フェイクポルノを正式に違法とする地域が初めて登場
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元交際相手や元配偶者の日常での画像・映像とポルノムービーを合成させる「フェイクポルノ」は、リベンジポルノとして使われる可能性が問題視されています。ターゲットとなった相手を精神的にも社会的にも傷つけるフェイクポルノを、正式に規制した法律がアメリカ・バージニア州で2019年7月1日(月)から施行されました。
Virginia’s ‘revenge porn’ laws now officially cover deepfakes - The Verge
https://www.theverge.com/2019/7/1/20677800/virginia-revenge-porn-deepfakes-nonconsensual-photos-videos-ban-goes-into-effect
Deepfake revenge porn distribution now a crime in Virginia | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2019/07/deepfake-revenge-porn-distribution-now-a-crime-in-virginia/
AIを使って女性の顔とポルノの映像を合成する「フェイクポルノ」が2017年末に話題になってから、このようなDeepfake(ディープフェイク)技術は目を見張る速さで進化してきました。2019年には1枚の写真と音声データから「人が話す映像」を作れる驚異の技術も登場していることから、今後、本物の映像と偽物の映像を見分けることはどんどん困難になるだろうと考えられています。
ディープフェイク技術に関しては、元配偶者や元交際相手が仕返しに相手の裸の写真やムービーなどをインターネットに公開する「リベンジポルノ」の一種として、フェイクポルノが作られたり公開されたりすることが特に危険視されています。リベンジポルノであれば「交際期間にあっても相手に裸の写真などを提供しない」という方法で防げますが、フェイクポルノの場合はFacebookをはじめとするSNS上の写真を使えばいいので、防ぎようがありません。このような攻撃のターゲットにされた相手は大きなダメージを負うことになります。
by Anthony Tran
上記の問題に対処するため、アメリカ・バージニア州は、合意に反したディープフェイクの画像や映像の配布に対して刑事罰を科すことを、新たに法律に追加しました。これは、相手の同意なしに裸の画像や性的な画像を配布することについて定めた「Class 1 misdemeanor(クラス1軽犯罪)」の法律を修正したもの。修正後の法律には「偽って作られた映像あるいは静止画」という言葉が加えられています。この法律の対象はディープフェイクに限らず、Photoshopなどのソフトウェアを使った偽造画像・映像も含まれる可能性があり、違反者には最高12カ月の懲役と2500ドル(約27万円)の罰金が科せられることになります。
ディープフェイク問題については連邦議会議員も注目するところであり、上院議員のYvette Clarke氏はディープフェイクを規制する法案を発表しました。またテキサス州も反ディープフェイク法を通過させており2019年9月1日から施行される予定ですが、この法律は合意のないポルノではなく選挙を操作する偽画像・偽映像を対象としたものとなっています。一方でニューヨーク州は合意なしで作られた「デジタル複製物」の作成を禁ずる法律を提案していますが、これにはアメリカ映画協会が「我々のメンバーが現実の人々からインスピレーションを受け物語を作成することを阻害する」と反対の声を上げています。
なお、ディープフェイク技術に関しては2019年6月27日に女性の写真を1クリックで裸にしてしまう「DeepNude」というウェブサービスが登場しましたが、多くの非難を呼んだことから、その後非公開とされました。
女性の写真を1クリックで裸にしてしまう「DeepNude」が登場 - GIGAZINE
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