本気を出して研究者が作ったシャボン玉は465日間も割れないまま
泡沫(うたかた)という言葉で表現されるように、短時間ではかなく消えてしまうのが泡というもの。そんな泡をフランスの物理学者が465日間も存続させることに成功し、その成果を「永遠の泡」と題する論文で発表しました。
Phys. Rev. Fluids 7, L011601 (2022) - Everlasting bubbles and liquid films resisting drainage, evaporation, and nuclei-induced bursting
https://doi.org/10.1103/PhysRevFluids.7.L011601
Physics - Record Lifetime for a Bubble
https://physics.aps.org/articles/v15/s7
Physicists have created “everlasting bubbles” | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2022/01/physicists-have-created-everlasting-bubbles/
石けんのような界面活性の高い物質が水に溶けると、表面張力が弱まって泡ができやすくなります。通常この泡は時間の経過とともに水分が蒸発し、数分以内に破裂してしまいます。
2017年、フランスの物理学者であるYousra Timounay氏が、泡にプラスチックの微粒子を混ぜることで強度を大幅に上げることに成功します。ガス・マーブルと呼ばれるこの泡は材料工学の分野で注目を集めましたが、その泡がどれほど持続するのかを調べた人は現れませんでした。そこで、フランスのリール大学に所属する物理学者・Aymeric Roux氏らがガス・マーブルの持続性についての研究を開始しました。
Roux氏らは洗剤を使ったシャボン玉と、水を使ったガス・マーブル、強度を増すために水とグリセリンを使ったガス・マーブルの3つを用意し、それぞれが破裂するまでにどれくらい時間がかかるのかを計測。通常のシャボン玉は1分ほどで破裂したものの、水を使ったガス・マーブルは約9分、水とグリセリンを使ったガス・マーブルは約7日ほど持続させることに成功します。
水分子と強く結び付くグリセリンは水分の蒸発を防ぐとのことで、Roux氏らはグリセリンの最適な比率を模索。最終的に5週間から最長465日と、非常に長い間泡を持続させることに成功しました。
このほか、Roux氏らは泡をピラミッド型に成型することにも成功しており、このピラミッド型の泡は378日以上持続しているとのことです。
・関連記事
宇宙は無数の小さな「時空の泡」でできているのかもしれない - GIGAZINE
ザトウクジラが「泡の柱」を作って漁をするムービーが撮影される - GIGAZINE
空気の泡に覆われた鉄球が水に沈むと水の抵抗が激減することを科学者が実証 - GIGAZINE
・関連コンテンツ