Amazonが1兆円超の高級スーパー買収完了当日から人気商品の値下げを宣言、他のスーパーは戦々恐々
Amazonが137億ドル(約1兆5000億円)という同社史上最高額をかけた高級食品スーパーWhole Foodsの買収手続きが、2017年8月28日(月)に完了します。買収完了当日からWhole Foodsの主力商品の値下げを行うことをAmazonが発表し、他の食品スーパーの株価がはやくも下落しています。
Amazon - Press Room - Press Release
http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=176060&p=irol-newsArticle&ID=2295514
Amazon cuts Whole Food prices in clear signal of sweeping changes to come - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/news/business/wp/2017/08/24/amazons-takeover-of-whole-foods-begins-monday-and-youll-see-changes-right-away/
AmazonによるWhole Foodsの買収手続きが2017年8月28日に完了することが、2017年8月24日にAmazon・Whole Foodsから共同で発表されました。共同声明の中でAmazonのジェフ・ベゾスCEOは、「Whole Foodsの最高レベルの品質を損なうことなく、長期的に価格を下げる」ことを宣言しており、買収が完了する2017年8月28日から、Whole Foods提携農園産のバナナ、有機栽培のアボカド、有機卵、アーモンドバター、フジリンゴなどのWhole Foodsで人気の食品を一斉に値下げすることも明らかにしました。
AmazonはWhole Foodsが販売する食品の値下げを継続する計画を明らかにしており、さらにAmazonの年額99ドル(約1万1000円)の有料会員Primeメンバー向けに特別割引を行うことも発表しています。アナリストの分析によると、高品質の高級食材をメインに扱うWhole Foodsの顧客の約70%がAmazonのPrime会員だと見積もられていることから、AmazonとWhole Foodsによる食品価格の値下げ計画は、多くの顧客にとってメリットになると考えられています。
今回のAmazonによる買収後も、Whole Foodsの本社はこれまで通りテキサス州オースティンに置かれ、共同創業者のジョン・マッキー氏がCEOに就任するため、Whole Foodsの独立性は保たれる予定です。従来、Whole Foodsは価格競争の激化の中、コストをカットして値下げする点で苦戦していましたが、Amazonをバックにつけることでスケールメリットを活かした販売戦略を取りやすくなりそうです。さらに、AmazonはWhole Foodsのプライベート商品をAmazonの食品配達サービス「Prime Pantry」や2時間以内の配達サービス「Prime Now」で提供する予定で、全米460店ある実店舗だけでなく、オンラインでの食品販売サービスを充実させる計画です。
AmazonによるWhole Foodsの買収完了日の発表が出されると、Costcoは5%、全米に2000店舗を展開するSuperValuは6%も株価が下落。さらには、2016年にWhole Foodsの買収を計画していたKrogerの株価は8%も急落しました。これに対して、Whole Foodsの株価は1%上昇。Amazonの参入によって、アメリカ国内のスーパーマーケット市場が大きく変化するのではという期待が株式市場では広がっているようです。
一方、アメリカ最大のスーパーマーケットWalmartは、AmazonのAIアシスタントAlexaを使ったスピーカー端末「Echo」のライバルとなる「Google Home」を提供するGoogleとの提携を2017年8月23日に発表。Google Homeに話しかけて商品を注文できる新サービスを提供する計画を発表しました。Walmartは低価格戦略のためWhole Foodsと顧客層はそれほど重ならないとみられていますが、Amazonの参入に対して警戒感を持っているのは間違いなさそうです。
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