メモ

警察へのスマホのパスコード開示は拒否できると州最高裁が判決を下す、パスコードに関する司法の見方が完全に混乱していて連邦最高裁に持ち越されるとの指摘も


警察へのパスコード提供を拒否できるかどうかを問うた裁判で、ユタ州最高裁判所が全会一致で拒否可能との判決を下しました。

Suspects can refuse to provide phone passcodes to police, court rules | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2023/12/suspects-can-refuse-to-provide-phone-passcodes-to-police-court-rules/

この判決は、元恋人を誘拐し暴行を加えた容疑で逮捕されたアルフォンソ・バルデスに関する審理の中で行われたものでした。


この事件を担当した警察官はバルデスのスマートフォンの中身を見るために捜索令状を取りましたが、パスコードを解読できず、ロックを解除するようバルデスに要求しました。しかしバルデスが拒否したため、検察は「ロック解除を拒否したこと」そのものがバルデスの抗弁の信ぴょう性を損なうものだと主張。結果的に陪審はバルデスに有罪判決を下しました。

これに対し控訴裁判所は「バルデスには合衆国憲法修正第5条のもとでパスコードの提供を拒否する権利がある。検察は拒否したことをバルデスに不利になるように利用し、その権利を侵害した」とのバルデスの主張に同意し、有罪判決を破棄。その後ユタ州最高裁判所も控訴裁判所の判決を支持しました。


修正第5条は審理についての法で、被疑者はいかなる刑事事件においても自分に不利な証人となることを強制されることはなく、正当な法の手続によらずに、生命、自由、または財産を奪われることはないと定められています。

今回警察は令状に基づいてスマートフォンを押収しましたが、スマートフォンのパスコードを聞き出すという行為に関しては、慣例に従い口頭での証言を求めました。しかし、前述の通り被疑者は自分に不利な証言をしなくてもよいと定められているため、証言しなかったことを追及した警察・検察の言い分は間違っているのではないかというのがバルデス側の主張です。


この裁判においては、パスコードを警察に伝えることと、ロック解除された携帯電話を物理的に警察に提供することには違いがあるという点が混乱を招きました。最高裁判事は「この2つの行為は機能的には同等かもしれないが、現在の憲法修正第5条の法理では、この2点が同等であると明確に定められてはいない」と述べ、今回は、警察が実行した「パスコードを聞き出す」という行為について、裁判所が正式な判決を下したものだと説明しました。

バークレー大学法学部のオリン・カー教授は「類似事件において下級審の判例法は完全に混乱していて、他の州の最高裁では違った判決が出ています。この事件は連邦最高裁に持ち込まれる可能性があるでしょう。修正第5条の特権がスマートフォンのロック解除にどう適用されるかが、争点となるでしょう」と指摘しました。

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in Posted by log1p_kr

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