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テスラ車を時速113kmでけん引すればバッテリーを高速充電できるのか?


テスラの電気自動車はガソリンではなくバッテリーに充電した電気で走行するため、ドライブ中にバッテリーが減った場合は各地に設置されている専用充電器スーパーチャージャーか、その他の充電設備で充電する必要がありますが、バッテリーが減った時に近場の充電設備がなくて困ったテスラオーナーもいるはず。そこで、「電気自動車はアクセルを離している最中に車が動いていると、回生ブレーキが動作して充電できる」という点に着目した工学系YouTubeチャンネルのWarped Perceptionが、「テスラ車を時速70マイル(約113km)でけん引してバッテリーを充電させる」という実験を行いました。

Super-Tow-Charging My Tesla at HIGH SPEED (70MPH - 65,000 Watts - 25 Miles) - YouTube


Warped Perceptionを運営するリッチさんは、テスラ モデルSを所有しています。


ある日、リッチさんはモデルSで家から離れた場所を走行している際にバッテリーが切れてしまい、公共の充電設備を利用することにしました。ところが、家に帰るのに必要な量の充電を行うため、3時間も待たなければならなかったとのこと。


そんな時、リッチさんはかつて時速70マイルで走行中にアクセルから足を離してみたところ、回生ブレーキが6万5000ワットもの電力を作り出してバッテリーを充電していたことを思い出しました。


6万5000ワットという出力は、都市部に設置されている小型のスーパーチャージャーの出力(72kW/7万2000ワット)とそう変わりません。


そこでリッチさんは、「時速70マイルで15分間けん引されたなら、スーパーチャージャーで15分間充電されたのと同じくらいバッテリーに充電することが可能なのでは?」と考えました。


他のYouTuberも「テスラ車をけん引して回生ブレーキで充電する」という試みはやっていたものの、時速70マイルではなく時速18マイル(約32km)ほどの速度だったとのこと。


リッチさんは、「彼らは車の損傷か何かが起こるのを心配していたのだろうと確信しています」と述べていますが、リッチさんは故障を気にせず科学の名の下で時速70マイルでのけん引を実験することにしました。


けん引用のフックを取りつけるリッチさん。


今回の実験ではけん引にレッカー車を使うのではなく、ベンツ E55でけん引を行うとのこと。


6万5000ワットもの電力をバッテリーに充電しながらけん引することは車への負荷が高く、トランスミッションの加熱が不安だと語るリッチさんですが……


さっそくモデルSに乗り込んで実験を開始。


しばらく走ってバッテリーを減らしたところで、車にけん引用のロープを結び……


ベンツ E55とつなげます。


計画ではE55がモデルSをけん引したまま高速道路に入り、少なくとも10マイル(約16km)の間、バッテリーが充電されるかどうかを確認するとのこと。


バッテリー残量は14%と、充電に失敗したら家に帰ることができないほどの残量です。


リッチさんがトランシーバーでけん引車の運転手にゆっくり車を進めるように指示を飛ばすと……


けん引用のロープがピンと張りました。


ここから実験スタートです。リッチさんが「OK。レッツゴー」と言い……


ベンツが発進。


リッチさんはモデルSのアクセルを踏まず、ハンドルのみを操作します。実験開始時の時刻は午後7時37分。


けん引車の運転手は「少し重い」と言っているものの、特に問題なく23マイル(時速約37km)ほどに加速します。


その後も順調にスピードアップしていき……


リッチさんは「バッテリーが本当に速く増えているように見えます」と言い、思わず笑みがこぼれています。


この時点では実験開始から2分ほどしか経過しておらず、スピードもまだ時速45マイル(時速約72km)ほどですが、バッテリーは16%まで増えています。実験開始時が14%だったので、すでに2%も充電されていることになります。


順調な滑り出しに上機嫌な表情を浮かべるリッチさん。


実験開始から10分足らずで、バッテリーは24%まで充電されました。


リッチさんは「(けん引によるバッテリー充電が)機能しています。信じられません」と言って笑います。


そしてついに、けん引されたまま時速70マイルに到達。この時点で実験開始から11分が経過しており、バッテリーは27%まで充電されています。


「私はアクセルに触れていませんが、時速約70マイルです。そして、いまだに6万5000ワットで充電しています。信じられません」


実験開始から22分が経過した時点で、バッテリー残量は44%に到達。このまま5分ほど走り続ければ、モデルSのバッテリーは50%まで充電されるだろうとリッチさんは予想していましたが……


なんとけん引車であるベンツのガソリンがなくなってしまったとのこと。リッチさんは次の出口で下りるように指示を出しました。


「(けん引車の)ガソリンがなくなっても、少なくともこの車は充電されてるからガソリンを取りに行けるよ」とジョークを飛ばすリッチさん。


2台はガソリンスタンドに入りました。


実験開始時点では、ベンツに4ガロン(約15リットル)のガソリンが入っていたそうです。ここまでの走行距離が20マイル(約32km)であることを考えると、1ガロン(約3.8リットル)あたりの燃費は5マイル(約8km)。換算すると1リットルあたり2.2kmという燃費です。


再び高速道路に入り……


けん引によるバッテリー充電を再開。ついにバッテリー残量が50%に到達しました。


モデルSは特に警告などを発することもなく、怪しい動作もしていないとのこと。リッチさんは、このままけん引を続ければバッテリーを100%まで充電させられるだろうと主張。比率的に考えると、走行距離が50マイル(約80km)になればバッテリーも100%になるはずだと推測しています。


実験を終えたリッチさんは、「自分でもなぜこんなに興奮しているのかわかりませんが、これは絶対に素晴らしいものでした」とコメント。


リッチさん自身もこれほどうまくいくとは思っていなかったそうですが、25マイル(約40km)のけん引走行で14%から55%までバッテリーを充電することができました。なお、実験中はしっかり6万5000ワットの出力を保っていたとのことで、スーパーチャージャーに匹敵するレベルの充電ができたこともリッチさんは主張しています。


充電設備がない場所で立ち往生してしまったテスラ車のオーナーは、けん引でバッテリーを充電できるかもしれないと示唆して、リッチさんはムービーをまとめました。

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in 乗り物,   サイエンス,   動画, Posted by log1h_ik

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