地球儀を使って「地球上のどこでGPSが妨害されているか」が一目でわかるウェブサイト「GPSJam」
「GPSを使ってマップを確認する」「GPSを使って付近の情報を調べる」など、近年ではGPSを用いた位置情報サービスが多用されています。しかし、地球上の一部地域では、紛争やその他の要因からGPSがジャミングされているような場所も存在します。そんなGPSが妨害されている地域を地球儀を用いて一目で確認できるサイトが「GPSJam」です。
GPSJAM GPS/GNSS Interference Map
https://gpsjam.org/
GPSJAM FAQ
https://gpsjam.org/faq/
GPSJamのサイトにアクセスするとこんな感じ。地球儀上の緑色の六角形は、そのエリアを飛行した全ての航空機の98%以上が「GPSを用いたナビゲーション精度が良好」と報告した地域で、黄色は2~10%の航空機が「ナビゲーション精度が低い」と報告した地域。赤色の六角形は10%以上の航空機が「ナビゲーション精度が低い」と報告した地域であることを示しています。
マップはスクロールで拡大または縮小、ドラッグでマップを動かすことが可能です。
左上の日付をクリックすることで、過去のデータを確認することも可能です。
「More」をクリックすると特定の地名の検索や、メルカトル図法などの地図投影法の選択が可能です。
マップを確認するとベラルーシやエストニア、ラトビアなどのロシアに近い地域では、GPSが広く妨害されていることがわかります。
また、トルコやジョージアなどの黒海周辺の地域にも赤色の範囲が広がっています。
ガザ地区など、紛争が続く中東のシリアでもGPSの妨害が確認されています。
なお、記事作成時点で日本周辺ではGPSの妨害が確認されていません。
GPSJamを開発したエンジニアのジョン・ワイズマン氏によると、GPSJamで妨害の有無を推測する手がかりに、世界中を飛び回る航空機が発信するADS–B信号を用いているとのこと。ADS-B信号とは、航空機自身が安全や効率のために自機の識別番号や位置、速度などを規格に沿って放送するもので、誰でもこの信号を受信することが可能です。
さらにADS-Bには測位結果の信頼性や精度を示す「インテグリティ」と呼ばれる項目も盛り込まれており、GPSJamではこれをGPS妨害を推測する指標としています。ADS-Bを搭載したほとんどの航空機はGPSを使用していますが、紛争地帯では軍用システムによるGPSの妨害でGPS精度が低下する傾向にあるとのこと。その他に、アメリカ南西部では軍事妨害システムのテストが行われたり、ロシアの大富裕層であるオリガルヒを無人機による攻撃から守るための防衛システムが作動したりという要因で航法精度が低下する可能性があります。
なお、ワイズマン氏は「戦闘が激しく行われている地域や、データの供給元であるADS-B Exchangeに対してデータを送信することができる航空機が存在しないなどの理由から、ウクライナやシリアの一部地域では緑や黄色、赤の表示がありません」と述べています。
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