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「5.1ch」「7.1ch」「Dolby Atmos」「DTS:X」は何が違う?サラウンド音響の種類と仕組みとは


映画館やテレビ、ゲーム機、サウンドバーなどでは、5.1chや7.1ch、Dolby Atmos、DTSといったさまざまな音響方式が使われています。名前はよく目にするものの、それぞれが何を表していて、どう違うのかは少し分かりにくいところです。サラウンド音響の名称には、スピーカーの数や配置を示すものと、音声の記録方法や立体的な再生方法を示すものがあり、それらが組み合わされて使われています。

Dolby Digital vs DTS: our experts explain the two big surround sound technologies | What Hi-Fi?
https://www.whathifi.com/advice/dts-vs-dolby-digital-whats-the-difference

spatial overview - ARVUS.COM
https://www.arvus.com/spatial-overview.html

Understanding Dolby and DTS surround sound formats
https://www.crutchfield.com/S-NY8YvS8TfHv/learn/learningcenter/home/hometheater_surround.html

一般的なテレビや音楽のステレオ音声は、左右2つのチャンネルで構成されています。これに対してサラウンド音響は、視聴者の前後や左右に複数のスピーカーを置き、音に囲まれているような感覚を作ります。一番リーズナブルな構成が2.1chで、前方左右2本のスピーカーとサブウーファーがセットにしたものです。

5.1chは、前方左・中央・前方右・サラウンド左・サラウンド右の5チャンネルと、低音効果を担当するLFEチャンネルで構成されます。中央のスピーカーから主にセリフを鳴らし、左右の斜め後方に置いたスピーカーから環境音や効果音を再生することで、音の方向を感じやすくなるという仕組みです。なお、「.1」はスピーカーの台数を表しているのではなく、爆発音や地響きなどの低い音を担当するLFEが、通常のチャンネルより狭い周波数帯だけを扱うことを表しています。


7.1chは、5.1chのサラウンドを視聴者の真横に移したうえで、後方用の2チャンネルを追加した構成です。視聴者の横と後ろを別々のスピーカーで担当できるため、後方を横切る音や背後から近づく音を、5.1chより細かく表現できます。ただし、チャンネス数が多ければ必ず良い音になるわけではありません。後方スピーカーを十分に離して置けない部屋では、無理に7.1chを導入するより、5.1chを適切に配置した方が自然に聞こえる場合があります。


5.1chや7.1chでは、基本的に「どの音をどのチャンネルから鳴らすか」が制作時に決められています。このような仕組みは、チャンネルベース音響と呼ばれます。

サラウンド音響の名称が増えたのは音声を圧縮するエンコード方式に加えて、映画館やDVD、Blu-ray、テレビ放送、動画配信、ゲームなど、それぞれの用途に合わせて音響技術が発展したためです。


サンプリングしたデータをそのまま格納する「リニアPCM」というデータ方式は音声を一切圧縮しないため、音質は最高ですが、必然的にデータ量も多くなってしまいます。特に5.1chや7.1chといったマルチチャンネルだと音声データ量が限られたメディアの容量を圧迫し、肝心の映像画質を犠牲にしてしまうこともあり得ます。そこで、サラウンド音響に対応するメディアでは音声データがDolby Digital(AC-3)やDTS(Digital Theater Systems)といった方式で圧縮されています。これにより、映像の品質を犠牲にすることなくメディアに収めることが可能になり、さらに帯域が制限される放送やインターネットでの配信も可能になります。

Dolby DigitalはDVDやテレビ放送で広く使われ、発展版のDolby Digitalプラスは動画配信でも採用されています。Dolby TrueHDは圧縮前の音声を完全に復元できるロスレス方式で、主にBlu-rayなどで使われます。

DTSも同じようにサラウンド音声を圧縮する方式で、DTS-HD Master Audioではロスレス音声を扱えます。DTSはDolby Digitalより高いビットレートを使う傾向がありますが、実際の音質は元の音源やミキシング、再生機器、スピーカーの配置にも左右されます。


