種、職業をもとに、いろいろな嫌がらせを受けてきたことを明らかにしています。以下はその一例で、「中国人が著作権侵害に文句を言っている」や「中国はみんなから盗んでいる。恩返しの時が来たんだろう」のように、人種差別的な書き込みが行われています。


さらには、裁判所の文書をスキャンして公開した人物がいたため自宅が特定され、嫌がらせの末に仕事も失ったそうです。

それでも張氏が折れることなく戦い続けられたのは、「人生で1度は正義をなしたい」という宿願があったからだとのこと。

張氏は「愚かな理想かもしれませんが、人が反撃できないことを知っていて、何をしても許されると信じているいじめっ子たちには、できることなら立ち向かっていくべきだと思うのです」と述べたあと、今回の訴訟を「自分のために戦うことができなかった若いころの私、そして私と同じように、恐ろしく、力強く、不公平に思えることには立ち向かえないと思った人のためのこと」と表現しました。

そして、「ようやく自分の人生を取り戻せるようになったという事実を、まだ整理できていません。少しずつでも、創作し共有していたころの自分に戻れることを願っています」と述べています。

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in メモ,   アート, Posted by logc_nt

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