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アメリカ下院がTikTok禁止法案を可決、15兆円規模の対外支援策とパッケージ化して迅速な法制化を狙う


アメリカの下院が2024年4月20日に、ウクライナ、イスラエル、台湾への支援策と、「事実上のTikTok禁止法」とも呼ばれる規制法案を含む4つの法案を盛り込んだ包括法案を可決しました。法案は23日にも上院を通過し、速やかに大統領によって署名される見込みで、機動的な対応を歓迎する声が上がっている一方、拙速な審議に対する懸念の声も上がっています。

House passes Ukraine, Israel, Taiwan aid, potential TikTok ban
https://www.cnbc.com/2024/04/20/house-passes-ukraine-israel-taiwan-aid-potential-tiktok-ban-.html

US House passes $95 billion Ukraine, Israel aid package, sends to Senate | Reuters
https://www.reuters.com/world/us/us-house-vote-long-awaited-95-billion-ukraine-israel-aid-package-2024-04-20/

House approves aid bills for Ukraine, Israel and Taiwan - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/house-vote-aid-bill-ukraine-israel-taiwan/

TikTok ‘ban’ passes in the House again - The Verge
https://www.theverge.com/2024/4/20/24135163/tiktok-ban-divest-bytedance-house-foreign-aid-package


アメリカの下院は4月20日に、人気SNS「TikTok」を運営する中国企業・ByteDanceに対してアメリカのTikTok事業を売却することを求める法案を含む、950億ドル(約14兆7000億円)規模の包括法案を可決しました。

この法案パッケージは、3つの対外支援策と1つの規制法案の合計4つで構成されています。このうち1つ目は、対ロシア戦争でウクライナを支援するための608億ドル(約9兆4000億円)の支援策で、311対112の賛成多数で可決されました。


2つ目は、264億ドル(約4兆800億円)のイスラエル支援およびガザ地区への人道支援法案で、366対58で可決されました。3つ目は、台湾を含むインド太平洋の同盟国に対する81億ドル(約1兆2500億円)の支援法案で385対34で可決されました。

そして4つ目はロシア・中国・イランへの制裁強化を認める内容で360対58で可決されました。法案の中には、ByteDanceにTikTokの売却を指示し、従わない場合はアメリカでTikTokを禁止とするものも含まれています。


上院のトップであるチャック・シューマー院内総務は、法案が下院で可決された後の声明で、23日に上院で法案の採決を行う方針で与野党の合意が固まったと述べました。

また、ジョー・バイデン大統領は声明で、法案の可決を主導したマイク・ジョンソン下院議長らに対する謝意を述べた上で、「私は上院に対し、このパッケージを速やかに私のデスクに送り、成立に向けて署名させるよう強く要請します」と述べており、TikTok規制法案が上院を通過すれば速やかに成立する可能性が高いと見込まれています。

4法案のうち特に紛糾したのがウクライナ支援法案で、賛成311票に対し反対は112票でしたが、とりわけ「共和党議員112人が反対票を投じ、賛成したのは101人にとどまった点は重要」と指摘されています。また、採決中に法案の可決が確定しつつあることが明らかになると、数人の議員が小さなウクライナ国旗を振って、ジョンソン議長が「礼儀違反です」と注意する一幕もあったとのこと。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はX(旧Twitter)への投稿で、「歴史を正しい方向に導く決断をしてくれた合衆国下院、両党、そしてジョンソン議長個人に感謝しています」「法案が上院でも支持され、バイデン大統領のデスクに送られることを望みます。ありがとう、アメリカ」と述べました。


一方、規制法案が着実に成立に向かっていることを受けて、TikTokの広報担当者は、「重要な対外・人道支援という隠れみのを利用して、アメリカの下院が再びTikTok禁止法案を強行採決しようとしているのは残念なことです」と述べました。

採決に臨んだ議員からも、激変する国際情勢に対応するための緊急支援策と、言論の自由に対する影響が懸念される規制法案が同時に審議されることに対する批判が出ています。

以前、TikTok禁止法が単独で採決された際に反対票を投じたホアキン・カストロ下院議員は、「イスラエル政府がいかにアメリカ製兵器を使用して人々を無差別に殺害し、飢餓を強制してきたかを私たちは見てきましたが、それはTikTokやInstagram、Facebookなどのテクノロジーのおかげでした」と述べて、国民の世界情勢への理解に対するSNSの役割を示唆しました。

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in ネットサービス, Posted by log1l_ks

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