そしてDolby AtmosDTS:Xは、高さを含む三次元空間に音を配置する立体音響方式です。従来の方式では音を特定のチャンネルに割り当てますが、これらの方式では一部の音を「オーディオオブジェクト」として扱い、位置や動きを記録できます。つまり、Dolby AtmosやDTS:Xは「音を立体空間にどう配置するかの規格」の規格といえます。

例えばヘリコプターの音を「左のスピーカーから鳴らす」のではなく、「左前方から頭上を通って右後方へ移動する」と指定するとします。再生機器はその情報を読み取り、実際のスピーカー構成に合わせて音を振り分けるというわけ。

2012年に劇場向けとして登場したDolby Atmosは、従来のように音を特定のチャンネルへ固定するのではなく、音を「オーディオオブジェクト」として扱い、三次元空間のどこに置き、どう動かすかを指定できるのが特徴です。再生時にはAtmos対応機器が実際のスピーカー数や配置に合わせて音を振り分けるため、同じミックスを規模や構成の異なる映画館やホームシアターでも制作者の意図に近い形で再現できます。家庭では5.1.2chや7.1.4chといった構成が使われ、最後の数字が天井や上向きスピーカーなど高さ方向のチャンネル数を表します。


2015年にホームシアター向け規格として登場したDTS:Xも基本的な考え方は同じですが、当初からホームシアター向け規格だったこともあり、比較的自由なスピーカー配置に対応することを特徴としています。DTS:XはオープンプラットフォームであるMDA(Multi-Dimensional Audio、多次元音響)をベースとしているので、DTS:Xに対応したコンポーネントを開発しやすく、サウンドエンジニアが特定のスピーカー配置に音をマッピングする必要がないという利点があります。

つまり、Dolby Atmosは劇場での一貫した再現性を重視して発展したのに対し、DTS:Xは当初から柔軟なスピーカー配置を強く打ち出したフォーマットであるといえます。

家庭向けではDolby Atmosが動画配信やテレビ、ゲーム、サウンドバーまで幅広く採用され、DTS:Xは主にBlu-rayやUltra HD Blu-rayで利用されています。


さらに、映画館、家庭、スマートフォンで使われるDolby Atmosは、音を三次元空間に配置するという基本的な考え方こそ共通しているものの、実際のスピーカー数や音声の伝送方法、再生処理は異なります。

映画館では、客席の周囲や天井に多数のスピーカーを置き、音の位置情報に合わせて再生します。家庭では、天井スピーカー、上向きスピーカー、サウンドバーなどを使い、5.1.2chや7.1.4chといった規模に合わせて音を振り分けます。


テレビやスマートフォンの本体だけで再生する場合は、後方や頭上に実際のスピーカーを置けないため、内蔵スピーカーやヘッドホンを使った信号処理で、音の広がりや高さを仮想的に再現します。そのため、「Dolby Atmos対応」と表示されていても、映画館、ホームシアター、スマートフォンでは聞こえ方や再現できる精度が大きく異なります。

そのため、オーディオ機器を選ぶ際は「7.1ch」や「Atmos対応」という表示だけでなく、実際に何台のスピーカーを使うのか、高さ方向の音を実際のスピーカーで鳴らすのか、それとも仮想的に再現するのかを確認することが重要だといえます。

サラウンド音響の進化は今も続いています。GoogleとSamsungは2025年、Alliance for Open Mediaが策定したオープンな立体音響規格「IAMF」をベースとする「Eclipsa Audio」の展開を開始しました。IAMFは特定のコーデックに依存せず、ヘッドホンから多数のスピーカーを備えたシステムまで、再生環境に応じて立体音響を再現できることを特徴としています。

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一方、Dolby Atmosも5.1.2chや7.1.4chだけでなく、9.1.6chや11.1.8chといった大規模な構成に対応するほか、ワイヤレススピーカーを自由な場所に置いて自動調整するDolby Atmos FlexConnectなどへ用途を広げています。

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in ハードウェア,   ソフトウェア, Posted by log1i_yk

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