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自動運転車の安全な公道テスト走行の実現にメーカーは苦慮している


Googleからスピンアウトした自動運転車開発企業のWaymoが、自動運転車の公道テスト中に衝突事故を起こしていたことが明らかになりました。人間のドライバーよりも安全に運転できると言われる自動運転車が普及するまでに、自動運転車を開発する各メーカーは、生みの苦しみを経験している真っ最中のようです。

Waymo's self-driving car crashed because its human driver fell asleep — Quartz
https://qz.com/1410928/waymos-self-driving-car-crashed-because-its-human-driver-fell-asleep/

2018年6月にWaymoの自動運転車がカリフォルニア州の高速道路上で事故を起こしたことは、最初にThe Infomationによって報じられました。当時、自動運転車をテストしていたのは単独のドライバーで、テスト中に眠気に襲われウトウトした状態になり、間違ってアクセルペダルに触れてしまい、自動運転モードが解除されたのが事故の原因だとのこと。自動運転モードが解除されるとドライバーにそれを知らせるためにアラームが鳴るなどの警告装置が複数搭載されていましたが、いずれのアラームにもドライバーは反応しなかったそうです。


Waymoカーは中央分離帯に衝突して停止しましたがドライバーに大きなけがはなく、「タイヤとバンパーへの適度な損傷」という軽い被害で済んだそうです。また、事故現場は高速道路上でしたが、幸いなことに事故当時、周囲を走る自動車はなく大きな被害にはつながりませんでした。

今回のケースでは、ドライバー1人で公道走行テストが行われていましたが、自動運転車を開発するメーカーによって、安全対策は異なります。トヨタやフォード、日産などの自動車メーカーは、走行試験は基本的に2人体制でテストが行われています。これに対して、今回事故を起こしたWaymoや、死亡事故を起こしたUberなどは、ドライバーが1人でテスト走行を行っていました。

Uberの自動運転車が女性をはねて死なせる事故が発生、Uberは自動運転の公道テストを中止 - GIGAZINE


Waymoで事故を起こしたドライバーは眠気に襲われましたが、Uberのドライバーは事故当時、退屈しのぎにストリーミングムービーを視聴していたことが分かっています。

歩行者を死なせたUberのドライバーは事故当時スマホで動画ストリーミングを見ていた - GIGAZINE


自動運転車によるテスト走行では、緊急時以外に人間のドライバーが手を下すことはないため、集中力が途切れてしまうことが大きな問題となっています。Waymoは今回の事故を受けて自動運転車の走行テスト時のドライバーを2人体制にする変更を採ることで、自動運転走行時の集中力低下を食い止める予定です。

前述のUberも、アメリカのピッツバーグやサンフランシスコで行っていた公道テストの多くを中止して、これによってテストに雇っていた従業員を大量に解雇しました。その代わりに、Uberではテストコースで自動車を監視する特別な訓練を受けたスペシャリストを採用する方針に切り替え、監視役がいなくとも自分だけで業務を遂行できる人材を募集しています。

自動運転車を開発する企業はみな、「人間は良いドライバーではない」ことを理解しており、自動運転車の普及によって、年間100万人以上が死亡する交通事故を大幅に減らせるはずだという共通の認識を持っているとのこと。しかし、技術を確立するまでの道のりは険しく、やむを得ない犠牲を出しつつも目標に向かっているようです。


なお、自動運転技術が高まり実用化が近づくにつれて、別の問題もクローズアップされています。それは自動運転車が普及し誰もがそれに頼る時代が到来すると、自分でハンドルを握って運転する体験がどんどんなくなり、自動運転が機能しないという緊急時に人間は対応できない可能性が高くなる、という「paradox of automation(自動化のパラドックス)」と呼ばれる問題だそうです。

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in ソフトウェア,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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