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長距離の配送を短時間で可能にするアメリカの大手運送会社の物流ネットワークの実態がわかるムービー


FedEx DHLUPSなどの大手運送会社は、アメリカ国内の運送だけを考えても、国土の広さから長距離となりがちです。これにも関わらず、フロリダ州にあるマイアミから17時に出荷した荷物をアラスカ州のアンカレッジで朝8時30分に受け取れる物流ネットワークを築いており、さらに、海外への荷物の輸送も可能です。YouTubeで世界の地理や経済関連のムービーを多数公開しているWendover Productionsチャンネルのムービーを見ると、アメリカの大手運送会社の物流ネットワークの実態がわかるようになっています。

How Overnight Shipping Works - YouTube


休むことなく動き続ける物流システムは画期的です。


月曜日の17時にフロリダ州のマイアミから出荷した荷物は、火曜日の朝8時30分にアラスカ州のアンカレッジに届きますし……


火曜日の17時にスコットランドのエディンバラから発送した荷物は、水曜日の朝9時にアラスカ州のアンカレッジに到着させることが可能です。


FedExには、エミレーツ航空エティハド航空カタール航空が所有する航空機より多くの航空機を保有しており、またDHLでは北朝鮮を含む世界各国に展開し、さらにUPSでは飛行機を使って世界最大の旅客数を誇るデルタ航空の2倍以上の目的地に荷物を運んでいます。


各社には比較低価格で高速輸送が可能なグローバルネットワークを有しています。このネットワークの肝になるのが航空です。


特にFedExは世界最大の貨物航空会社であり、400の目的地に対して、飛行している航空機は650機が稼働しており、この航空機の大半が複数あるハブ空港のうち1つの空港から運航しています。


FedExのハブ空港はシンガポール、広州、上海、ソウル、大阪、アンカレッジ、オークランド、ダラス、インディアナポリス、グリーンズボロ、マイアミ、ニューアーク、トロント、パリ、ケルン、ミラノ、ドバイ、メンフィスにあり、飛行機で運ばれてきた荷物を別の飛行機に移すために使用しています。特に大きな拠点のハブ空港はテネシー州のメンフィスです。


メンフィスは人口65万人の都市で、そこまで巨大な都市ではありません。FedExがこの都市を拠点に事業を展開するのはそのロケーションにあります。


メンフィスの位置は以下の画像のように、アメリカの地理的な中心点ではありませんが……


人口重心の観点で見ると、ミズーリ州がアメリカの中心ということになり、そこから200マイルほど離れたメンフィスの位置はアメリカ国内の全ての居住者に荷物を届けることができる平均的な場所になるというわけです。


同様の理由でUPSの拠点となるハブ空港がミズーリにほど近い、ケンタッキー州のルイビルにあります。


メンフィス空港の商業ターミナルのサイズは黄色い枠で囲まれた場所ですが、FedExが使用しているターミナルは紫の部分で非常に巨大です。


ルイビル空港はもっと極端で、黄色い部分の商業ターミナルと比較して、黄土色のUPSのターミナルは商業用と比べて何倍もの大きさになっていることがわかります。


次に、FedExのメンフィスにあるハブ空港がどのように機能するか見てみます。22時~25時の間に世界中から約150の航空機に積まれた荷物がやってきます。


飛行機の到着直後、荷物は降ろされて、自動選別システムに入れられます。


15分以内に次のフライトのため、コンテナに積み込まれます。


その後、午前2時~午前4時にかけて、次の目的地に向けた飛行機で約2時間のフライトを行います。つまりアメリカ国内の荷物であれば、午前6時までに最寄りの空港に届くというわけです。


ハブ空港から最寄りの空港に到着後は小さな街へ素早く移動するため、小型のプロペラ機で移動を行います。


以降はトラックを使っての配送となるので、荷物は飛行機、小型飛行機、トラックの3つの輸送手段を経て、できるだけ早く目的地に届けるというわけです。


では、アリゾナ州フェニックスからワシントン州シアトルに荷物を送る場合はどうなるでしょうか。フェニックスとシアトルの直線距離は約1770kmです。


しかし、メンフィスを経由する場合、約4800km以上の移動が必要となり、飛行時間は6時間ほどかかります。荷物は一晩ほどで届くでしょうが、輸送にかかる3000km以上分の燃料を無駄にしてしまいます。


この場合は、別のハブ空港を使用します。このケースではオークランドのハブ空港を使って、比較的効率的な2092kmのフライトを行います。このように、メンフィス以外に別のハブ空港を使う方が効率的な場合は、その経路を優先するようにしています。


FedExの最も特徴的なハブ空港はアラスカ州のアンカレッジに置かれています。人口30万人に満たないアンカレッジには、世界で4番目に大きい貨物空港があります。


何が特徴的かというと、これもロケーションに関係しており、メンフィスのハブ空港から大阪の地点まで地球の湾曲を考慮して直線を描くと、直線上にアンカレッジを通過します。つまりこの空港はアメリカからアジアへのフライトのための経由地というわけです。


現在、数十の貨物航空会社がアンカレッジで運航していますが、多くの航空会社は飛行機の給油と乗員の入れ替えのために利用しています。しかし、FedExとUPSではここで荷物の仕分けを行っていて……


アジアからアメリカ国内に送られてくる荷物の拠点となるハブ空港として、アンカレッジを利用しています。


アンカレッジでは、アジアから送られてきた荷物を税関に通して処理したあと、目的地に向かう飛行機に積み込まれます。


この効率化された処理は、出荷時間を短くするだけでなく、コスト削減にもつながります。運送業は送料のコストがビジネスの成否を決める要素となっていて、運送会社にとって、恒常的な利益が得られる小売業者との契約がとても重要です。小売業者の中には1日に何百万ものパッケージを出荷しているので、1セント(約1円)の差はとても大きくなります。


メンフィスのハブ空港ではその日に荷物を仕分けしますが、扱う荷物の大半はビジネス契約によるものがほとんどです。


たとえば、メンフィスからオクラホマシティへのフライトは朝4時に出発し、朝5時20分に到着します。その後、飛行機は夜10時10分ごろにメンフィスに戻るためフライトを行います。


つまり、オクラホマシティに17時間以上待機していることになり、このルートでは1日に約2時間しかフライトしていないことになります。


民間航空会社が1日12時間以上フライトしていることを考えると、FedExが1日数時間の利用のために数百万ドル(約数億円)の航空機を購入することは割に合いません。


このため、FedExをはじめとした運送会社は旅客機としての利用ができないほど古くなった飛行機を格安で購入して使用しています。当然古い航空機では燃費が高くなりがちですが、ほとんどの時間を待機して過ごしているので、それほど大きな問題になりません。


FedEx、UPS、DHLは物流ネットワークの効率をさらに高めるため、日々努力しているとのことです。

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in メモ,   乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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