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天然ダイヤと同成分の人工物「ラボグロウンダイヤモンド」がダイヤモンド市場で大きな存在感


天然ダイヤモンドと同じ成分で構成される、不純物を含まない美しい人工ダイヤモンドが「ラボグロウンダイヤモンド」です。このラボグロウンダイヤモンドが人気を博しており、宝石業界に新風を巻き起こしています。

The Big Survey 2023: Lab-Grown Diamonds
https://instoremag.com/the-big-survey-2023-lab-grown-diamonds/


Lab-grown diamonds drive cost of all diamonds down
https://www.axios.com/2023/12/24/diamonds-lab-grown-natural-price-cartier-dousset

アメリカ宝石学会(GIA)によると、ラボグロウンダイヤモンドは天然ダイヤモンドと同じ化学的および物理的特性を持ったものです。2018年には連邦取引委員会(FTC)が「ラボグロウンダイヤモンドはダイヤモンドである」と認定しており、2019年にはGIAがラボグロウンダイヤモンドに「合成」という単語を使うことを止めています

業界アナリストのポール・ジムニスキー氏によると、2021年の天然ダイヤモンドの記録的な需要と供給不足により、2022年に天然ダイヤモンドの価格高騰が起きたそうです。これにより、天然ダイヤモンドよりも安価に購入可能なラボグロウンダイヤモンドの需要が大きく伸びた模様。天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドの1カラット当たりの平均価格の推移を示したのが以下の折れ線グラフで、ラボグロウンダイヤモンド(紫色の線)が天然ダイヤモンド(水色の線)よりも安価であることがわかります。


宝石関連情報を取り扱うINSTOREがアメリカの独立系宝石商を対象に実施した最新調査によると、「ラボグロウンダイヤモンドを販売している」(オレンジ色)宝石商の割合は63%(前年比で5%増)で、宝石商の中でもラボグロウンダイヤモンドの取り扱いが増えていることがわかります。この他、「リクエストに応じて販売している」(水色)と回答した宝石商が27%(前年比6%減)、「ラボグロウンダイヤモンドを販売しておらずリクエストがあっても取り扱う予定はない」(ピンク色)と回答した宝石商が10%(前年比で1%増)です。


「あなたが販売するラボグロウンダイヤモンドの平均粗利益率はいくらですか?」という質問に対する回答では、最低が「10%」で、最高が「250%」とかなりの幅があったそうですが、平均粗利益率は「75.6%」だったそうです。ただし、最も一般的な回答は「50%」で、回答した宝石商の10人に4人が「50%」と回答した模様。なお、業界アナリストのエダーン・ゴラン氏が設立したコンサルティング企業であるTenorisのデータによると、アメリカの独立系宝石商の2022年の天然ダイヤモンド指輪の粗利益率は平均48.6%だったそうで、天然ダイヤモンドよりもラボグロウンダイヤモンドの方が高い粗利益率をたたき出していることがわかります。

「あなたが販売する婚約指輪のうち、ラボグロウンダイヤモンドが使用されているものの割合はどの程度ですか?」という質問に対する回答がまとめられているのが以下の画像。最も多いのが「60%以上」(24%)です。


一方で、「ラボグロウンダイヤモンドは下取りの対象になりますか?」という質問では、「はい、天然ダイヤモンドと同じように下取りの対象となります」と回答したのがわずか「8%」、「はい、ただし天然ダイヤモンドよりも安価での下取りになります」と回答したのが「11%」で、天然ダイヤモンドと同じようにラボグロウンダイヤモンドの下取りに対応していると回答した宝石商はわずか「19%」でした。一方で、「いいえ、ただし天然ダイヤモンドの下取りは行っています」と回答したのが「50%」、「いいえ、ダイヤモンドの下取りは人工・天然問わず行っていません」と回答したのが「17%」、該当なしで回答がなかったのが「14%」です。

「天然ダイヤモンドと比べて毎月何個のラボグロウンダイヤモンドを販売していますか?」という質問では、「0」と回答したのが「13%」、「10分の1未満」と回答したのが「24%」、「約10分の1」と回答したのが「11%」、「約5分の1」と回答したのが「11%」、「約4分の1」と回答したのが「6%」、「約3分の1」と回答したのが「9%」、「(天然ダイヤモンドと)同じくらい」と回答したのが「9%」、「天然ダイヤモンドよりもラボグロウンダイヤモンドを多く販売している」と回答したのが「17%」です。

「ラボグロウンダイヤモンドの価格が下落してから、顧客からの反応があったか?」という質問では、「はい」と回答したのが「6%」、「時々」と回答したのが「13%」、「いいえ」と回答したのが「81%」でした。


ラボグロウンダイヤモンドの価格が下落したことで、顧客から反応があったと回答している宝石商は記事作成時点ではそれほど多くありません。まだそれほど多くの顧客がラボグロウンダイヤモンドの価格下落に激怒していない理由は、ラボグロウンダイヤモンドがまだ比較的新しい商品であるためとINSTOREは推測しています。

INSTOREの調査に回答した宝石商のひとりは、「まだラボグロウンダイヤモンドの価格下落に対する反応はそれほど見られませんが、初めての結婚生活が破綻し始めるであろう今後5年以内に、ラボグロウンダイヤモンドに対する顧客からの不満(購入時よりも価格が明らかに低下しているなどの不満)が噴出するようになるだろうと予想しています」と語ったそうです。


宝石商の中にはラボグロウンダイヤモンドの購入者に対して「価格が下落しておりいつ底値に達するかわからない」と必ず伝えているという人もいれば、「ダイヤモンドの指輪は、将来に対する金銭的な投資ではなく、愛への投資です」と顧客に力説する人もいるそうです。また、別の宝石商は「購入時にラボグロウンダイヤモンドの価値が低下する可能性について伝えていたにもかかわらず、価値が下がったことに不満を抱く購入者もいる」と語りました。

なお、宝石商の中にはラボグロウンダイヤモンドについて、「我々は顧客に対する透明性を保つため、『消費電力と規制の欠如を考慮すると、ラボグロウンダイヤモンドは天然のダイヤモンドよりも倫理的ではない』と伝えています。また、ラボグロウンダイヤモンドが本質的には価値を持っていない可能性が高いことも明確に伝えています。『あるコンピューターを24カ月ローンで購入した場合、ローンを完済する頃にはコンピューターが購入費用よりも安くなっている可能性が高い』ことと同じように、ラボグロウンダイヤモンドの価格も低下している可能性があると説明しています。我々はお客様を十分に教育し、お客様が最善の決断をできるようにすることを信条としています」と語る人もいるそうです。


フランスの高級宝飾ブランドであるカルティエの創業者ルイ・フランソワ・カルティエの玄孫であるジャン・ドゥセ氏は、ラボグロウンダイヤモンドの将来性に注目している業界人のひとりです。同氏はハリウッドにオーダーメイドのラボグロウンダイヤモンドのショールームをオープンしており、「ダイヤモンド業界は存亡の危機を迎えています」「何百年もかけて確立したやり方を、テクノロジーと人間の想像力によって(生み出されたラボグロウンダイヤモンドが)自然かつ完璧に再現しています」と言及し、ラボグロウンダイヤモンドの登場がダイヤモンド業界に新たな風を吹き込んだと説明しています。

海外メディアのAxiosによると、婚約指輪を購入するミレニアル世代の女性の中でラボグロウンダイヤモンドを求める人が増えているそうで、その理由の大部分は「天然ダイヤモンドよりも安価に購入できるから」であるとジムニスキー氏は指摘しました。

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in メモ, Posted by logu_ii

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