テスラ車の一時停止標識無視により発生した交通事故で対向車のドライバーが死亡、自動運転システムは動作

アメリカのニュージャージー州で、テスラの「Full Self-Driving(FSD)」搭載車・モデル3が一時停止標識を無視して交差点に進入したことで、左折しようとしていた車に衝突し、相手のドライバーを死亡させる事故が2025年7月に発生しました。テスラのデータを調査した結果、事故の際に運転支援システムが作動していたことが確認されています。
A Tesla ran a stop sign and killed a man, record confirms Full Self-Driving/Autopilot was on | Electrek
https://electrek.co/2026/09/07/tesla-driver-assist-stop-sign-buena-vista/

2025年7月6日の午後6時57分頃、ニュージャージー州アトランティック郡にあるブエナビスタ・タウンシップの交差点で、テスラ・モデル3が一時停止標識で停止せず、左折しようとしていたホンダ・シビックに衝突する事故が発生しました。モデル3の運転手と乗客3名は負傷し中程度の怪我で病院に搬送されるにとどまりましたが、シビックを運転していた82歳のスティーブン・フィールド氏が死亡しました。
警察はモデル3を停車義務を怠った車として報告しており、地元メディアの報道でもテスラ車が一時停止標識を無視したと報じられた一方で、オートパイロットやFSD、その他の運転支援システムについては触れられておらず、一般にはごく普通の人為的ミスによる事故と認識されていました。しかし、電気自動車や持続可能エネルギーに特化したニュースサイト・Electrekがテスラのデータを照合した結果、事故はFSDのオートパイロットが作動中に発生したことが判明しています。
アメリカ道路交通安全局(NHTSA)の一般命令に基づき、自動車メーカーは、レベル2の運転支援システムが衝突前30秒以内に作動していた事故を報告することが義務付けられています。レベル2とは特定条件下の自動運転機能を指し、車両が加速・原則やハンドル操作を支援する一方、運転車が常に運転を監視し必要に応じて介入する必要がある支援システムを指します。以下は国土交通省による自動運転のレベル分け資料です。

この報告義務に基づいて、テスラは2025年7月6日の事故について報告書を提出しました。報告書をElectrekが分析したところ、テスラは当該車両を2019年型モデル3と特定し、自動運転機能の作動を確認したことがわかりました。
ただし、事故の状況、ソフトウェアのバージョン、道路がシステムの承認された動作範囲内であったかどうかという、何が起こったかを説明する3つの項目は黒塗りされています。Electrekによると、これらはすべて「機密の企業情報」として黒塗りされており、テスラは報告書の99.9%で同様の処理を施しているそうです。

ソフトウェアのバージョンが伏せられていることで、事故の際に用いられていたのが高速道路の走行向けで標識読み取り機能がない「ベーシックオートパイロット」なのか、市街地走行向けのFSDなのかは断定できません。しかし、一時停止標識を読み取って停止するかどうかを判断するのは市街地走行向けのFSDの機能であり、「一時停止標識を無視して走行した際に運転支援システムが作動していた」と確認された車両は、FSDが作動していた可能性が高いとElectrekは指摘しています。ただし、ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでは「一般停止標識を読み取って動作するのはFSDでありベーシックオートパイロットは反応しないというElectrekの指摘は間違いであり、モデル3のベーシックオートパイロットには『「信号機と一時停止標識の制御』が含まれています」という指摘もあります。
また、別の可能性もElectrekは挙げています。Electrekによると、一時停止標識が多い地域でFSD機能を使用しているドライバーは、アクセルペダルをいつでも踏み込めるようにすることで、自動運転機能によるゆっくりとした停止を嫌い、アクセルを踏んで動作を上書きしようとすることがあるそうです。この習慣がペダルの誤操作を招き、ブレーキを踏むべき場面でアクセルを踏んでしまうという事故が過去にも報告されています。ブエナビスタ・タウンシップの事故がどのようなケースに該当するかは、報告資料の黒塗り部分を見る必要があります。
ただし、報告書では事故発生時のモデル3の走行速度を「4mph(時速約6.4km)」と記録しています。これは誤ってアクセルを踏み込んだというよりは徐行に近く、2022年にFSD機能が停止標識で停止せずに徐行していたことで約5万4000台のリコールを命じられたのに近い挙動と考えられます。
テスラが一時停止で止まらない不具合で5万台以上をリコール - GIGAZINE

Electrekは「テスラは、レベル2の運転支援システムをまるで自動運転であるかのように宣伝していますが、これは依然として『運転支援』に過ぎません。この技術は『Full Self-Driving』という名前が示すようなものではなく、そのギャップが油断を生み出し、死者が出る原因となっているのです。報告書の黒塗りによって事態はさらに悪化しており、テスラはオーナーに車を信頼するように言っていますが、システムが実際にどのように動作するかを示す記録を隠匿しているのです」と問題点を語りました。
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in 乗り物, Posted by log1e_dh
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