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Instagramにはびこる「BAN請負サービス」とは?


IT系ニュースサイトのMotherboardが2021年8月5日に、「金銭を受け取って他者のアカウントを不当に凍結させたり、今度はその被害者に有料でアカウント復旧を持ちかけたりする詐欺グループがInstagramで活動している」と報じました。詐欺グループは自殺や自傷行為、なりすましなどを検知するInstagramシステムを悪用して、標的となったアカウントを自在に凍結させたり復旧させたりできるとのことです。

Scammers Will Ban Anyone From Instagram For $60
https://www.vice.com/en/article/k78kmv/instagram-ban-restore-service-scam

Motherboardによると、アンダーグラウンドなインターネットフォーラム・OG Usersには、「私と私の友達は、世界で最高のBANサービスを提供しています。私たちは2020年からBANのプロとして活動しており、トップクラスの実績があります」と宣伝するBAN請負業者の広告が掲載されているとのこと。


匿名を条件に取材に応じたBAN請負業者のWar氏(仮名)は、Motherboardに対し「BANはほとんどフルタイムの仕事です(笑)」とコメントしました。同氏は、InstagramでBANサービスを販売することで、アカウント凍結1回ごとに60ドル(約6500円)、月に数万ドル(数百万円)を手にしていると主張しています。

War氏は、顧客が自分たちのサービスを利用する理由には関知しないとしつつ、顧客らは「明らかにお金を持っている個人」だとしました。「もしかしたらターゲットの元彼なのかもしれないし、ターゲットに恨みがあるのかもしれません。インスタグラマーのビジネスを台無しにして、また別の人からお金をもらっていることもあるかもしれませんね」とWar氏は話しました。

War氏は、Instagramに虚偽のなりすましの苦情を入れて、対象となるユーザーアカウントを凍結させているとのこと。その手口について、War氏は「まず認証済みのInstagramアカウントを手に入れて、そのアカウントのプロフィールをターゲットそっくりにします。そして、ターゲットをなりすましで通報すると、相手がInstagramから消されてしまうという寸法です」と説明しています。


なりすましとは別の手法を使っているBAN請負業者もいます。InstagramでBANサービスの被害に遭ったことがあるflanvel氏は、自傷行為に関する虚偽の通報でアカウントが凍結されてしまったとのこと。flanvel氏の自傷行為の証拠としてInstagramに提出されたスクリーンショット2枚のうち、片方は業者が撮影してflanvel氏に送りつけたもので、もう1枚は業者自身のInstagramアカウントで公表されたものでした。

flanvel氏はMotherboardに対し、「業者は意のままにアカウントを規制させることができます」と話しました。同氏によると、こうした手口の攻撃には、スクリプトを用いて大量の通報を行う手法が使われているとのこと。例えば、Motherboardが独自調査で発見したあるスクリプトは、Instagramの通報回数上限にひっかからないように、40回で通報を自動停止する機能がついていました。また、あるフリーランス募集サイトには、Instagramアカウントに大量の通報をするボット開発者の求人広告が出されていたこともあるそうです。


flanvel氏によると、BAN攻撃の被害者の元には、有料のアカウントの復旧を持ちかけるメッセージが届くことがあるとのこと。また、BAN請負業者と、アカウント復旧サービスの業者が、Instagramで相互にフォローし合っている事例もあったそうです。

InstagramはMotherboardの問い合わせに対し、「BANサービスを提供しているサイトの調査をしており、こうしたガイドライン違反を行っている人をInstagramから排除する取り組みを行っています。また、このような行為が疑われる場合は、ユーザーにそのことを通報するよう呼びかけており、またアカウントが凍結されてしまった人にはアカウントを復旧させるためのサポートページを案内しています」と答えました。

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in ネットサービス, Posted by log1l_ks

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