深海魚は地震の予兆を感じ取ることができるのか?

by Udo Schröter
幻の深海魚といわれるリュウグウノツカイやメガマウスが大地震の発生前に目撃される……という説はインターネット上で多く見られますが、実際に深海魚と地震の間に関連性があるのかという統計的な研究はあまり行われていませんでした。「本当にこの2つに関連があるのなら、地震の被害を軽減できるのでは?」と考えた日本の研究者が、1928年から2011年の間で発生した大地震と深海魚の発見報告を調査し、その結果が科学誌に掲載されています。
1928~2011 年に日本で確認された深海魚出現報告
(PDFファイル)http://www.scc.u-tokai.ac.jp/iord/bulletin/files_for_bulletin/KENPOU39_37-79_Orihara.pdf
Deep-Sea Fish Do Not Signal Upcoming Earthquake in Japan | Seismological Society of America
https://www.seismosoc.org/news/deep-sea-fish-do-not-signal-upcoming-earthquake-in-japan/
深海魚が浅瀬や海岸に現れるのは地震や津波の前兆ではないのか?という考えは古くから存在し、2011年に起きた東日本大震災の際には1年間に十数頭のリュウグウノツカイが沿岸に打ち上げられたと報告が上がったこともあり、近年ではインターネットでそのような説を主張するウェブサイトも多く存在します。
直近でいうと、2019年1月31日には富山県にある魚津水族館が漁師の網に引っかかっていたリュウグウノツカイの写真を公開した際に話題となりました。リュウグウノツカイは本来水深200~1000メートルに生息する魚で本来は海面に上がってこないのですが、写真の個体は1シーズンのうち同地域で引き上げられた7匹目だったそうです。
2019年6月18日、このような「深海魚」と「地震」の関係について調査した、東海大学に所属する織原義明氏らの研究がアメリカ地震学会誌に掲載されました。
この研究は1928年11月から2011年3月までの期間において、深海魚が現れた場所から50キロあるいは100キロ圏内で、その後30日以内に地震が発生したのかを調べたもの。地震発生前に動物が異常な行動を取る「前駆行動」はこれまでも報告されていることから、研究者は対象とする地震をマグニチュード6以上としました。
もともと織原教授は、東日本大震災の前に深海魚が多数目撃されていたという話を聞き、「これが本当であれば地震の被害を緩和できる可能性があるのでは」と調査をスタートしました。過去に深海魚の出現について調べた研究は存在しましたが、統計的な研究としては報告量が不十分だったため、研究者たちは深海魚の出現を報じる地方紙を収集することから始めたそうです。
対象期間中の深海魚の目撃記録は336件、地震の数は221件でしたが、相関関係があると考えられるものは1件だけだったとのこと。マグニチュード7の地震が発生する前に深海魚が報告されたことは皆無であり、またマグニチュード6以上の地震が起こる10日前までに深海魚の目撃が報告されたことはないことが明らかになりました。
今回の研究結果を受けて、織原氏は2000年以降の日本では深海魚と地震の関連は「ほとんどない」とし、「実は2009年冬にも日本海側で多く姿を見せましたが、何も起きませんでした。今回も特に心配する必要はありません」と述べています。
なお、海外ニュースメディアのCNNも2019年2月に「深海魚」と「地震」の関係について記事を公開しており、この時は魚津水族館に対して取材が行われました。
Sightings of rare oarfish in Japan raise fears of earthquake and tsunami - CNN
https://edition.cnn.com/2019/02/01/asia/oarfish-sighting-tsunami-earthquake-fear/index.html
魚津水族館の西馬和沙さんはCNNに対し「大きな地震の前にリュウグウノツカイが現れるという科学的な証拠は何もありませんが、可能性を100%否定できるものでもありません」としつつも、「地球温暖化がリュウグウノツカイに影響しているのか、それとも私たちが気づいていない理由が何かあるのかもしれません」とコメント。
また、東日本大震災の前に多く目撃されたリュウグウノツカイについて、西馬さんは、地震発生前に海底で起きるわずかな地殻変動によって海流が変化したことで、リュウグウノツカイが海底から海面に押し上げられたのかもしれないとコメントしました。一方、魚津水族館館長の稲村修さんは富山でリュウグウノツカイが上がったことの理由について、「リュウグウノツカイは小エビのようなエサとなるものを追いますが、エサがプランクトンを追って上昇すると、リュウグウノツカイもまた海面に向かい網に引っかかることがあります」と述べています。
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in サイエンス, 生き物, Posted by darkhorse_log
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